召喚されしもの(5)
文字数 1,530文字
萌香には、何がなんだか分からない。そこで、大悪魔女帝自らからが彼女らに説明してくれる。
「レビアタンってのはね、神が人々の食料として用意した宴の食材……。巨大な悪魔の魚よ。全長1000メートル、太さは10メートルはあるかしら……? 自らの周囲に海を呼ぶ力があるわ」
だが、萌香には、その大きさが今少しイメージ出来なかった。
「でもね、あれは有希ちゃんの知る、ファージ内部にいたレビアタンとは少し違うものよ。ファージ内部にいたのは、実はスペースレビアタンと呼ばれているものなの」
「叔母さん、何考えているのよ! 幾らレビアタンでも、このシタデルを破壊して入ってくることは出来ないわ。仮に破壊できたとしても、その時は私たち全員、水圧が一気に掛かって全滅しちゃうじゃない!」
それを聞いた大悪魔女帝は、高笑いを始める。そして……。
「違うわよ。有希ちゃんを襲ったって、呪文2つでお終いでしょう? レビアタンに命じたのはね、首都東京を破壊すること……。
今、『瞬間移送』の呪文を使って走水の辺りへと送り届けたわ。あれが東京湾内に入ったりしたら、東京は壊滅的な状況になるわよね……。だって、海水面が上がって、東京の都心部一体が全て海になるんだもの……」
寧樹は、直ぐ様、瞬間移動をして深海へと飛び出そうとした。だが、それを止めたのも大悪魔女帝であった。
「あら、いいの? この部屋の外に出たら、有希ちゃん、あなたの負けよ。そのこと、分かってるのかしら?」
寧樹の横から、小田原隊長が萌香の姿の彼女に助言をする。
「勝負なんかしている暇はない。今はまず東京を救うんだ!」
「忘れたのチョウ君、これはゲームなのよ。ゲームをリタイアする心算なのかしら? このゲームに私が勝ったら、私は遠慮なく人類を滅ぼすわ。そうなったら、もう誰も私を止めることは出来ない! それが例え、チョウ君であっても、サント・ネイジュであったとしても……」
萌香が抗議の声を上げる。
「汚いですわ。そんな怪獣を召喚して東京を襲わせるなんて……。これは、サント・ネイジュと大悪魔女帝の勝負だったのではありませんか?!」
「元々私は、人間の世界を襲う側なのよ。東京を襲ったって、反則じゃないでしょう? 萌香ちゃんたちだってチョウ君を連れて来てるじゃない。それに、他の時空から怪獣を呼び寄せた訳じゃないわ。この世界の住人を呼び出しただけよ。彼にだって、地球の未来に関する闘いに、参加する権利くらいあると思わない?」
「いいよ……、分かった……」
寧樹がぼそりと呟いた。
萌香が途方に暮れ、大悪魔女帝が勝利を確信した高笑いを上げる中、寧樹は呪文を唱えていた。そんなネイジュに、小田原隊長は隊長として指示を出す。
「もう、怪獣が東京湾に入る前に大悪魔女帝を倒し、『瞬間移動』で移動して怪獣を防ぐしかない! 一気に勝負を掛けるぞ、入生田隊員!!」
小田原隊長の声に、寧樹は何も答えない。替わりに大悪魔女帝が言葉を返す。
「さぁ? それが可能かしら? 私だって、決して弱い訳じゃないのよ……。レビアタンが東京湾に入る迄、約1分程。そして、東京に上陸して首都を壊滅させるのにも30分程度しか掛からないわね……。あ、そう言えば、東京湾の横浜沖の海底に、どこかの基地があったわねぇ……。それも、序 でに壊しちゃおうかしら……」
それには答えず、寧樹は呪文の詠唱を終え、静かに呟いた。
「召喚の呪文は練れた……」
「あら、ベヘモットでも呼び出す心算? 東京都心で怪獣同士を戦わせたりしたら、それこそ大災害になるわよ……」
「これは『魔獣召喚』の呪文じゃなくて、『悪魔召喚』よ……」
呪文が発動した……。それに由って彼は、シタデルの中へと召喚されたのである。
「レビアタンってのはね、神が人々の食料として用意した宴の食材……。巨大な悪魔の魚よ。全長1000メートル、太さは10メートルはあるかしら……? 自らの周囲に海を呼ぶ力があるわ」
だが、萌香には、その大きさが今少しイメージ出来なかった。
「でもね、あれは有希ちゃんの知る、ファージ内部にいたレビアタンとは少し違うものよ。ファージ内部にいたのは、実はスペースレビアタンと呼ばれているものなの」
「叔母さん、何考えているのよ! 幾らレビアタンでも、このシタデルを破壊して入ってくることは出来ないわ。仮に破壊できたとしても、その時は私たち全員、水圧が一気に掛かって全滅しちゃうじゃない!」
それを聞いた大悪魔女帝は、高笑いを始める。そして……。
「違うわよ。有希ちゃんを襲ったって、呪文2つでお終いでしょう? レビアタンに命じたのはね、首都東京を破壊すること……。
今、『瞬間移送』の呪文を使って走水の辺りへと送り届けたわ。あれが東京湾内に入ったりしたら、東京は壊滅的な状況になるわよね……。だって、海水面が上がって、東京の都心部一体が全て海になるんだもの……」
寧樹は、直ぐ様、瞬間移動をして深海へと飛び出そうとした。だが、それを止めたのも大悪魔女帝であった。
「あら、いいの? この部屋の外に出たら、有希ちゃん、あなたの負けよ。そのこと、分かってるのかしら?」
寧樹の横から、小田原隊長が萌香の姿の彼女に助言をする。
「勝負なんかしている暇はない。今はまず東京を救うんだ!」
「忘れたのチョウ君、これはゲームなのよ。ゲームをリタイアする心算なのかしら? このゲームに私が勝ったら、私は遠慮なく人類を滅ぼすわ。そうなったら、もう誰も私を止めることは出来ない! それが例え、チョウ君であっても、サント・ネイジュであったとしても……」
萌香が抗議の声を上げる。
「汚いですわ。そんな怪獣を召喚して東京を襲わせるなんて……。これは、サント・ネイジュと大悪魔女帝の勝負だったのではありませんか?!」
「元々私は、人間の世界を襲う側なのよ。東京を襲ったって、反則じゃないでしょう? 萌香ちゃんたちだってチョウ君を連れて来てるじゃない。それに、他の時空から怪獣を呼び寄せた訳じゃないわ。この世界の住人を呼び出しただけよ。彼にだって、地球の未来に関する闘いに、参加する権利くらいあると思わない?」
「いいよ……、分かった……」
寧樹がぼそりと呟いた。
萌香が途方に暮れ、大悪魔女帝が勝利を確信した高笑いを上げる中、寧樹は呪文を唱えていた。そんなネイジュに、小田原隊長は隊長として指示を出す。
「もう、怪獣が東京湾に入る前に大悪魔女帝を倒し、『瞬間移動』で移動して怪獣を防ぐしかない! 一気に勝負を掛けるぞ、入生田隊員!!」
小田原隊長の声に、寧樹は何も答えない。替わりに大悪魔女帝が言葉を返す。
「さぁ? それが可能かしら? 私だって、決して弱い訳じゃないのよ……。レビアタンが東京湾に入る迄、約1分程。そして、東京に上陸して首都を壊滅させるのにも30分程度しか掛からないわね……。あ、そう言えば、東京湾の横浜沖の海底に、どこかの基地があったわねぇ……。それも、
それには答えず、寧樹は呪文の詠唱を終え、静かに呟いた。
「召喚の呪文は練れた……」
「あら、ベヘモットでも呼び出す心算? 東京都心で怪獣同士を戦わせたりしたら、それこそ大災害になるわよ……」
「これは『魔獣召喚』の呪文じゃなくて、『悪魔召喚』よ……」
呪文が発動した……。それに由って彼は、シタデルの中へと召喚されたのである。