大悪魔女帝の城(4)
文字数 1,427文字
沈黙が暫く続いた。だが、その沈黙は萌香の笑顔の一言で破られたのだ。
「要するに、わたくしたちサント・ネイジュが、そのシタデルに瞬間移動して、大悪魔女帝との決着を付ければ良いと云うことでしょう? 簡単ではございませんこと?」
寧樹は思う、「本当に萌香と組んで良かった」と。
「そうよ、萌香! 私たちで大悪魔女帝に一泡吹かせてあげましょうね! いいえ、今回は、この時空の未来が掛かっているんです。絶対、私たちが勝たなければね!!」
そこに小田原隊長が口を挟んだ。
「その戦いなのだが……、私たちは参加できないものなのかな……? 萌香君は兎も角、寧樹君はこの時空の人間ではないのだろう? 矢張り、この時空は、この時空に生きるものが護るべきではないかと思うのだが……」
「この時空人でない私では不安だと? それとも、大悪魔女帝の身内の私では、矢張り信用が出来ないとでも?」
「そう云うことではない!」
小田原隊長の怒りではあったが、寧樹は意に介さず、少し笑った。
「冗談ですよ……。確かに、私と耀子叔母さんとの1対1の勝負って訳ではありませんから、誰が戦いに加わっても、大悪魔女帝は何も文句を言えない筈ですよ。でも、深海の底にある出入口のないシタデルの箱の中では、私たち以外、誰も辿り着けないのではないですか?」
勿論、寧樹が呪文を掛けて飛ばせば、他の人間を瞬間移動させることは出来る。だが、それを寧樹は抑々 する気は無い。
「もし、行けるのであれば、加勢しても構わないと解釈して良いのだね……」
だが、それは叶わないだろう。
異星人討伐隊の万能移送機、新ヌディブランコ号に潜水ユニットを着けたとしても、マリアナ海溝まで潜ることは現状不可能だし、これから突入までの短い間に、その改造すると云うのも至難の業であろう。それに、シタデルを攻撃できるほどの火力もヌディブランコには搭載されていないし、それを搭載したとしても、サント・ネイジュが中にいる時に攻撃をされては困るのだ。
「で、突入は何時にするのかな?」
「明日にでも……」
小田原隊長の質問に、寧樹はそう答えた。万が一にも潜水ユニットを改良されてはたまらない。ここは一刻も早い出撃が望まれるのだ。
「そうか……」
ここで一息入れ、寧樹は皆の方に向き、最初にしていた様に、狂言回しの様な終演の挨拶を述べる。
「では、ご来場の皆様、これにて仮面舞踏会は終了でございます。退席の際はお怪我をなさらぬよう、足元にお気を付けになってお帰りくださいませ。本日は、どうも、ありがとうございました……」
小田原隊長が先ず応接室から出て、作戦室へと戻って行った。そして、その後を風祭隊員が小走りについて行く。
湯本隊員は萌香にニッコリと笑いかけ、2本指で敬礼のポーズをとってから部屋を出て行った。
入生田重雄はショックの為か足取りがおぼつかず、板橋隊員の肩を借りて応接室を後にした。だが、2人は萌香と目を合わせることはない。
宮城野運転手は、萌香の前で深々と一礼し、早雲山の待つ、宇宙軍東京湾基地地下駐車場へと戻って行った。
残ったのは、萌香と蛾の様な姿に戻った火取志郎だけ……。その火取志郎は立ち上がり、萌香のことをじっと見つめる。
「ネイジュさんと2人っきりになれるなんて、光栄だなぁ。早く、サント・ネイジュの姿になってくれよ!」
「冗談はこれまでにしましょう! 本当に無茶苦茶ね。私が不意打ちで攻撃したら、どうする心算だったの? 耀子叔母さん……」
「要するに、わたくしたちサント・ネイジュが、そのシタデルに瞬間移動して、大悪魔女帝との決着を付ければ良いと云うことでしょう? 簡単ではございませんこと?」
寧樹は思う、「本当に萌香と組んで良かった」と。
「そうよ、萌香! 私たちで大悪魔女帝に一泡吹かせてあげましょうね! いいえ、今回は、この時空の未来が掛かっているんです。絶対、私たちが勝たなければね!!」
そこに小田原隊長が口を挟んだ。
「その戦いなのだが……、私たちは参加できないものなのかな……? 萌香君は兎も角、寧樹君はこの時空の人間ではないのだろう? 矢張り、この時空は、この時空に生きるものが護るべきではないかと思うのだが……」
「この時空人でない私では不安だと? それとも、大悪魔女帝の身内の私では、矢張り信用が出来ないとでも?」
「そう云うことではない!」
小田原隊長の怒りではあったが、寧樹は意に介さず、少し笑った。
「冗談ですよ……。確かに、私と耀子叔母さんとの1対1の勝負って訳ではありませんから、誰が戦いに加わっても、大悪魔女帝は何も文句を言えない筈ですよ。でも、深海の底にある出入口のないシタデルの箱の中では、私たち以外、誰も辿り着けないのではないですか?」
勿論、寧樹が呪文を掛けて飛ばせば、他の人間を瞬間移動させることは出来る。だが、それを寧樹は
「もし、行けるのであれば、加勢しても構わないと解釈して良いのだね……」
だが、それは叶わないだろう。
異星人討伐隊の万能移送機、新ヌディブランコ号に潜水ユニットを着けたとしても、マリアナ海溝まで潜ることは現状不可能だし、これから突入までの短い間に、その改造すると云うのも至難の業であろう。それに、シタデルを攻撃できるほどの火力もヌディブランコには搭載されていないし、それを搭載したとしても、サント・ネイジュが中にいる時に攻撃をされては困るのだ。
「で、突入は何時にするのかな?」
「明日にでも……」
小田原隊長の質問に、寧樹はそう答えた。万が一にも潜水ユニットを改良されてはたまらない。ここは一刻も早い出撃が望まれるのだ。
「そうか……」
ここで一息入れ、寧樹は皆の方に向き、最初にしていた様に、狂言回しの様な終演の挨拶を述べる。
「では、ご来場の皆様、これにて仮面舞踏会は終了でございます。退席の際はお怪我をなさらぬよう、足元にお気を付けになってお帰りくださいませ。本日は、どうも、ありがとうございました……」
小田原隊長が先ず応接室から出て、作戦室へと戻って行った。そして、その後を風祭隊員が小走りについて行く。
湯本隊員は萌香にニッコリと笑いかけ、2本指で敬礼のポーズをとってから部屋を出て行った。
入生田重雄はショックの為か足取りがおぼつかず、板橋隊員の肩を借りて応接室を後にした。だが、2人は萌香と目を合わせることはない。
宮城野運転手は、萌香の前で深々と一礼し、早雲山の待つ、宇宙軍東京湾基地地下駐車場へと戻って行った。
残ったのは、萌香と蛾の様な姿に戻った火取志郎だけ……。その火取志郎は立ち上がり、萌香のことをじっと見つめる。
「ネイジュさんと2人っきりになれるなんて、光栄だなぁ。早く、サント・ネイジュの姿になってくれよ!」
「冗談はこれまでにしましょう! 本当に無茶苦茶ね。私が不意打ちで攻撃したら、どうする心算だったの? 耀子叔母さん……」