仮面舞踏会の終わり(1)
文字数 1,465文字
学校までの道程、入生田萌香は寧樹と大悪魔女帝こと、寧樹の叔母、藤沢耀子の対策を心の中で検討していた。
剛霊武 獣など敵では無い。警戒すべきは藤沢耀子ただ一人。
「寧樹、大悪魔女帝って、あなたの叔母さんなのでしょう? と言うことは、それなりのお歳ですよね。体力的に寧樹より劣るんじゃございません?」
「耀子叔母さんは化け物よ。私も、父や叔母に格闘を習ったことがあるんだけど、1度も勝ったことがないのよ」
「では、寧樹が勝 っているものは、何かございませんの?」
「悪魔能力で勝っているのは、私のオリジナル能力、読心力だけね。後は全て叔母さんに敵わないわ。光線砲でも、灼熱の掌も、極冷の掌も、叔母さんの方が威力が遥かに上よ」
「ええ~!」
「だって叔母さん、耀公主だもの。最強の大悪魔って言われていた……」
「それでは、わたくしたちには、勝ち目が無いではありませんか?!」
「私が勝 っているのは……、そうね、魔法力って所かな。それなら、叔母さんより威力があるわよ。極光乱舞なら日本全部を氷結させることも出来るし、黒炎破弾なら地球ごと飲み込めるくらいのブラックホールを創り出すことも可能よ!」
「それでは、ルール違反になりますわ。威力があり過ぎです」
「あ、そうか……」
「頼りないですわ、寧樹は……」
「逆に萌香は、最初の頃より、何か、ずっと大人びた気がするよ」
「褒めても何も出ませんことよ」
「へへへ。あ、そう言えば、私、叔母さんにない大悪魔能力が一つある!」
「何ですの?」
「うん。内緒にしておく。叔母さんの事だから、どこで聞いているか分からないしね」
「分かりましたわ。それが切札になるかも知れませんものね」
寧樹は思う。
「藤沢耀子は抜け目がない……」と。
「誰が大悪魔女帝のスパイか、知れたものではない。それどころか、誰かに憑依して、今この瞬間も自分たちの心の声を聞いていないとも限らない……。それに、危険察知しようにも、魔力を抑える腕輪で、危険度を低下させている可能性が高い」
そう言う意味では、彼女は単純に決闘を申し込んでなど来ないであろうし、萌香には迷惑極まりないが、変な悪ふざけをして、揺さぶりを掛けてくるかも知れない。
だが……。
「萌香、私、思うんだけど……、耀子叔母さん……、いいえ、大悪魔女帝は、自分からは攻めて来ないんじゃないかって……」
「どうしてですの?」
「女帝は、私たちが自分のアジトを見つけていないことを知っている。だから、『先ず、それを見つけてからだ』と思っているに違いないと思うの。そして、私たちがそこに攻めて来て、始めて、私たちを迎え撃つ心算なのじゃないかしら? その方が大悪魔側に地の利もあるし、RPGの魔王城みたいで、彼女好みだもの……」
「RPGみたい……ですか……」
「ええ。だから私たちが最初に考えなきゃいけないのは、大悪魔女帝の棲み処がどこなのか? それを見つけることじゃないかしら」
「わたくしたちがそうしない限り、今まで通り剛霊武 獣は襲って来るでしょうし、人間と異星人の対立構造は、今のまま変わりはしない。大悪魔女帝にとっては、このままだとしても、勝ったことと何も変わりがない……と言う訳ですのね」
「そう言うことね……」
だが、寧樹も萌香も、大悪魔女帝の棲み処の手掛かりすらない。どうやって探すかの見当も、2人には未だ付いてはいないのだ。
宮城野の運転する黒のセンチュリーが、ゴーラ女学院付属女子高の正門に差し掛かろうとしていた。後部座席には入生田萌香と彼女の護衛の早雲山……。
「宮城野! 済みません、止めて下さらない?」
「寧樹、大悪魔女帝って、あなたの叔母さんなのでしょう? と言うことは、それなりのお歳ですよね。体力的に寧樹より劣るんじゃございません?」
「耀子叔母さんは化け物よ。私も、父や叔母に格闘を習ったことがあるんだけど、1度も勝ったことがないのよ」
「では、寧樹が
「悪魔能力で勝っているのは、私のオリジナル能力、読心力だけね。後は全て叔母さんに敵わないわ。光線砲でも、灼熱の掌も、極冷の掌も、叔母さんの方が威力が遥かに上よ」
「ええ~!」
「だって叔母さん、耀公主だもの。最強の大悪魔って言われていた……」
「それでは、わたくしたちには、勝ち目が無いではありませんか?!」
「私が
「それでは、ルール違反になりますわ。威力があり過ぎです」
「あ、そうか……」
「頼りないですわ、寧樹は……」
「逆に萌香は、最初の頃より、何か、ずっと大人びた気がするよ」
「褒めても何も出ませんことよ」
「へへへ。あ、そう言えば、私、叔母さんにない大悪魔能力が一つある!」
「何ですの?」
「うん。内緒にしておく。叔母さんの事だから、どこで聞いているか分からないしね」
「分かりましたわ。それが切札になるかも知れませんものね」
寧樹は思う。
「藤沢耀子は抜け目がない……」と。
「誰が大悪魔女帝のスパイか、知れたものではない。それどころか、誰かに憑依して、今この瞬間も自分たちの心の声を聞いていないとも限らない……。それに、危険察知しようにも、魔力を抑える腕輪で、危険度を低下させている可能性が高い」
そう言う意味では、彼女は単純に決闘を申し込んでなど来ないであろうし、萌香には迷惑極まりないが、変な悪ふざけをして、揺さぶりを掛けてくるかも知れない。
だが……。
「萌香、私、思うんだけど……、耀子叔母さん……、いいえ、大悪魔女帝は、自分からは攻めて来ないんじゃないかって……」
「どうしてですの?」
「女帝は、私たちが自分のアジトを見つけていないことを知っている。だから、『先ず、それを見つけてからだ』と思っているに違いないと思うの。そして、私たちがそこに攻めて来て、始めて、私たちを迎え撃つ心算なのじゃないかしら? その方が大悪魔側に地の利もあるし、RPGの魔王城みたいで、彼女好みだもの……」
「RPGみたい……ですか……」
「ええ。だから私たちが最初に考えなきゃいけないのは、大悪魔女帝の棲み処がどこなのか? それを見つけることじゃないかしら」
「わたくしたちがそうしない限り、今まで通り
「そう言うことね……」
だが、寧樹も萌香も、大悪魔女帝の棲み処の手掛かりすらない。どうやって探すかの見当も、2人には未だ付いてはいないのだ。
宮城野の運転する黒のセンチュリーが、ゴーラ女学院付属女子高の正門に差し掛かろうとしていた。後部座席には入生田萌香と彼女の護衛の早雲山……。
「宮城野! 済みません、止めて下さらない?」