勝利、だが……(3)
文字数 1,874文字
寧樹は、自分の家族の歴史を語り続ける。
「その後、パパと耀子叔母さんは大悪魔を止め、偶然だったのだけど、要夫妻と云う人間の養子となったわ。そこで、前に会ったのとは別時空の月宮盈さんと出会い、2人は彼女から耀公主の力を引き継ぐことになったのよ。
その時、2人は盈さんから、幾つかの法具を貰っているわ。パパは韴霊剣と悪魔能力封じの腕輪、耀子叔母さんは布津御魂剣と同じ腕輪。それだけじゃない。その時空で、2人には白瀬沼藺って云う友だちも出来たの。彼女から貰った金丹は、どんな傷でも治す万能薬よ……。
この段階の2人の強さが、大体、今のあなたと同じくらいってとこかな? ま、それがどのくらいの力量かって言うとね、どこにでもいる、ご当地ヒーローと変わらない程度の強さでしかないのよ……」
「戯けたことを……」
大悪魔ブラウはそう呟いた。だが、寧樹はそれを無視して話を続けていく……。
「数年後、何故だかパパは、家を飛び出して、又、放浪の旅に出たらしいの。その旅の途中で、パパは『十の思い出』って云う特殊な技を伝授されている……。それはね、10本の指に過去に出逢った人の面影を封じ込めてね、1日1回、10分間だけ実体化させることが出来るってものなのよ。勿論、過去の自分の面影を封じることだって出来るわ。これを使えば、10分間は2人分の戦力になるわよね。
つまり、この段階で、既にパパはあなたの2倍の力を持っていたことになる……。
そして、パパはとある時空に流れ着いたわ。パパはそこにある対侵略的異星人防衛組織って云う、異星人討伐隊の様な組織に所属し、新田美菜、つまり私の母と出逢って結婚することになったの。そして生まれたのが、この私、新田有希って訳なのよ」
それを聴いて、大悪魔ブラウが汚いものでも吐き捨てる様に云い捨てる。
「貴様は、大悪魔と人間の合いの子だったのか……」
だが、寧樹は、その様な差別的な侮辱にも、少しも動じる処などない!
「ハイブリットって言って欲しいわね。もっと分かり易く言うと、『いいとこどり』って奴かな……。大悪魔族の様な能力も持っているし、生気も態々人間から吸わなくても良くて、自己生成が出来るのよ」
「だから……、私の質問に……、『大悪魔ではない』と答えたのか……」
「覚えていないけど、恐らくそうね……。確かに私は大悪魔ではないわ。でもね、混血ではないけど、パパも耀子叔母さんも、大悪魔じゃないって言えるのよ」
寧樹は、この説明については、ここですることを控えることにした。
「で、ある日、私の時空で大異変が起きた。ファージと云う宇宙のウィルスが、私たちの太陽に向かって飛んできたのよ……。
こいつは恒星に取りついて、その核融合エネルギーを吸収、利用して自分と同じ物体をコピーさせ、恒星を爆発させて増えていくと云う、とんでもない化け物だったの。正直、私たちだけだったら、もう別時空を逃げる他には、どうにもならなかったでしょうね。
でも、救世主とも云うべき人物が現れたわ。それがアルウェンスピリット、古代に生きた伝説の少女の残存思念だったのよ。
この人はとんでもない強さの人で、あの盈さんですら、『3人掛かりだとしても、戦うなど絶対不可能だ。戦闘力があまりに違い過ぎる』なんて言っていた程なんだから……。
恐らく盈さんのイメージでは、『鉄砲3丁でICBMと戦えるか!』って感じだったのじゃないかしら?
彼女の強さは、主にその魔法力にあったわ。彼女の魔法は、宇宙を破壊できる程の威力があったのよ。
彼女は、盈さんとパパ、そして耀子叔母さんに魔法を教え、ファージと戦う手伝いをさせたの。そうして3人が覚えた魔法が、『極光乱舞』や『瞬間移動』だったって訳。
その残留思念の残りは、今、私の体内にある。だから、彼女のゴーレムにしてフルプレートメイルであるミスリルウォーリアーを私は操れるし、『力を覚醒させれば、最強だ』って、私は言われたりもするのよ。
つまりね、私たちの強さは、このアルウェンから習得した魔法力に由るところが1番大きいってことなの。さ、これで私の長い話はお終い……。
大悪魔ブラウ、私があなたに何が言いたいか分かるかしら? パパも耀子叔母さんも決して最初から強かった訳ではないの。でも、2人とも持っている力で、その時できる最高の闘いをしてきたのよ……。大切なのは、どんな強い力を持っているかではなくて、持っている力をどう活用したかなのよ!
そして、もう1つ……。あなたは耀子叔母さんの悪魔能力だけを奪っても、私たちより、遥かに弱い……」
「その後、パパと耀子叔母さんは大悪魔を止め、偶然だったのだけど、要夫妻と云う人間の養子となったわ。そこで、前に会ったのとは別時空の月宮盈さんと出会い、2人は彼女から耀公主の力を引き継ぐことになったのよ。
その時、2人は盈さんから、幾つかの法具を貰っているわ。パパは韴霊剣と悪魔能力封じの腕輪、耀子叔母さんは布津御魂剣と同じ腕輪。それだけじゃない。その時空で、2人には白瀬沼藺って云う友だちも出来たの。彼女から貰った金丹は、どんな傷でも治す万能薬よ……。
この段階の2人の強さが、大体、今のあなたと同じくらいってとこかな? ま、それがどのくらいの力量かって言うとね、どこにでもいる、ご当地ヒーローと変わらない程度の強さでしかないのよ……」
「戯けたことを……」
大悪魔ブラウはそう呟いた。だが、寧樹はそれを無視して話を続けていく……。
「数年後、何故だかパパは、家を飛び出して、又、放浪の旅に出たらしいの。その旅の途中で、パパは『十の思い出』って云う特殊な技を伝授されている……。それはね、10本の指に過去に出逢った人の面影を封じ込めてね、1日1回、10分間だけ実体化させることが出来るってものなのよ。勿論、過去の自分の面影を封じることだって出来るわ。これを使えば、10分間は2人分の戦力になるわよね。
つまり、この段階で、既にパパはあなたの2倍の力を持っていたことになる……。
そして、パパはとある時空に流れ着いたわ。パパはそこにある対侵略的異星人防衛組織って云う、異星人討伐隊の様な組織に所属し、新田美菜、つまり私の母と出逢って結婚することになったの。そして生まれたのが、この私、新田有希って訳なのよ」
それを聴いて、大悪魔ブラウが汚いものでも吐き捨てる様に云い捨てる。
「貴様は、大悪魔と人間の合いの子だったのか……」
だが、寧樹は、その様な差別的な侮辱にも、少しも動じる処などない!
「ハイブリットって言って欲しいわね。もっと分かり易く言うと、『いいとこどり』って奴かな……。大悪魔族の様な能力も持っているし、生気も態々人間から吸わなくても良くて、自己生成が出来るのよ」
「だから……、私の質問に……、『大悪魔ではない』と答えたのか……」
「覚えていないけど、恐らくそうね……。確かに私は大悪魔ではないわ。でもね、混血ではないけど、パパも耀子叔母さんも、大悪魔じゃないって言えるのよ」
寧樹は、この説明については、ここですることを控えることにした。
「で、ある日、私の時空で大異変が起きた。ファージと云う宇宙のウィルスが、私たちの太陽に向かって飛んできたのよ……。
こいつは恒星に取りついて、その核融合エネルギーを吸収、利用して自分と同じ物体をコピーさせ、恒星を爆発させて増えていくと云う、とんでもない化け物だったの。正直、私たちだけだったら、もう別時空を逃げる他には、どうにもならなかったでしょうね。
でも、救世主とも云うべき人物が現れたわ。それがアルウェンスピリット、古代に生きた伝説の少女の残存思念だったのよ。
この人はとんでもない強さの人で、あの盈さんですら、『3人掛かりだとしても、戦うなど絶対不可能だ。戦闘力があまりに違い過ぎる』なんて言っていた程なんだから……。
恐らく盈さんのイメージでは、『鉄砲3丁でICBMと戦えるか!』って感じだったのじゃないかしら?
彼女の強さは、主にその魔法力にあったわ。彼女の魔法は、宇宙を破壊できる程の威力があったのよ。
彼女は、盈さんとパパ、そして耀子叔母さんに魔法を教え、ファージと戦う手伝いをさせたの。そうして3人が覚えた魔法が、『極光乱舞』や『瞬間移動』だったって訳。
その残留思念の残りは、今、私の体内にある。だから、彼女のゴーレムにしてフルプレートメイルであるミスリルウォーリアーを私は操れるし、『力を覚醒させれば、最強だ』って、私は言われたりもするのよ。
つまりね、私たちの強さは、このアルウェンから習得した魔法力に由るところが1番大きいってことなの。さ、これで私の長い話はお終い……。
大悪魔ブラウ、私があなたに何が言いたいか分かるかしら? パパも耀子叔母さんも決して最初から強かった訳ではないの。でも、2人とも持っている力で、その時できる最高の闘いをしてきたのよ……。大切なのは、どんな強い力を持っているかではなくて、持っている力をどう活用したかなのよ!
そして、もう1つ……。あなたは耀子叔母さんの悪魔能力だけを奪っても、私たちより、遥かに弱い……」