とある地方都市にて(6)
文字数 1,542文字
入生田萌香は訳が分からなくなった。
この世界を滅ぼそうとしている大悪魔女帝と、彼女から人類を守ろうとしている寧樹が、実は知り合いらしく、それも非常に親しい関係の様なのだ。
混乱する萌香に、寧樹が心の中でその説明をし始める。
「大悪魔女帝って、私の父の妹、耀子叔母さんなのよ」
「えええ?」
「それでね、叔母さんがこんなこと始めたので、叔母さんの娘のサーラが、人間と異星人の紛争を防ぐ妨げになるからって、私に叔母さんの邪魔をして欲しいって言ってきたの。でね、こうして私が萌香に憑依してるって訳なのよ……」
大悪魔女帝が2人の会話に割り込んできた。彼女には、心の中の会話も筒抜けになってしまうらしい。
「有希ちゃん、それじゃ萌香ちゃんには分かりにくいでしょう? まず私が何をしているか説明しなくちゃ……。そうね、じゃぁ、それは私からしてあげる」
大悪魔女帝は、一息入れてから自分の計画を萌香に語りだした……。
「昔、この星の近くで大悪魔と人類の戦争があったのよ。それで人類が勝利したんだけど、宇宙空間には死にかけた大悪魔が沢山残されていた。で、それを私は処分しようとしたんだけど、そこで生き残った1人の悪魔が私にこう問うのよ、『どうして人類を助けて、大悪魔を殺すのか』と……。
尤もな意見よね。だって私も大悪魔だったんだもの。同族を滅ぼして人類を護るって変よね。それで私は決めたの。私は大悪魔の方を助けようって」
「それで、あなたは人類を滅ぼそうってなされたのですの?」
萌香の質問に、大悪魔女帝は小さく微笑んでから答えた。
「違うわよ。人類は滅びないし、私たちが人類を攻撃しようってんじゃないのよ。異星人と人類が、お互いに殺し合うのを邪魔しないだけ……。それで殆どの人類は死んじゃうけど、決して滅びはしないわ。
私たちは、そうなった地球を大悪魔の星として支配する。でも、人類には、私たちの家畜となって生きて貰わなければならないわ。だから、余計に人類に滅んで貰っちゃ困るって訳」
「でも、剛霊武 獣なんか造って……」
今度は、口に手を宛てて、大悪魔女帝は大笑いをする。
「剛霊武 獣ってのは、最近の造語ね。正確には『SPA-2』って云うのよ」
「SPA-2?」
「そう。次世代SPA計画で生み出された怪物のこと」
「なんで、その様なことを……」
「そんなの、始めた人に聞いてよ。あれは私たち大悪魔が始めた計画ではないわ。あれを始めたのは、萌香ちゃんたち人類なのよ。
でも、まぁいいわ。私が説明してあげる。
人類は、宇宙に残された大悪魔の残骸に目を付け、それを元にSPA-1の後継機、AI頭脳を搭載した超兵器SPA-2の開発を計画したの。開発目的は、地球防衛の為と言っているけど、異星人の排除と他星への侵略が念頭にあったんじゃないかしらね。
それで、使えそうな大悪魔の残骸を回収し、不足分は他の生物や、遺伝子操作で作成した恐竜などの絶滅種の部品で補ったわ。私たちはそれを利用したのよ」
「それを利用ですって?」
「ええ。大悪魔は、人類とは比較にならない程の再生能力があるわ。でも流石に宇宙空間に残された破片だけでは再生できない。でもね、私が友人から貰った金丹って云う薬を飲ませれば、完全に復活させることが出来るのよ。死んでさえいなければだけれど……。
つまり、残骸に口と消化器官さえ用意できれば、死んでいない大悪魔は全員復活できるって寸法なの。それで、私は次世代SPA計画メンバーに取り入り、大悪魔の憑依能力を提供することを申し出たのよ。『AIより確実に動かせる』って言ってね。
こうして、私は瀕死の大悪魔を一旦全員憑代 に封印し、剛霊武 獣が完成する度に、ベースとなった悪魔本人を憑依させた。金丹を飲ませて復活させる為にね」
この世界を滅ぼそうとしている大悪魔女帝と、彼女から人類を守ろうとしている寧樹が、実は知り合いらしく、それも非常に親しい関係の様なのだ。
混乱する萌香に、寧樹が心の中でその説明をし始める。
「大悪魔女帝って、私の父の妹、耀子叔母さんなのよ」
「えええ?」
「それでね、叔母さんがこんなこと始めたので、叔母さんの娘のサーラが、人間と異星人の紛争を防ぐ妨げになるからって、私に叔母さんの邪魔をして欲しいって言ってきたの。でね、こうして私が萌香に憑依してるって訳なのよ……」
大悪魔女帝が2人の会話に割り込んできた。彼女には、心の中の会話も筒抜けになってしまうらしい。
「有希ちゃん、それじゃ萌香ちゃんには分かりにくいでしょう? まず私が何をしているか説明しなくちゃ……。そうね、じゃぁ、それは私からしてあげる」
大悪魔女帝は、一息入れてから自分の計画を萌香に語りだした……。
「昔、この星の近くで大悪魔と人類の戦争があったのよ。それで人類が勝利したんだけど、宇宙空間には死にかけた大悪魔が沢山残されていた。で、それを私は処分しようとしたんだけど、そこで生き残った1人の悪魔が私にこう問うのよ、『どうして人類を助けて、大悪魔を殺すのか』と……。
尤もな意見よね。だって私も大悪魔だったんだもの。同族を滅ぼして人類を護るって変よね。それで私は決めたの。私は大悪魔の方を助けようって」
「それで、あなたは人類を滅ぼそうってなされたのですの?」
萌香の質問に、大悪魔女帝は小さく微笑んでから答えた。
「違うわよ。人類は滅びないし、私たちが人類を攻撃しようってんじゃないのよ。異星人と人類が、お互いに殺し合うのを邪魔しないだけ……。それで殆どの人類は死んじゃうけど、決して滅びはしないわ。
私たちは、そうなった地球を大悪魔の星として支配する。でも、人類には、私たちの家畜となって生きて貰わなければならないわ。だから、余計に人類に滅んで貰っちゃ困るって訳」
「でも、
今度は、口に手を宛てて、大悪魔女帝は大笑いをする。
「
「SPA-2?」
「そう。次世代SPA計画で生み出された怪物のこと」
「なんで、その様なことを……」
「そんなの、始めた人に聞いてよ。あれは私たち大悪魔が始めた計画ではないわ。あれを始めたのは、萌香ちゃんたち人類なのよ。
でも、まぁいいわ。私が説明してあげる。
人類は、宇宙に残された大悪魔の残骸に目を付け、それを元にSPA-1の後継機、AI頭脳を搭載した超兵器SPA-2の開発を計画したの。開発目的は、地球防衛の為と言っているけど、異星人の排除と他星への侵略が念頭にあったんじゃないかしらね。
それで、使えそうな大悪魔の残骸を回収し、不足分は他の生物や、遺伝子操作で作成した恐竜などの絶滅種の部品で補ったわ。私たちはそれを利用したのよ」
「それを利用ですって?」
「ええ。大悪魔は、人類とは比較にならない程の再生能力があるわ。でも流石に宇宙空間に残された破片だけでは再生できない。でもね、私が友人から貰った金丹って云う薬を飲ませれば、完全に復活させることが出来るのよ。死んでさえいなければだけれど……。
つまり、残骸に口と消化器官さえ用意できれば、死んでいない大悪魔は全員復活できるって寸法なの。それで、私は次世代SPA計画メンバーに取り入り、大悪魔の憑依能力を提供することを申し出たのよ。『AIより確実に動かせる』って言ってね。
こうして、私は瀕死の大悪魔を一旦全員