魅了する甘い香り(7)
文字数 1,528文字
異星人2人は席を立ち、サント・ネイジュにテーブルを挟んで相対した。火取黒筋は彼女の左に座っていた塔野佐和子の更に左奥に、悍ましい下半身を露わに立っている。
「わたくしに降伏することをお勧め致しますわ。あなた方では、到底わたくしに敵うとは思えませんもの……」
「随分な自信だね。でも、我々は人質を取っているんだよ……」
与那国燦の言葉であったが、そんなものでネイジュが怯むことはない。
「塔野さんのお父様のことかしら? 彼なら、異星人討伐隊が助け出してる筈ですわ」
「ち、入生田萌香を洗脳しようとしたことも、塔野と云う男を人質に取っていたことも、全てお見通しだったってことか……」
火取志郎が口惜しそうに呟いた。
それを聞いたサント・ネイジュが勝ち誇った様に笑みを浮かべた瞬間だった。左奥にいた火取黒筋の股間から生えた蚯蚓の様な触手が、5メートル以上も長く伸び、サント・ネイジュの両腕も掴み締め上げた。
「何をなさるの?!」
「お前も女だろう? 揮発で足りなければ、直接ヘアペンシルを口中に差し込んで、たんまりとフェロモンを注入してやろうって云うのさ!」
彼の4本ある触手のうち、両手首を抑えていない残りの2本がサント・ネイジュの口へと近づいてくる。ネイジュは思わず顔をそむけたが、それから発せられる甘い香りが鼻に衝いていた。
「おい黒筋、ちょっと待てよ。僕は彼女が気に言ってるんだぜ。彼女の体内にヘアペンシルを差し込むのは、僕にさせてはくれないかな?」
志郎はそう言うと、その場でズボンを降ろした。ネイジュの位置からは見えないが、テーブル越しに近づいてくる毛槍虫状のコレマタは、彼の股間から伸びているものに違いない。
「黒筋! お前のコレマタでこのお嬢さんの口を開かせるのだ!」
意外な展開に萌香は動揺する。格闘は練習してきたが、この様な攻撃は予想だにしていなかったのだ。
「寧樹、助けて!」
サント・ネイジュの制御が萌香から寧樹に移る。ピンチが去った訳ではないが、萌香は心の中でほっと安堵の息を漏らしていた。
「仕方ないなぁ……。あ、別に口を開かせなくてもいいわよ。ほら、開けておいてあげる。でも良いのかな? 私、そんなの入れられたら、噛み千切るわよ。結構、ゲテモノ料理とか好きだし……」
あっさり口を開く寧樹に、異星人の3人も、心の中の萌香も思わず引いてしまう。
「あら、止めておくの? 残念ね」
そう言うと、ネイジュはその場で2、3回スピン回転をする。両手首を掴んでいたコレマタが絡むのではと思われたが、その心配は無かった。コレマタは、彼女の手首に生じた旋盤用ドリルの様な刃に、ズタズタに切り刻まれていたのだ。
痛みを感じたのだろうか? 黒筋はコレマタを股間に収納し、両手で押さえて苦痛を堪えている様であった。それには、斬られた訳でない志郎も、思わずコレマタを引っ込めて同じように両手で股間を押さえる。
「酷いことをするね」
コレマタ能力を持たない与那国燦が、呆れた様にネイジュに文句を言った。
「あら、それ再生出来ないの? ご免なさいね。でも、2本は無傷で残っているから、何とかそれで我慢してね」
当然、ネイジュは気にする素振りもない。
「じゃぁ、次は僕が相手をするね」
今度は燦の両肩から、蛇の様な突起が伸びて来て左右両面からネイジュの顔面を襲う。
だが、それにもネイジュは眉ひとつ動かさない。彼女は何事も無かったかの様に、右手を上げて左右に振っただけだ。それだけで蛇状の突起はあっさりと斬り落とされる。ネイジュの右手の人差し指と中指が長く伸び、彼女はそれを、細身のサーベルへと変化させていたのだ。
「いい加減、降参してくれないかなぁ? さもないと、私、本当に殺しちゃうよ」
「わたくしに降伏することをお勧め致しますわ。あなた方では、到底わたくしに敵うとは思えませんもの……」
「随分な自信だね。でも、我々は人質を取っているんだよ……」
与那国燦の言葉であったが、そんなものでネイジュが怯むことはない。
「塔野さんのお父様のことかしら? 彼なら、異星人討伐隊が助け出してる筈ですわ」
「ち、入生田萌香を洗脳しようとしたことも、塔野と云う男を人質に取っていたことも、全てお見通しだったってことか……」
火取志郎が口惜しそうに呟いた。
それを聞いたサント・ネイジュが勝ち誇った様に笑みを浮かべた瞬間だった。左奥にいた火取黒筋の股間から生えた蚯蚓の様な触手が、5メートル以上も長く伸び、サント・ネイジュの両腕も掴み締め上げた。
「何をなさるの?!」
「お前も女だろう? 揮発で足りなければ、直接ヘアペンシルを口中に差し込んで、たんまりとフェロモンを注入してやろうって云うのさ!」
彼の4本ある触手のうち、両手首を抑えていない残りの2本がサント・ネイジュの口へと近づいてくる。ネイジュは思わず顔をそむけたが、それから発せられる甘い香りが鼻に衝いていた。
「おい黒筋、ちょっと待てよ。僕は彼女が気に言ってるんだぜ。彼女の体内にヘアペンシルを差し込むのは、僕にさせてはくれないかな?」
志郎はそう言うと、その場でズボンを降ろした。ネイジュの位置からは見えないが、テーブル越しに近づいてくる毛槍虫状のコレマタは、彼の股間から伸びているものに違いない。
「黒筋! お前のコレマタでこのお嬢さんの口を開かせるのだ!」
意外な展開に萌香は動揺する。格闘は練習してきたが、この様な攻撃は予想だにしていなかったのだ。
「寧樹、助けて!」
サント・ネイジュの制御が萌香から寧樹に移る。ピンチが去った訳ではないが、萌香は心の中でほっと安堵の息を漏らしていた。
「仕方ないなぁ……。あ、別に口を開かせなくてもいいわよ。ほら、開けておいてあげる。でも良いのかな? 私、そんなの入れられたら、噛み千切るわよ。結構、ゲテモノ料理とか好きだし……」
あっさり口を開く寧樹に、異星人の3人も、心の中の萌香も思わず引いてしまう。
「あら、止めておくの? 残念ね」
そう言うと、ネイジュはその場で2、3回スピン回転をする。両手首を掴んでいたコレマタが絡むのではと思われたが、その心配は無かった。コレマタは、彼女の手首に生じた旋盤用ドリルの様な刃に、ズタズタに切り刻まれていたのだ。
痛みを感じたのだろうか? 黒筋はコレマタを股間に収納し、両手で押さえて苦痛を堪えている様であった。それには、斬られた訳でない志郎も、思わずコレマタを引っ込めて同じように両手で股間を押さえる。
「酷いことをするね」
コレマタ能力を持たない与那国燦が、呆れた様にネイジュに文句を言った。
「あら、それ再生出来ないの? ご免なさいね。でも、2本は無傷で残っているから、何とかそれで我慢してね」
当然、ネイジュは気にする素振りもない。
「じゃぁ、次は僕が相手をするね」
今度は燦の両肩から、蛇の様な突起が伸びて来て左右両面からネイジュの顔面を襲う。
だが、それにもネイジュは眉ひとつ動かさない。彼女は何事も無かったかの様に、右手を上げて左右に振っただけだ。それだけで蛇状の突起はあっさりと斬り落とされる。ネイジュの右手の人差し指と中指が長く伸び、彼女はそれを、細身のサーベルへと変化させていたのだ。
「いい加減、降参してくれないかなぁ? さもないと、私、本当に殺しちゃうよ」