誰なのか(2)
文字数 1,398文字
ベッドに横になると、萌香の頭の中で寧樹が話し掛けてくる。
「萌香、二つ謝んなきゃいけないことがあるんだけど……」
「何ですの?」
「一つは萌香の意志じゃなく、私が勝手に腕輪を外したこと。もう一つは萌香に闘わせるって約束したのに、私がネイジュで闘っちゃったこと……」
「問題ありませんわ。わたくし、薬で朦朧としていましたもの。寧樹にそうして貰って、お礼を言いたいくらいですわ」
「ありがとう、萌香……」
「ところで、どうやって脱出できましたの? あの金の腕輪を外さないと、悪魔の力を出すことが出来ないのでしょう? それに、どうして、わたくしたちと別のネイジュが現れて助けてくれたのですか? あれは、いったい何者なんですの?」
「あの腕輪は悪魔の力を封じる物。でも、魔法を封じるアイテムではないのよ。だから私は魔法を使ったの」
「魔法?」
「目を醒まして状況の確認が出来た時、丁度、蝙蝠が飛んでいたの。だから、それを核に、幻覚の呪文を唱えて、蝙蝠をサント・ネイジュの姿に見せ、動物操作で蝙蝠を操って腕輪を外させたのよ。悪魔の力が出せれば、変身も出来るし、あんな拘束、紙テープで縛られている様なものだわ」
「やっぱり、寧樹って凄いですわ」
「いいえ、凄いのは萌香の方よ。私のミスを萌香にフォローして貰ったんだもの。本当にご免なさいね。今回、私もちょっと油断していたわ」
「そんなことありませんわ。わたくしなど、何の役にも立っていませんもの……。さ、もう寝ませんこと? わたくし、本当に今日は疲れてしまっていますのよ」
それを聞いた寧樹が、少し黙ってみると、ものの二分も経たないうちに、萌香は寝息を立て、本当に眠ってしまっていた。
「本当に疲れていたのね。ご苦労様、萌香。そして、ありがとう」
寧樹の言葉は、萌香の頭の中であっても、彼女に聴き取ることなどは、出来なかったに違いない。
一方、その頃、大悪魔女帝は、テレビ電話で謎の男からの叱責を受けていた。
「どうして、あの場を離れた?」
「だって、異星人の方々が、私たちなどいなくとも大丈夫だって仰るから、手柄を譲って差し上げたのよ。まさか、あの状態から入生田萌香を奪回された上に、全員逮捕されるなんて、私たちだって考えもしなかったわ」
脇に立っている燕尾服の男は、大悪魔女帝の台詞を白々しいと考えている。彼女は明らかに、サント・ネイジュの出現を予知していたし、異星人全員が倒されるであろうことも知っていた。
「それにしても、最悪の生配信になってしまったではないか! その上、万が一、萌香が殺されでもしたら、どうする心算だったのだ?!」
生配信には、あの魔法少女が現れ、入生田萌香と異星人討伐隊を助け出し、異星人討伐隊と共に、異星人テロリストを一網打尽にする姿が映されてしまったのである。
「あらあら……」
「兎に角、あの変な女の正体を掴むのだ!」
謎の男はそれだけ言うと、怒りの為か、大悪魔女帝の返事も聞かず、テレビ電話を切ってしまったのだ。
大悪魔女帝は仕方ないとばかりに、椅子の背凭れにバタンと寄り掛かり、大きな欠伸を一つ吐いた。
「それにしても、あの……、サント・”アルウェン”・ネイジュと云う女、一体何者なのでしょうか?」
大悪魔女帝に、燕尾服の男がそう問いを投げかける。だが彼女の答えは、実に意外なものであった。
「そんなもの、分かっているわ。あれはね、入生田萌香が変身した姿よ」
「萌香、二つ謝んなきゃいけないことがあるんだけど……」
「何ですの?」
「一つは萌香の意志じゃなく、私が勝手に腕輪を外したこと。もう一つは萌香に闘わせるって約束したのに、私がネイジュで闘っちゃったこと……」
「問題ありませんわ。わたくし、薬で朦朧としていましたもの。寧樹にそうして貰って、お礼を言いたいくらいですわ」
「ありがとう、萌香……」
「ところで、どうやって脱出できましたの? あの金の腕輪を外さないと、悪魔の力を出すことが出来ないのでしょう? それに、どうして、わたくしたちと別のネイジュが現れて助けてくれたのですか? あれは、いったい何者なんですの?」
「あの腕輪は悪魔の力を封じる物。でも、魔法を封じるアイテムではないのよ。だから私は魔法を使ったの」
「魔法?」
「目を醒まして状況の確認が出来た時、丁度、蝙蝠が飛んでいたの。だから、それを核に、幻覚の呪文を唱えて、蝙蝠をサント・ネイジュの姿に見せ、動物操作で蝙蝠を操って腕輪を外させたのよ。悪魔の力が出せれば、変身も出来るし、あんな拘束、紙テープで縛られている様なものだわ」
「やっぱり、寧樹って凄いですわ」
「いいえ、凄いのは萌香の方よ。私のミスを萌香にフォローして貰ったんだもの。本当にご免なさいね。今回、私もちょっと油断していたわ」
「そんなことありませんわ。わたくしなど、何の役にも立っていませんもの……。さ、もう寝ませんこと? わたくし、本当に今日は疲れてしまっていますのよ」
それを聞いた寧樹が、少し黙ってみると、ものの二分も経たないうちに、萌香は寝息を立て、本当に眠ってしまっていた。
「本当に疲れていたのね。ご苦労様、萌香。そして、ありがとう」
寧樹の言葉は、萌香の頭の中であっても、彼女に聴き取ることなどは、出来なかったに違いない。
一方、その頃、大悪魔女帝は、テレビ電話で謎の男からの叱責を受けていた。
「どうして、あの場を離れた?」
「だって、異星人の方々が、私たちなどいなくとも大丈夫だって仰るから、手柄を譲って差し上げたのよ。まさか、あの状態から入生田萌香を奪回された上に、全員逮捕されるなんて、私たちだって考えもしなかったわ」
脇に立っている燕尾服の男は、大悪魔女帝の台詞を白々しいと考えている。彼女は明らかに、サント・ネイジュの出現を予知していたし、異星人全員が倒されるであろうことも知っていた。
「それにしても、最悪の生配信になってしまったではないか! その上、万が一、萌香が殺されでもしたら、どうする心算だったのだ?!」
生配信には、あの魔法少女が現れ、入生田萌香と異星人討伐隊を助け出し、異星人討伐隊と共に、異星人テロリストを一網打尽にする姿が映されてしまったのである。
「あらあら……」
「兎に角、あの変な女の正体を掴むのだ!」
謎の男はそれだけ言うと、怒りの為か、大悪魔女帝の返事も聞かず、テレビ電話を切ってしまったのだ。
大悪魔女帝は仕方ないとばかりに、椅子の背凭れにバタンと寄り掛かり、大きな欠伸を一つ吐いた。
「それにしても、あの……、サント・”アルウェン”・ネイジュと云う女、一体何者なのでしょうか?」
大悪魔女帝に、燕尾服の男がそう問いを投げかける。だが彼女の答えは、実に意外なものであった。
「そんなもの、分かっているわ。あれはね、入生田萌香が変身した姿よ」