入生田萌香(7)
文字数 1,372文字
「ま、サーラも異星人が嫌いだけどね」
「それで、わたくしに、何をしろと仰 るのかしら?」
「う~ん、説明するの難しいから、ちょっと私の記憶を、萌香にも公開するね」
萌香の頭の中に、夢の様な画像が効果音なしに流れた。そこはどこかの繁華街、暗闇に建物が赤々と浮かび上がっている。それは燃え盛る炎に照らされている為だ。
「この世界に一つの大きな天変地異が起こるの。それでね、今迄虐げられていた異星人が、在来人類に復讐するって、デマが流れてね。普通の人たちまでが、異星人を見つけ次第、殺し出したわ」
「それを止めさせろって仰 るの?」
「ま、そうなんだけど……、ちょっと見ていてね」
次に映った場面、そこは萌香の屋敷だった。火が放たれ、屋敷には何人もの武装した兵士が突入していった。
「な、何? 何で?」
少し経って、屋敷からガウンに身を包んだ老人が、兵士に銃を突きつけられ、追い立てられる様に外へ出て来る。
「お、お祖父様……」
そう、それは入生田萌香の祖父、重国であった。そして、その後ろから、中年の男女も同様に兵士に追い立てられ、屋敷の外に引きずり出される。
「お父様、お母様……。何で? 何で、人間のお祖父様たちが兵士に……」
「異星人は、何もしていないのに無差別虐殺されているのよ、そんな異星人が黙って殺される筈ないでしょう? 萌香が言ったように、異星人って特殊能力を持っているんだもの、復讐しない訳ないじゃない?」
「お祖父様たちは、どうなるの?」
「昨日の異星人が萌香にしようとした事と、全く同じことをしようとするでしょうね……。拷問をした上で、嬲り殺しってところかしら?」
「そ、そんな……」
そして次に引き摺りだされたのは、萌香自身だった……。
萌香は体を起こし目を開けた。
そこは萌香の部屋。何も変わらない、いつもの日常。いつもの世界。だが、そこにいるのは昨日までの萌香ではない。
「こ、これが、わたくしの、未来だって、そう仰 るの?」
「う~ん、実はそれも一寸違うんだなぁ。もう私が介入しちゃったので、未来は変わってるのよ。でも、こうなる可能性は、かなり高い筈よ」
「どうすれば良いの? どうすれば、未来を変えることが出来るの? 寧樹は助けてくれるのですわよね?!」
「勿論、助けるわよ。従姉妹に頼まれ、態々ここに来たんだもの。でも、正直、どうすれば良いか、私にもハッキリしていないの」
「お祖父様に、異星人排斥計画を中止して貰えばいかがかしら?」
「それは駄目ね。異星人テロリストも言っていたでしょう? 仮に重国氏を説得しても、計画は中止にならないわ」
「じゃ、どうすれば良いと……」
「取り敢えず、萌香には『異星人討伐隊』に入隊して欲しいのよ」
「どうしてです? 異星人を討伐したら、あの事件が起きてしまうじゃありませんか!」
「内部から、融和の道を探るのよ。それと、もう一つ」
「もう一つ?」
「異星人テロリストの行動を阻害することで、在来人類の異星人ヘイトを減らすことが出来る筈よ。やってくれるかしら?」
「嫌だと言ったら、どうするの?」
「私は萌香にお願いをするだけよ。萌香が嫌だと言うなら、憑依を解いて自分の時空に帰るだけね」
「そうして、わたくしが殺されるってことですのね……。よろしくてよ、寧樹の言う通りに致しますわ。それしか、お祖父様たちを助ける方法が無いのでしたら……」
「それで、わたくしに、何をしろと
「う~ん、説明するの難しいから、ちょっと私の記憶を、萌香にも公開するね」
萌香の頭の中に、夢の様な画像が効果音なしに流れた。そこはどこかの繁華街、暗闇に建物が赤々と浮かび上がっている。それは燃え盛る炎に照らされている為だ。
「この世界に一つの大きな天変地異が起こるの。それでね、今迄虐げられていた異星人が、在来人類に復讐するって、デマが流れてね。普通の人たちまでが、異星人を見つけ次第、殺し出したわ」
「それを止めさせろって
「ま、そうなんだけど……、ちょっと見ていてね」
次に映った場面、そこは萌香の屋敷だった。火が放たれ、屋敷には何人もの武装した兵士が突入していった。
「な、何? 何で?」
少し経って、屋敷からガウンに身を包んだ老人が、兵士に銃を突きつけられ、追い立てられる様に外へ出て来る。
「お、お祖父様……」
そう、それは入生田萌香の祖父、重国であった。そして、その後ろから、中年の男女も同様に兵士に追い立てられ、屋敷の外に引きずり出される。
「お父様、お母様……。何で? 何で、人間のお祖父様たちが兵士に……」
「異星人は、何もしていないのに無差別虐殺されているのよ、そんな異星人が黙って殺される筈ないでしょう? 萌香が言ったように、異星人って特殊能力を持っているんだもの、復讐しない訳ないじゃない?」
「お祖父様たちは、どうなるの?」
「昨日の異星人が萌香にしようとした事と、全く同じことをしようとするでしょうね……。拷問をした上で、嬲り殺しってところかしら?」
「そ、そんな……」
そして次に引き摺りだされたのは、萌香自身だった……。
萌香は体を起こし目を開けた。
そこは萌香の部屋。何も変わらない、いつもの日常。いつもの世界。だが、そこにいるのは昨日までの萌香ではない。
「こ、これが、わたくしの、未来だって、そう
「う~ん、実はそれも一寸違うんだなぁ。もう私が介入しちゃったので、未来は変わってるのよ。でも、こうなる可能性は、かなり高い筈よ」
「どうすれば良いの? どうすれば、未来を変えることが出来るの? 寧樹は助けてくれるのですわよね?!」
「勿論、助けるわよ。従姉妹に頼まれ、態々ここに来たんだもの。でも、正直、どうすれば良いか、私にもハッキリしていないの」
「お祖父様に、異星人排斥計画を中止して貰えばいかがかしら?」
「それは駄目ね。異星人テロリストも言っていたでしょう? 仮に重国氏を説得しても、計画は中止にならないわ」
「じゃ、どうすれば良いと……」
「取り敢えず、萌香には『異星人討伐隊』に入隊して欲しいのよ」
「どうしてです? 異星人を討伐したら、あの事件が起きてしまうじゃありませんか!」
「内部から、融和の道を探るのよ。それと、もう一つ」
「もう一つ?」
「異星人テロリストの行動を阻害することで、在来人類の異星人ヘイトを減らすことが出来る筈よ。やってくれるかしら?」
「嫌だと言ったら、どうするの?」
「私は萌香にお願いをするだけよ。萌香が嫌だと言うなら、憑依を解いて自分の時空に帰るだけね」
「そうして、わたくしが殺されるってことですのね……。よろしくてよ、寧樹の言う通りに致しますわ。それしか、お祖父様たちを助ける方法が無いのでしたら……」