勝利、だが……(9)
文字数 1,726文字
「入生田萌香でございます。
寧樹がわたくしの心を去ってから、気が付くと、もう既に3ヵ月もの月日が過ぎておりました。
寧樹との友人関係は続いておりましたが、彼女も大悪魔再生に忙しかったらしく、わたくしと顔を合わせる機会も数える程しかございませんでした。それでも会った時にはお互い笑顔で挨拶でき、その度毎に、わたくしは2人で1人だった時のことを思い出していたものでございます。
その寧樹も、生き残った全ての大悪魔を復活させ、つい先日に自分の生まれた時空へと帰っていってしまいました。
彼女は「また遊びにくるよ」と仰っておりましたけど、彼女も忙しい身らしく、次に会えるのは何時になるか、ハッキリとは言えない様でございました。
寧樹がいなくなったわたくしは、本当に何の取り柄もない1高校生に戻ってしまいました。ですが、それでも何か出来るのではないかと、今も異星人討伐隊改め、異星人警備隊に所属し、仲間の指導を受けながら日々の研鑽を続けさせて頂いております。
小田原隊長……いいえ鈴木挑さん、そして風祭隊員(天空橋さんでしたかしら?)は、姿を消してしまい、行方も分からなくなってしまいました。でも、あの2人のことです。どこかで、また誰かの為に生きていることだけは間違いありません。わたくし、そう固く信じております。
板橋隊員……、羽根子お姉様は、結局父に認知され、晴れて入生田家の一族となられました。ですが、お姉さまは板橋の実家を出ることもなく、あちらのお母様とご一緒に暮すことを選ばれ、姓も板橋のままとされたのでございます。
湯本隊員は相変わらずですが、彼のことは、後ほど少しだけお話したいと思います。
ゴーラ女学院では、乙女(最近、彼女とは名前 で呼び合う間柄になりました)たちと喧嘩したりしながらも、楽しく過ごさせて頂いております。塔野さんとは少し距離を置く関係となりましたが、寧ろ、前よりも彼女とも打ち解けたのではないかと考えて居ります。宮ノ下さんの方は、相変わらずの様でしたけど……。
通学や、東京湾基地への送り迎えは、相変わらず宮城野さんが務められております。
彼に「正体が知られても構わないのですか?」と訊ねたのですが、「お嬢様をお護りすることが、今の私には一番大切なのです」なんて仰り、リップサービスとは分かっているのですけど……、わたくし、矢張り嬉しく感じ、彼への感謝の気持ちを抑えることが出来ません。
これで、早雲山さんがいらっしゃらなければ、通学の間も、もう少し楽しい雰囲気のドライブになるのでしょうけどね、流石にそう云う訳には参りませんわよね……。
相変わらずと言えば、火取志郎ですが、彼は未だ地球に残り、人間に擬態して生活をしている様です。
わたくしと譲治君がそれを問い質すと、「いやぁ母星からの宇宙船が、何時まで待ってもやって来ないんだよ」なんて言い訳をしておりました。ですけど、特に悪いことはされていらっしゃらない様ですので、今回も見逃して差し上げました。
譲治君、湯本隊員ですけれども、彼は実は湯本流剣術の宗家の出で、学習大付属高校に通いつつ、剣術の修行もしなければならないと云う超多忙な男性だったのです。
それでも、学校の休日には異星人警備隊の非常勤隊員として極力出隊してくださり、ご一緒させて頂く機会も以前に増して多くなりました。わたくしとしても、旧知の彼が居て下さるのは心強くございますし、誠実なお人柄のお方ですから、仕事以外の悩みなども、一緒にお食事させて頂いたときに、良くご相談させて頂いております……。
わたくしたちの地球は、まだまだ平和が訪れた訳ではありませんが、それでも壊滅的な衝突は、今の処、避けられているのではないでしょうか?
それでも、何時、その平和が破られるか分かりません。それも、それは外界からの脅威であるとは限らず、寧ろ火種は常に内部に存在し続けているのだと、わたくしは考えております。
その火種を、これ以上大きくしないことこそが異星人警備隊の仕事でありますし、わたくしは譲治君たちとともに、この地球の平和を護る戦いを、これからもずっと続けて行く所存でございます。
では、皆様、また会えるその日まで……」
寧樹がわたくしの心を去ってから、気が付くと、もう既に3ヵ月もの月日が過ぎておりました。
寧樹との友人関係は続いておりましたが、彼女も大悪魔再生に忙しかったらしく、わたくしと顔を合わせる機会も数える程しかございませんでした。それでも会った時にはお互い笑顔で挨拶でき、その度毎に、わたくしは2人で1人だった時のことを思い出していたものでございます。
その寧樹も、生き残った全ての大悪魔を復活させ、つい先日に自分の生まれた時空へと帰っていってしまいました。
彼女は「また遊びにくるよ」と仰っておりましたけど、彼女も忙しい身らしく、次に会えるのは何時になるか、ハッキリとは言えない様でございました。
寧樹がいなくなったわたくしは、本当に何の取り柄もない1高校生に戻ってしまいました。ですが、それでも何か出来るのではないかと、今も異星人討伐隊改め、異星人警備隊に所属し、仲間の指導を受けながら日々の研鑽を続けさせて頂いております。
小田原隊長……いいえ鈴木挑さん、そして風祭隊員(天空橋さんでしたかしら?)は、姿を消してしまい、行方も分からなくなってしまいました。でも、あの2人のことです。どこかで、また誰かの為に生きていることだけは間違いありません。わたくし、そう固く信じております。
板橋隊員……、羽根子お姉様は、結局父に認知され、晴れて入生田家の一族となられました。ですが、お姉さまは板橋の実家を出ることもなく、あちらのお母様とご一緒に暮すことを選ばれ、姓も板橋のままとされたのでございます。
湯本隊員は相変わらずですが、彼のことは、後ほど少しだけお話したいと思います。
ゴーラ女学院では、乙女(最近、彼女とは
通学や、東京湾基地への送り迎えは、相変わらず宮城野さんが務められております。
彼に「正体が知られても構わないのですか?」と訊ねたのですが、「お嬢様をお護りすることが、今の私には一番大切なのです」なんて仰り、リップサービスとは分かっているのですけど……、わたくし、矢張り嬉しく感じ、彼への感謝の気持ちを抑えることが出来ません。
これで、早雲山さんがいらっしゃらなければ、通学の間も、もう少し楽しい雰囲気のドライブになるのでしょうけどね、流石にそう云う訳には参りませんわよね……。
相変わらずと言えば、火取志郎ですが、彼は未だ地球に残り、人間に擬態して生活をしている様です。
わたくしと譲治君がそれを問い質すと、「いやぁ母星からの宇宙船が、何時まで待ってもやって来ないんだよ」なんて言い訳をしておりました。ですけど、特に悪いことはされていらっしゃらない様ですので、今回も見逃して差し上げました。
譲治君、湯本隊員ですけれども、彼は実は湯本流剣術の宗家の出で、学習大付属高校に通いつつ、剣術の修行もしなければならないと云う超多忙な男性だったのです。
それでも、学校の休日には異星人警備隊の非常勤隊員として極力出隊してくださり、ご一緒させて頂く機会も以前に増して多くなりました。わたくしとしても、旧知の彼が居て下さるのは心強くございますし、誠実なお人柄のお方ですから、仕事以外の悩みなども、一緒にお食事させて頂いたときに、良くご相談させて頂いております……。
わたくしたちの地球は、まだまだ平和が訪れた訳ではありませんが、それでも壊滅的な衝突は、今の処、避けられているのではないでしょうか?
それでも、何時、その平和が破られるか分かりません。それも、それは外界からの脅威であるとは限らず、寧ろ火種は常に内部に存在し続けているのだと、わたくしは考えております。
その火種を、これ以上大きくしないことこそが異星人警備隊の仕事でありますし、わたくしは譲治君たちとともに、この地球の平和を護る戦いを、これからもずっと続けて行く所存でございます。
では、皆様、また会えるその日まで……」