仮面舞踏会の終わり(3)
文字数 1,472文字
応接間に座って待っていたのは、予想した通りモス星人の逃げ残り、火取志郎であった。彼は覚悟して宇宙軍東京湾基地に出頭したのか? それとも、ここに来ても捕まる筈がないと高を括っていたのか?
いずれにしても、彼を捕まえるだけで済ます心算はない。モス星人がどうやって逃げたのか? それを彼らに白状させねば、許す訳にはいかないのだ。
「入生田萌香、ちゃんと来たぞ! サント・ネイジュの居場所を教えろ!!」
志郎は、萌香と小田原隊長が応接室に入るなり萌香にそう尋ねてきた。小田原隊長が脇にいるにも関わらずだ。
だが、それも萌香の想定内。彼女は小田原隊長にもネイジュの居場所を教えようと考えていたのだ。
「彼女の居場所は……、ここですわ……」
萌香は左腕を前に伸ばす……。
そうしておいて、右手の指で左手の手首を叩いた。そうして出した金の腕輪を2人に見せ、腕を胸に引き寄せる。そして、右手で一気に腕輪を引き抜き、サント・ネイジュに……変身した。
「氷原に咲く一輪の可憐な花、聖なる白き乙女、サント・”アルウェン”・ネイジュ!」
萌香の変身を目にし、二度目なのに志郎は驚きに目を丸くしている。だが、それを知らない筈の小田原隊長の方が、寧ろ、別段なんとも思ってはいない様に見えた。
「わたくし、本物の入生田萌香がサント・ネイジュなのです。お分かり頂けたかしら?」
言葉を失ってしまった志郎に、ネイジュは彼らの逃げた方法を問い質す。
「あなたたち、どうやって逃げたのかお話し頂けますね? 誰かが手引きしたのでしょうか? もしそうなら、それが誰かもお教えくださいね」
「入生田隊員、いや、サント・ネイジュ、それが私だと言うのかね?」
それを聞いた小田原隊長が、火取志郎に替わって、こうネイジュに質した。だが、萌香はそれに怯みなどしない。
「違うのですか? 隊長……」
ネイジュは理由を付け加えた。
「収監所に自由に出入り出来るのは、一部の限られた人間だけ。それはそうです。通常の人間では異星人の能力で操られる危険がありますもの……。そして、牢の開け方、この基地からの脱出方法、それらの全てを知っているのは異星人討伐隊のメンバーだけです」
「それならば、入生田萌香隊員。君でも可能ではないのかね?」
「わたくしは、モス星人の逮捕には関わっておりませんわ。ですから、モス星人がどこに収監されたかも知らされておりません。わたくしが、モス星人脱獄に加担することは不可能だと思いますわ」
「ほう……」
「それに……、このモス星人は、隊長が現れても、何の驚きもしせんでしたわ……。それって不自然だと思いませんこと? 仮に討伐隊の隊長だとお知りにならなかったとしても、宇宙軍東京湾基地におられる人間を、警戒しない訳がありませんもの。
そう考えると、寧ろ、このモス星人は隊長を知っていたんじゃないかと思うのです。危害を加えてこない人間として……」
「素晴らしい! 流石、サント・ネイジュ。いや、入生田萌香だ!」
小田原隊長が、高笑いをしながら萌香を賞賛した。
「で、私を人類の裏切り者として、制裁を加えようと言うのかな? 異星人排斥論者、入生田重国の孫娘として……」
それには、今度はネイジュの方が口元に笑みを溢した。
「その様なことを考えていないことは、疾うにご存知でございましょう? それに……わたくしが本当に知りたい事は、あなたが何者かでも、モス星人をどうして逃がしたかでもございません。あなたと風祭隊員が、何を企んでいらっしゃるか? 大悪魔女帝とあなたとは、どう言うご関係なのか? そのことなのですわ」
いずれにしても、彼を捕まえるだけで済ます心算はない。モス星人がどうやって逃げたのか? それを彼らに白状させねば、許す訳にはいかないのだ。
「入生田萌香、ちゃんと来たぞ! サント・ネイジュの居場所を教えろ!!」
志郎は、萌香と小田原隊長が応接室に入るなり萌香にそう尋ねてきた。小田原隊長が脇にいるにも関わらずだ。
だが、それも萌香の想定内。彼女は小田原隊長にもネイジュの居場所を教えようと考えていたのだ。
「彼女の居場所は……、ここですわ……」
萌香は左腕を前に伸ばす……。
そうしておいて、右手の指で左手の手首を叩いた。そうして出した金の腕輪を2人に見せ、腕を胸に引き寄せる。そして、右手で一気に腕輪を引き抜き、サント・ネイジュに……変身した。
「氷原に咲く一輪の可憐な花、聖なる白き乙女、サント・”アルウェン”・ネイジュ!」
萌香の変身を目にし、二度目なのに志郎は驚きに目を丸くしている。だが、それを知らない筈の小田原隊長の方が、寧ろ、別段なんとも思ってはいない様に見えた。
「わたくし、本物の入生田萌香がサント・ネイジュなのです。お分かり頂けたかしら?」
言葉を失ってしまった志郎に、ネイジュは彼らの逃げた方法を問い質す。
「あなたたち、どうやって逃げたのかお話し頂けますね? 誰かが手引きしたのでしょうか? もしそうなら、それが誰かもお教えくださいね」
「入生田隊員、いや、サント・ネイジュ、それが私だと言うのかね?」
それを聞いた小田原隊長が、火取志郎に替わって、こうネイジュに質した。だが、萌香はそれに怯みなどしない。
「違うのですか? 隊長……」
ネイジュは理由を付け加えた。
「収監所に自由に出入り出来るのは、一部の限られた人間だけ。それはそうです。通常の人間では異星人の能力で操られる危険がありますもの……。そして、牢の開け方、この基地からの脱出方法、それらの全てを知っているのは異星人討伐隊のメンバーだけです」
「それならば、入生田萌香隊員。君でも可能ではないのかね?」
「わたくしは、モス星人の逮捕には関わっておりませんわ。ですから、モス星人がどこに収監されたかも知らされておりません。わたくしが、モス星人脱獄に加担することは不可能だと思いますわ」
「ほう……」
「それに……、このモス星人は、隊長が現れても、何の驚きもしせんでしたわ……。それって不自然だと思いませんこと? 仮に討伐隊の隊長だとお知りにならなかったとしても、宇宙軍東京湾基地におられる人間を、警戒しない訳がありませんもの。
そう考えると、寧ろ、このモス星人は隊長を知っていたんじゃないかと思うのです。危害を加えてこない人間として……」
「素晴らしい! 流石、サント・ネイジュ。いや、入生田萌香だ!」
小田原隊長が、高笑いをしながら萌香を賞賛した。
「で、私を人類の裏切り者として、制裁を加えようと言うのかな? 異星人排斥論者、入生田重国の孫娘として……」
それには、今度はネイジュの方が口元に笑みを溢した。
「その様なことを考えていないことは、疾うにご存知でございましょう? それに……わたくしが本当に知りたい事は、あなたが何者かでも、モス星人をどうして逃がしたかでもございません。あなたと風祭隊員が、何を企んでいらっしゃるか? 大悪魔女帝とあなたとは、どう言うご関係なのか? そのことなのですわ」