剛霊武獣(2)
文字数 1,328文字
休憩室は、室名プレートが部屋の入口の脇に出ていたので直ぐに分かった。
そこは六坪程の広さの空間で、壁を埋め尽くす様に、幾つもの自動販売機が用意されている。中央には数人が座れる数の椅子とテーブル、それから壁の一角に、少し柔らかそうなソファが、何とか場所を確保して置かれてあった。
萌香はそのソファにペタンと座り込んだ。そして、直ぐに不満に思っていたことを、心の中で口にする。
「寧樹、突然口を挟むのって酷くありませんこと? それも、得意なのが魔法だなんて、わたくし、恥ずかしくて穴があったら入りたい程でしたわよ!」
「あら、萌香が困っているみたいだから、助けてあげたのに……。分かったわよ。萌香が話して欲しい時しか、口を出さない様にするわ。それで良いでしょう?」
「それで、結構ですわ」
「じゃぁ、萌香の左の手首を、右手の人差し指の爪で弾いてみて」
萌香が言われた通り、左手首を爪で弾くと、チンと云う金属音が響き、突然そこに金色の腕輪が現れた。
「こ、これは?」
「これは私の力を解放する為のアイテム。これが出ている時だけ、萌香と会話するようにするわ。それ以外の口出しは基本しないし、当然勝手に話しをしたりもしない。勿論、萌香が『替わりに話して』って言った場合は別よ。その時は私が話してあげる」
「分かりましたわ。で、お訊きしたいのですが、この金の腕輪、『力を解放する為のアイテム』って、どう云う意味ですの?」
「それは……、ちょっと待ってね。萌香、その腕輪を右手で掴んで……、そして、手品の様に引っ張る!」
萌香は寧樹の云う通り、金の腕輪を右手で引っ張った。すると、不思議なことに、腕輪は手品の様に手首を擦り抜けて外れる。
「今度は左手で腕輪を二回叩く」
萌香は、それも言われた通りにやってみた。すると今度は、右手で掴んでいた筈の金の腕輪が突然無くなってしまう。
「不思議ですけど……、何も変わりませんわ。これに、どういう意味があるって言われるのですか?」
「分かんないかなぁ……。じゃ、左の手首を叩いてみて」
萌香がそうすると、金の腕輪が左手首に嵌められた状態で現れる。
「全く分かりませんわ……」
「この腕輪が外れている時、萌香は凄くお腹空かなかった?」
「分かりませんでしたわ」
「困ったなぁ……。ま、いいわ。先に説明しちゃうわね。この腕輪が外れていると、私の全能力が解放されるの。この力は危険だから、悪いけど、今の萌香に扱わせる訳には行かないわ。萌香の身体は、私が全て制御させて貰うわよ」
「その様なこと、許しませんことよ」
「だったら、腕輪を外さないことね」
萌香は何で態々、寧樹がそんな腕輪をしているのか意味が分からない。
「腕輪を外していると、私の全能力を維持する為に、萌香の生気は急速に消耗されるの。だから凄くお腹が空く筈なんだけど……」
「だったら、余計に外しませんことよ」
「外さないなら、それでも良いけど……、もし外したりしたら、その状態で私が何かするのって、萌香の姿じゃ都合悪いでしょう? その間は萌香の姿を変えてあげるわね」
「ええ?」
「私、能力解放すると擬態能力も使えるの。だから、萌香の好きな変身アイドル魔法少女のコスプレだって可能よ!」
「お、お願い! 止めて……」
そこは六坪程の広さの空間で、壁を埋め尽くす様に、幾つもの自動販売機が用意されている。中央には数人が座れる数の椅子とテーブル、それから壁の一角に、少し柔らかそうなソファが、何とか場所を確保して置かれてあった。
萌香はそのソファにペタンと座り込んだ。そして、直ぐに不満に思っていたことを、心の中で口にする。
「寧樹、突然口を挟むのって酷くありませんこと? それも、得意なのが魔法だなんて、わたくし、恥ずかしくて穴があったら入りたい程でしたわよ!」
「あら、萌香が困っているみたいだから、助けてあげたのに……。分かったわよ。萌香が話して欲しい時しか、口を出さない様にするわ。それで良いでしょう?」
「それで、結構ですわ」
「じゃぁ、萌香の左の手首を、右手の人差し指の爪で弾いてみて」
萌香が言われた通り、左手首を爪で弾くと、チンと云う金属音が響き、突然そこに金色の腕輪が現れた。
「こ、これは?」
「これは私の力を解放する為のアイテム。これが出ている時だけ、萌香と会話するようにするわ。それ以外の口出しは基本しないし、当然勝手に話しをしたりもしない。勿論、萌香が『替わりに話して』って言った場合は別よ。その時は私が話してあげる」
「分かりましたわ。で、お訊きしたいのですが、この金の腕輪、『力を解放する為のアイテム』って、どう云う意味ですの?」
「それは……、ちょっと待ってね。萌香、その腕輪を右手で掴んで……、そして、手品の様に引っ張る!」
萌香は寧樹の云う通り、金の腕輪を右手で引っ張った。すると、不思議なことに、腕輪は手品の様に手首を擦り抜けて外れる。
「今度は左手で腕輪を二回叩く」
萌香は、それも言われた通りにやってみた。すると今度は、右手で掴んでいた筈の金の腕輪が突然無くなってしまう。
「不思議ですけど……、何も変わりませんわ。これに、どういう意味があるって言われるのですか?」
「分かんないかなぁ……。じゃ、左の手首を叩いてみて」
萌香がそうすると、金の腕輪が左手首に嵌められた状態で現れる。
「全く分かりませんわ……」
「この腕輪が外れている時、萌香は凄くお腹空かなかった?」
「分かりませんでしたわ」
「困ったなぁ……。ま、いいわ。先に説明しちゃうわね。この腕輪が外れていると、私の全能力が解放されるの。この力は危険だから、悪いけど、今の萌香に扱わせる訳には行かないわ。萌香の身体は、私が全て制御させて貰うわよ」
「その様なこと、許しませんことよ」
「だったら、腕輪を外さないことね」
萌香は何で態々、寧樹がそんな腕輪をしているのか意味が分からない。
「腕輪を外していると、私の全能力を維持する為に、萌香の生気は急速に消耗されるの。だから凄くお腹が空く筈なんだけど……」
「だったら、余計に外しませんことよ」
「外さないなら、それでも良いけど……、もし外したりしたら、その状態で私が何かするのって、萌香の姿じゃ都合悪いでしょう? その間は萌香の姿を変えてあげるわね」
「ええ?」
「私、能力解放すると擬態能力も使えるの。だから、萌香の好きな変身アイドル魔法少女のコスプレだって可能よ!」
「お、お願い! 止めて……」