わたくし、やります(9)
文字数 1,637文字
そうしていると、大悪魔女帝と萌香、コンドルの剛霊武 獣の所に、7~8人の黒服にサングラスの男たちが近寄って来た。
「おい、早くしろ! 化け物ども」
「分かったわよ……」
大悪魔女帝は、サングラスの男たちにそう答えると、萌香に猫撫で声で指示を与える。
「萌香ちゃん、あの十字架に掛けられてね。あ、本来は掌を釘で打ちつけるんだけど、あれ鉄パイプだから、そうは行かないの。縄で縛るだけだから、殺されるまで痛くないわよ。じゃ、頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
萌香はそう言うと、校庭の真ん中に立てられた十字架の方へと、異星人たちに促される儘に歩いて行く。
そして、萌香は十字架に掛けられた。
両脇には、槍の様な武器を持ったサングラスの異星人。撮影用の照明が煌々と十字架を照らし、スポークスマンらしき異星人が十字架の前にスタンバイしている。こうして今、まさに処刑の生配信が始められんとしているのであった。
その時、闇の中から、四人の男女が突然姿を現した。
「入生田隊員を解放して貰おうか!」
風祭隊員がそう言って、スポークスマンの異星人に銃を向ける。他の隊員も他の異星人を狙って銃を構えていた。
そう、異星人討伐隊の全メンバーが入生田萌香救出の為、ここに集結したのだ。
「あら? やけに早いわね。生配信が始まるまで、場所の特定は出来ない筈だったのに」
彼女の疑問には、小田原隊長が答える。
「隊員の通信装置には、GPS機能も付いていましてね。入生田氏からの連絡を受けた我々は、直ぐに集合し、この場所に来たという訳なのですよ」
「萌香ちゃん、そんなこと聞いてなかったみたいよ。ちゃんと彼女に説明した?」
「可笑しいですね。入隊の説明の時に、彼女も腕時計型通信機のレクチャーを受けている筈なんですけどね……。さ、抵抗せず降伏してください」
「フッ、嫌よ……」
大悪魔女帝はそう言うと、ゆっくりと彼らに近づいて、異星人討伐隊の銃を一人ずつゆっくりと奪い取っていく。その間、討伐隊のメンバーは誰一人動くことが出来なかった。
そうしておいて、黒サングラスの異星人に異星人討伐隊を捕縛する様に命じる。
「さ、異星人さんたち、この人たちが邪魔しない様に、しっかりと縛っておいてね」
黒サングラスの異星人は、この展開に動揺しながらも大悪魔女帝の指示に従った。
「敵に知られやがって……」
「それにしても、何をしたのだ?」
「悪魔どものやることは分からん!」
「化け物どもめ!」
異星人は遠慮なく、仲間である筈の悪魔に悪口を言い続けていた。流石にそれに対し、燕尾服の大悪魔が不満を述べる。
「我々がここまでお膳立てしたのに、その言い種はないでしょう?」
「お前らなど居らずとも、我らだけで充分にやってのけたわい!」
それに燕尾服の大悪魔は反論をしようとした。だが、大悪魔女帝がそれを止める。
「分かったわ。じゃ、私たちはここで帰るわね。後は上手く遣るのね……」
そして、後手に縛られた小田原隊長の方を向くと、ニッコリと微笑んだ。
「今は小田原隊長だったっけ? じゃ、近いうちにまた会いましょう」
大悪魔女帝は、そう言って小田原隊長にウインクすると、燕尾服の大悪魔、二人の剛霊武 獣共々、瞬間移動を唱えて、忍者の様に姿を消したのである。
「ふん、この女を処刑したら、こいつらも殺すんだ。次にこいつらと合うのは、あの世だろうぜ!」
槍を持った異星人の一人が、捨て台詞の様にそう呟いた。
瞬間移動した先は、暗い閉ざされた部屋。
燕尾服の大悪魔は、大悪魔女帝と云う女に、あの場を離れた理由を訊ねていた。
「どうしてですか? あの小娘を捕えたのは我々です。これでは奴らに、全ての手柄を取られてしまうではないですか?」
「あれで良いのよ。若し、あのまま、あそこに居続けたら、私たち、きっと酷い目に遭っていたわよ……。私の危機察知能力がそう言っているんだもの……」
それを聞いた燕尾服の大悪魔は、それ以上の反論することを、あっさりと諦めたのであった。
「おい、早くしろ! 化け物ども」
「分かったわよ……」
大悪魔女帝は、サングラスの男たちにそう答えると、萌香に猫撫で声で指示を与える。
「萌香ちゃん、あの十字架に掛けられてね。あ、本来は掌を釘で打ちつけるんだけど、あれ鉄パイプだから、そうは行かないの。縄で縛るだけだから、殺されるまで痛くないわよ。じゃ、頑張ってね」
「はい、ありがとうございます」
萌香はそう言うと、校庭の真ん中に立てられた十字架の方へと、異星人たちに促される儘に歩いて行く。
そして、萌香は十字架に掛けられた。
両脇には、槍の様な武器を持ったサングラスの異星人。撮影用の照明が煌々と十字架を照らし、スポークスマンらしき異星人が十字架の前にスタンバイしている。こうして今、まさに処刑の生配信が始められんとしているのであった。
その時、闇の中から、四人の男女が突然姿を現した。
「入生田隊員を解放して貰おうか!」
風祭隊員がそう言って、スポークスマンの異星人に銃を向ける。他の隊員も他の異星人を狙って銃を構えていた。
そう、異星人討伐隊の全メンバーが入生田萌香救出の為、ここに集結したのだ。
「あら? やけに早いわね。生配信が始まるまで、場所の特定は出来ない筈だったのに」
彼女の疑問には、小田原隊長が答える。
「隊員の通信装置には、GPS機能も付いていましてね。入生田氏からの連絡を受けた我々は、直ぐに集合し、この場所に来たという訳なのですよ」
「萌香ちゃん、そんなこと聞いてなかったみたいよ。ちゃんと彼女に説明した?」
「可笑しいですね。入隊の説明の時に、彼女も腕時計型通信機のレクチャーを受けている筈なんですけどね……。さ、抵抗せず降伏してください」
「フッ、嫌よ……」
大悪魔女帝はそう言うと、ゆっくりと彼らに近づいて、異星人討伐隊の銃を一人ずつゆっくりと奪い取っていく。その間、討伐隊のメンバーは誰一人動くことが出来なかった。
そうしておいて、黒サングラスの異星人に異星人討伐隊を捕縛する様に命じる。
「さ、異星人さんたち、この人たちが邪魔しない様に、しっかりと縛っておいてね」
黒サングラスの異星人は、この展開に動揺しながらも大悪魔女帝の指示に従った。
「敵に知られやがって……」
「それにしても、何をしたのだ?」
「悪魔どものやることは分からん!」
「化け物どもめ!」
異星人は遠慮なく、仲間である筈の悪魔に悪口を言い続けていた。流石にそれに対し、燕尾服の大悪魔が不満を述べる。
「我々がここまでお膳立てしたのに、その言い種はないでしょう?」
「お前らなど居らずとも、我らだけで充分にやってのけたわい!」
それに燕尾服の大悪魔は反論をしようとした。だが、大悪魔女帝がそれを止める。
「分かったわ。じゃ、私たちはここで帰るわね。後は上手く遣るのね……」
そして、後手に縛られた小田原隊長の方を向くと、ニッコリと微笑んだ。
「今は小田原隊長だったっけ? じゃ、近いうちにまた会いましょう」
大悪魔女帝は、そう言って小田原隊長にウインクすると、燕尾服の大悪魔、二人の
「ふん、この女を処刑したら、こいつらも殺すんだ。次にこいつらと合うのは、あの世だろうぜ!」
槍を持った異星人の一人が、捨て台詞の様にそう呟いた。
瞬間移動した先は、暗い閉ざされた部屋。
燕尾服の大悪魔は、大悪魔女帝と云う女に、あの場を離れた理由を訊ねていた。
「どうしてですか? あの小娘を捕えたのは我々です。これでは奴らに、全ての手柄を取られてしまうではないですか?」
「あれで良いのよ。若し、あのまま、あそこに居続けたら、私たち、きっと酷い目に遭っていたわよ……。私の危機察知能力がそう言っているんだもの……」
それを聞いた燕尾服の大悪魔は、それ以上の反論することを、あっさりと諦めたのであった。