とある地方都市にて(2)
文字数 1,449文字
翌日、萌香は早朝に変身すると、早々に新田有希なる女性が住むと云う、その地方都市へと向かった。
この移動について、萌香は『瞬間移動』を使って行く心算だったのであるが、寧樹に言わせると……。
「行ったこともない、そんな遠くの場所じゃ『瞬間移動』の行先イメージ出来ないわ。空を飛んで行きましょうよ! 天気もいいし、絶対気持ち良いわよ!」
と云うことで、結局、自分たちの翼で飛んで行くことになったのである。
萌香は取り敢えず、例の公園に瞬間移動し、そこから空を飛んで行くことにした。
「寧樹、わたくしたち、どうやって飛べば良いのです?」
「そうね、先ず翼を生やして」
「翼?」
「そう。背中に力を入れて……。そう、排泄する感じで、少しきばって……」
萌香は「寧樹、表現が下品ですわ」と思いながらも、そうしてみると、確かに肩甲骨が変形して、自分の身長の2倍はあろうかと云う黒い翼が生えてきた。
だが、その翼は、プテラノドンなど翼竜の翼の様で、酷く黒く醜悪なものであった。
「あまり、可愛くありませんわ……」
「う~ん。じゃ、擬態しちゃおうか!」
寧樹がそう言うと、直ぐ様、翼竜の翼は白鳥の羽に見た目を変えた。
「うん。これからサント・ネイジュの翼はこれにしよう。あと飛行姿勢を安定させる為に、皮膚を変形させ、同じ様な羽を作って擬態するからね……」
寧樹が続けてそう言うと、今度は耳が小さい翼に、背中の同じ場所からも別の翼が、そして腰の辺りからも同様に白鳥の翼が生え、計四対の翼を持つ形に変形したのである。
「いい? じゃ飛ぶよ」
「どうするのです?」
「身体の皮膚に、空気の流れを作って……。それで手を上に翳して上昇気流を創るの。それに乗って、一気に舞い上がるからね」
「私の身体から上方向への空気の流れを作って、それに乗って舞い上がるって仰いましたけど、なんか矛盾している気がするのですけど……。なんか帆船の上で扇風機回して、それで前に進もうとしている様な……」
「ほう。ちゃんと勉強してるんだ、萌香も。でもね、大丈夫よ。身体に触れた空気の流れは、近くの空気を巻き込んでより大きな上昇気流を創るものなの。その上昇気流に乗って、翼を広げて、体重を軽くすれば、木の葉が舞い上がる様に、私たちは空を飛べるわ」
萌香が言われた通りにすると、地面から空気の流れが上に向かって上がっていく。すると、髪の毛が上方へと靡いた。
「スカートの中にも……、風が入って、少し寒いのですけど……」
寧樹は萌香の不満を無視し、合図を送った。
「さ、気流を止めて、翼を広げて……、一気にジャンプよ!」
萌香が翼を広げると、寧樹が質量を一気に重力に変換したのだろう。身体が羽根の様に感じられ、手を離した風船のように大空へと持ち上げられていった。
萌香は何か、見えないエレベータにでも乗って、超高層ビルの屋上へと向かっている様な感覚を覚えた。しかし、そこには床も壁も無い。大空の只中に頼る物もなく浮かんでいるだけなのだ。
「いい? 身体は、主翼で上昇気流を受けて支えてね。左右の傾きは、副翼で調整。前後は耳翼と尾翼を使ってね。ブレーキも基本は尾翼よ」
萌香は始めての飛行で、寧樹の言うことなど聞こえてはいない。寧樹は仕方ないとばかりに、自分で飛行制御を行うことにした。
「ね、ねぇ。寧樹! 雲が浮かんでる。あ~雲って凄い大きいのですね。あれ、飛行機かしら。何でしょう、凄く速いですわ!!」
「△△△△」
もう、萌香は興奮し過ぎ、寧樹の返事すらも聞こえては来なかったである。
この移動について、萌香は『瞬間移動』を使って行く心算だったのであるが、寧樹に言わせると……。
「行ったこともない、そんな遠くの場所じゃ『瞬間移動』の行先イメージ出来ないわ。空を飛んで行きましょうよ! 天気もいいし、絶対気持ち良いわよ!」
と云うことで、結局、自分たちの翼で飛んで行くことになったのである。
萌香は取り敢えず、例の公園に瞬間移動し、そこから空を飛んで行くことにした。
「寧樹、わたくしたち、どうやって飛べば良いのです?」
「そうね、先ず翼を生やして」
「翼?」
「そう。背中に力を入れて……。そう、排泄する感じで、少しきばって……」
萌香は「寧樹、表現が下品ですわ」と思いながらも、そうしてみると、確かに肩甲骨が変形して、自分の身長の2倍はあろうかと云う黒い翼が生えてきた。
だが、その翼は、プテラノドンなど翼竜の翼の様で、酷く黒く醜悪なものであった。
「あまり、可愛くありませんわ……」
「う~ん。じゃ、擬態しちゃおうか!」
寧樹がそう言うと、直ぐ様、翼竜の翼は白鳥の羽に見た目を変えた。
「うん。これからサント・ネイジュの翼はこれにしよう。あと飛行姿勢を安定させる為に、皮膚を変形させ、同じ様な羽を作って擬態するからね……」
寧樹が続けてそう言うと、今度は耳が小さい翼に、背中の同じ場所からも別の翼が、そして腰の辺りからも同様に白鳥の翼が生え、計四対の翼を持つ形に変形したのである。
「いい? じゃ飛ぶよ」
「どうするのです?」
「身体の皮膚に、空気の流れを作って……。それで手を上に翳して上昇気流を創るの。それに乗って、一気に舞い上がるからね」
「私の身体から上方向への空気の流れを作って、それに乗って舞い上がるって仰いましたけど、なんか矛盾している気がするのですけど……。なんか帆船の上で扇風機回して、それで前に進もうとしている様な……」
「ほう。ちゃんと勉強してるんだ、萌香も。でもね、大丈夫よ。身体に触れた空気の流れは、近くの空気を巻き込んでより大きな上昇気流を創るものなの。その上昇気流に乗って、翼を広げて、体重を軽くすれば、木の葉が舞い上がる様に、私たちは空を飛べるわ」
萌香が言われた通りにすると、地面から空気の流れが上に向かって上がっていく。すると、髪の毛が上方へと靡いた。
「スカートの中にも……、風が入って、少し寒いのですけど……」
寧樹は萌香の不満を無視し、合図を送った。
「さ、気流を止めて、翼を広げて……、一気にジャンプよ!」
萌香が翼を広げると、寧樹が質量を一気に重力に変換したのだろう。身体が羽根の様に感じられ、手を離した風船のように大空へと持ち上げられていった。
萌香は何か、見えないエレベータにでも乗って、超高層ビルの屋上へと向かっている様な感覚を覚えた。しかし、そこには床も壁も無い。大空の只中に頼る物もなく浮かんでいるだけなのだ。
「いい? 身体は、主翼で上昇気流を受けて支えてね。左右の傾きは、副翼で調整。前後は耳翼と尾翼を使ってね。ブレーキも基本は尾翼よ」
萌香は始めての飛行で、寧樹の言うことなど聞こえてはいない。寧樹は仕方ないとばかりに、自分で飛行制御を行うことにした。
「ね、ねぇ。寧樹! 雲が浮かんでる。あ~雲って凄い大きいのですね。あれ、飛行機かしら。何でしょう、凄く速いですわ!!」
「△△△△」
もう、萌香は興奮し過ぎ、寧樹の返事すらも聞こえては来なかったである。