彼の地

文字数 646文字

 ザウバーが資料と格闘している頃、ダームは生まれ育った集落の復興に手を貸していた。子供ながらも、様々な場所を旅をしてきたダームの力は頼りになり、迷い込んできた魔物を倒しては感謝された。
 そうして数日過ごした後で、ダームはこのまま集落に留まることを勧められる。しかし、少年は旅を続けることを選び、旅を終えてからのことはその時に考えると返した。その返答に、質問者はがっかりした様子を見せた。

 それでも、ダームはザウバーが迎えに来るまでは、集落に留まるつもりでいた。
 それから、何日もの時間が過ぎ、ようやくザウバーがダームを迎えに来た。その頃には、既にベネットもマルンに居り、後は準備を済ませて出発するだけであった。
 準備を済ませた後で、三人は長い移動をした。見知らぬ街で食材を買い揃えては進み、移動をしながら襲い来る魔物を倒していった。

 そうして、目的地となる遺跡に一番近い集落に三人は到着した。そこで、彼らは出来るだけ多く旅に必要な物品を買い込んだ。それから、充分な休息を取り、遺跡を目指して歩き始めた。
 遺跡へ向かうまでの道は、太陽の方向や星の位置だけが頼りだった。遺跡へ到着するまでに人家はなく、生き物の気配すら無かった。

 辛うじて短い草が生えている程度で、食糧になりそうな植物は見当たらない。また、上空を飛ぶ鳥すら稀であり、不気味な程に小さな虫さえも見つからない。
 この為、三人はただひたすらに歩き、その間は会話も無かった。そうして、歩き続けた後で、漸く三人は目的地である遺跡を発見する。
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登場人物紹介

ダーム・ヴァクストゥーム

 

ファンタジー世界のせいで、理不尽に村を焼かれてなんだかんだで旅立つことになった少年。
山育ちだけにやたらと元気。
子供だからやたらと元気。
食べられる植物にやたらと詳しい野生児。

絶賛成長期。

ザウバー・ゲラードハイト

 
自称インテリ系魔術師の成年。
体力は無い分、魔力は高い。

呪詛耐性も低い。
口は悪いが、悪い奴では無い。
ブラコン。

ベネット

 

冷静沈着で、あまり感情を表に出さない女性。

光属性の攻撃魔法や回復術を使いこなしている。



OTOという組織に属しており、教会の力が強い街では、一目置かれる存在。

アーク・シタルカー


ヘイデル警備兵の総司令。

その地位からか、教会関係者にも顔が広い。

魔法や剣術による戦闘能力に長け、回復術も使用する。

基本的に物腰は柔らかく、年下にも敬語を使う。

常にヘイデルの安全を気に掛けており、その為なら自分を犠牲にする事さえ厭わない。

魔物が増えて管理職が故の悩みが増えた。

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