透き通る謎の球体
文字数 1,909文字
「これ……なんだか不思議な感じがする」
ダームは、透き通る球体に手を伸ばした。しかし、彼がそれを掴むよりも前に、ザウバーが少年の手を掴んで止める。
「得体の知れねえもんに、迂闊に触ろうとするんじゃねえ。それより、今は食うもん食って体を休めろ」
そう言ってダームの目を見つめ、ザウバーは宝玉を一瞥する。一方、ダームは頷いてから、持っていたパンを口に運んだ。
「さて、俺も飯にするか」
青年は荷物からパンを取り出し、齧りついた。彼は、パンを素早く食べ終え、宝玉を様々な角度から見つめた。そうしている内にダームも食事を終え、椅子に座ったままその様子を眺めていた。
「お前は、黙って腹を満たしとけ」
そう言って食料が入った袋を掴み、青年は少年へ袋を渡した。すると、ダームは目を細めて頬を膨らませ、不満げに言葉を漏らす。
「喋ってなんかいないのに」
少年は、そう呟くと袋を開け、中を覗き込んだ。そして、干し肉を出すと口に咥え、咀嚼しながら仲間の様子を眺めた。暫くして、ザウバーは腕を組んで目を瞑り、気怠るそうに息を吐く。
「見るだけで分かったら、苦労しねえよな」
彼の言葉を聞いたダームは、咀嚼中の肉を飲み込んだ。そして、机上の球体を見つめると、自らの考えを口にする。
「だったら、持ち帰ってベネットさんに聞いてみたら? その方が、眺めているだけより何か掴めそうな気がする」
青年の顔を見上げ、ダームはにこやかな笑顔を浮かべてみせた。対するザウバーは目を丸くし、それから小さく息を吐く。
「確かに、眺めているだけよりは良さそうだ」
そう返すと、青年は本棚の方へ目線を動かす。そして、腰に手を当てて息を吐くと、気合いを入れ直す様に言葉を漏らした。
「それに、先ずは当初の目的を達しねえとな」
そう言って本を手に取り、ザウバーはその内容に目を通し始めた。彼は、次々に本を手に取るが、目的とする情報は見つからなかった。そうこうしている内に日は落ち、ダームは青年の背中を数回叩いた。対するザウバーは振り返り、少年の顔を見る。
「暗くなったし、そろそろ休憩しようよ。折角、食べ物も持って来ているんだし」
ダームは首を傾げ、青年の目をじっと見つめた。ザウバーは少しの間考えてから意見を受け入れ、休憩を取る。
それから、日付が変わる時間まで調べものをし、二人は幾らか綺麗になった床に寝転んだ。しかし、ザウバーは数時間したところで起き出すと作業を再開し、少年を起こさない様にしながら調べ続けた。
それでも目的のものは見付からず、青年は日が上る前に再度眠りに落ちた。そして、二日目も作業を続けたが、目ぼしい資料を見付けられぬまま日は暮れた。
ダームがに掃除をしたおかげで部屋は綺麗になったが、調べ終えた本は雑に積まれたままだった。
「いい加減、しまい直してよ。空いた棚は何度か拭いて綺麗にしたし、積み過ぎて倒れたら大変だから」
少年の意見を聞いた者は、空になった本棚を見た。そして、それが綺麗に掃除されているのを確認すると、一冊一冊のタイトルを確認しながら本棚へ戻していく。
この際、ダームは本の埃が落ちた机を拭き始め、机の上に資料がなくなったところで拭き掃除を終えた。
「ねえ、ザウバー。調べてみて、僕が触っても大丈夫そうなら教えてよ。そうしたら、危険じゃないのは僕が本棚に戻すから」
それを聞いたザウバーは、綺麗になった机を見下ろした。そうしてから彼は頷き、ダームの提案を受け入れる。
「じゃ、大丈夫そうなのは机に置くわ。下手に弄ると術が発動するのは、椅子へ。これなら、いちいち確認しなくても動けるだろ」
そう言うなり、青年は時間を惜しむ様に作業を再開した。一方、ダームは本棚が空になる度に拭き、戻せる本を戻していく。彼は、その合間に調べが済んだ本の埃も払い、部屋は段々と綺麗になっていった。
しかし、ダームの触れぬ本が椅子にどんどん積まれて行き、少年は不安そうにそれを眺めていた。とは言え、その不安定さはザウバーも把握しており、椅子が軋み始める度に本を棚へ戻していた。
また、彼は気になる本だけを仕分け、少年へ棚に戻さぬ様告げた。仕分けられた本は徐々に増えたが、それでも目的の情報には当たらなかった。この為、ザウバーは少年を先に寝かせ、自分だけで調べものを続ける。
そうこうしているうちに夜が明け、約束していた時間に近付いた。ザウバーは、日が上りきる時まで本棚を調べ続け、約束を破らない様に転移魔法で移動をする。この際、彼は気になる資料や不可思議な水晶と共に移動をした。ザウバーは、今までの疲れと魔法を発動した反動で、持ち出したものをテーブルに置くと眠ってしまう。
ダームは、透き通る球体に手を伸ばした。しかし、彼がそれを掴むよりも前に、ザウバーが少年の手を掴んで止める。
「得体の知れねえもんに、迂闊に触ろうとするんじゃねえ。それより、今は食うもん食って体を休めろ」
そう言ってダームの目を見つめ、ザウバーは宝玉を一瞥する。一方、ダームは頷いてから、持っていたパンを口に運んだ。
「さて、俺も飯にするか」
青年は荷物からパンを取り出し、齧りついた。彼は、パンを素早く食べ終え、宝玉を様々な角度から見つめた。そうしている内にダームも食事を終え、椅子に座ったままその様子を眺めていた。
「お前は、黙って腹を満たしとけ」
そう言って食料が入った袋を掴み、青年は少年へ袋を渡した。すると、ダームは目を細めて頬を膨らませ、不満げに言葉を漏らす。
「喋ってなんかいないのに」
少年は、そう呟くと袋を開け、中を覗き込んだ。そして、干し肉を出すと口に咥え、咀嚼しながら仲間の様子を眺めた。暫くして、ザウバーは腕を組んで目を瞑り、気怠るそうに息を吐く。
「見るだけで分かったら、苦労しねえよな」
彼の言葉を聞いたダームは、咀嚼中の肉を飲み込んだ。そして、机上の球体を見つめると、自らの考えを口にする。
「だったら、持ち帰ってベネットさんに聞いてみたら? その方が、眺めているだけより何か掴めそうな気がする」
青年の顔を見上げ、ダームはにこやかな笑顔を浮かべてみせた。対するザウバーは目を丸くし、それから小さく息を吐く。
「確かに、眺めているだけよりは良さそうだ」
そう返すと、青年は本棚の方へ目線を動かす。そして、腰に手を当てて息を吐くと、気合いを入れ直す様に言葉を漏らした。
「それに、先ずは当初の目的を達しねえとな」
そう言って本を手に取り、ザウバーはその内容に目を通し始めた。彼は、次々に本を手に取るが、目的とする情報は見つからなかった。そうこうしている内に日は落ち、ダームは青年の背中を数回叩いた。対するザウバーは振り返り、少年の顔を見る。
「暗くなったし、そろそろ休憩しようよ。折角、食べ物も持って来ているんだし」
ダームは首を傾げ、青年の目をじっと見つめた。ザウバーは少しの間考えてから意見を受け入れ、休憩を取る。
それから、日付が変わる時間まで調べものをし、二人は幾らか綺麗になった床に寝転んだ。しかし、ザウバーは数時間したところで起き出すと作業を再開し、少年を起こさない様にしながら調べ続けた。
それでも目的のものは見付からず、青年は日が上る前に再度眠りに落ちた。そして、二日目も作業を続けたが、目ぼしい資料を見付けられぬまま日は暮れた。
ダームがに掃除をしたおかげで部屋は綺麗になったが、調べ終えた本は雑に積まれたままだった。
「いい加減、しまい直してよ。空いた棚は何度か拭いて綺麗にしたし、積み過ぎて倒れたら大変だから」
少年の意見を聞いた者は、空になった本棚を見た。そして、それが綺麗に掃除されているのを確認すると、一冊一冊のタイトルを確認しながら本棚へ戻していく。
この際、ダームは本の埃が落ちた机を拭き始め、机の上に資料がなくなったところで拭き掃除を終えた。
「ねえ、ザウバー。調べてみて、僕が触っても大丈夫そうなら教えてよ。そうしたら、危険じゃないのは僕が本棚に戻すから」
それを聞いたザウバーは、綺麗になった机を見下ろした。そうしてから彼は頷き、ダームの提案を受け入れる。
「じゃ、大丈夫そうなのは机に置くわ。下手に弄ると術が発動するのは、椅子へ。これなら、いちいち確認しなくても動けるだろ」
そう言うなり、青年は時間を惜しむ様に作業を再開した。一方、ダームは本棚が空になる度に拭き、戻せる本を戻していく。彼は、その合間に調べが済んだ本の埃も払い、部屋は段々と綺麗になっていった。
しかし、ダームの触れぬ本が椅子にどんどん積まれて行き、少年は不安そうにそれを眺めていた。とは言え、その不安定さはザウバーも把握しており、椅子が軋み始める度に本を棚へ戻していた。
また、彼は気になる本だけを仕分け、少年へ棚に戻さぬ様告げた。仕分けられた本は徐々に増えたが、それでも目的の情報には当たらなかった。この為、ザウバーは少年を先に寝かせ、自分だけで調べものを続ける。
そうこうしているうちに夜が明け、約束していた時間に近付いた。ザウバーは、日が上りきる時まで本棚を調べ続け、約束を破らない様に転移魔法で移動をする。この際、彼は気になる資料や不可思議な水晶と共に移動をした。ザウバーは、今までの疲れと魔法を発動した反動で、持ち出したものをテーブルに置くと眠ってしまう。