余った材料で調理する方が、実は難易度高いよ
文字数 1,713文字
顔を洗って目を覚ましたザウバーは、仲間がダイニングに居るかを確かめた。しかし、そこには誰も居らず、ザウバーは残った食料を確認する。
残っていた食料のうち、痛み始めたものをテーブルに置くと、ザウバーは腰に手を当てて背中を伸ばした。彼は、そうしてから食材の下処理を始め、そうしている内に夜に寝落ちしたダームが起きてくる。
「お早う、ザウバー」
良く眠れたのか少年の顔色は良く、身支度も済んでいた。この為、ザウバーはダームを揶揄うように笑う。
「お前がベネットより早く起きるとは珍しいな。まあ、早くに寝たもんな」
それを聞いた少年は苦い表情を浮かべるが、何かを言う前にベネットがダイニングにやってくる。
「お早う、ベネットさん」
ベネットはダームに挨拶を返し、ザウバーの準備した食材を見た。
「好き嫌いがうるさいのが寝ている内に、肉ばっかり使って残されちまった食材を使っちまおうと思ってな。まあ、残され続けて古くなった食材だから、味は期待すんな」
ザウバーは下処理を終えた食材を加熱し始め、それを仲間二人が眺めた。
「手伝うこともねえから、昨日の話の続きでもしていてくれ。疲れて寝ちまったけど、ダームも話したいことがあったんだろ?」
ザウバーの意外な気遣いに、ダームは目を丸くした。しかし、他にやることがないのもあって、落ち着いて話す為に椅子に座る。
「洞窟ってさ、どうせ危なくて使えないなら、立ち入り禁止に出来ないのかなって。勿論、ヘイデルの事情もあるし、立ち入り禁止にしても魔物は出るかもしれないけど……魔族が洞窟の近くにしか出ないなら、後はアークさん達の力で魔物は倒せるらしいし」
ダームが話し始めた時、ベネットは少年の前に腰を下ろした。そして、ベネットは暫くの間考えた後で、口を開く。
「アークにその権限が有れば、直ぐに検討しただろうな。だが、あくまで奴は警備兵でしかない。ヘイデルの様々な権利や決定権は、教会が握っている。そこを上手く説得出来る要因が有れば、完全な立ち入り禁止も出来ることではあるが」
「その要因があったら、前の時もそうしていただろうからな。まあ、洞窟自体を、部外者が自然現象を装って勝手に埋めたら、アークに責任はいかねえだろうけど」
ザウバーは、調理を進めながら話し、その話にダームは驚いた様子を見せる。
「ザウバー、まさかとは思うけど、魔法で洞窟毎埋めようって思っている?」
「思ってはいねえけど、一つの策で有るとは考えてんな。どの道、魔族がどう出るか分からねえから、立ち入り禁止にしちまうのが早いし、貴重な鉱石だけが目当てだってんなら、直ぐに退避出来る俺が代わりに採取する手もある。まあ、信頼されてもいない人間に、貴重な鉱石を任せるとは思えねえけど」
ザウバーは自嘲気味に笑い、ダームは呆れた様子で口を開いた。
「そりゃ、ザウバーに信頼出来る要素は少ないけど……本当に洞窟を放棄出来ない理由が鉱石だけなら、そこから説得出来ないかな? 貴重な鉱石って言うのが、そもそも何か分からないけど」
ダームは、それを知っているかもしれないベネットの顔を見た。
「貴重な鉱石である以上、その秘密を漏らしたくないのがヘイデル側の考えだろうな。それだけで莫大な利益が生じるなら、盗まれることを警戒するだろう。それに、生活に必要となる鉱石であれば、供給が絶たれるのはどうしても痛手だ。解決策が洞窟近辺の立ち入り禁止以外にあれば、それを選びたがるだろう」
それを聞いたダームは首を捻り、小さく唸った。
「少なくとも、魔族が居る時は鉱石もヘイデル以外の人には盗めない。だけど、必要となるなら、やっぱり洞窟に入りたい。上手い説得って難しいね」
ダームは肩を落とし、腕を組んだ。
「まあ、先ずは飯を食え。頭に栄養が巡っていない状態で考えるよりはマシだろ」
ザウバーは、軽く温めたパンを籠に入れてダームの前に置いた。ダームは、解せない表情を見せながらもパンを手に取る。
「マシになるかは分からないけど、頂きます」
少年はパンを食べ始め、それが食べ終わらない内にザウバーの用意した料理もテーブルに並んだ。ザウバーは料理を並べ終えると席に着き、朝食を食べ始める。
残っていた食料のうち、痛み始めたものをテーブルに置くと、ザウバーは腰に手を当てて背中を伸ばした。彼は、そうしてから食材の下処理を始め、そうしている内に夜に寝落ちしたダームが起きてくる。
「お早う、ザウバー」
良く眠れたのか少年の顔色は良く、身支度も済んでいた。この為、ザウバーはダームを揶揄うように笑う。
「お前がベネットより早く起きるとは珍しいな。まあ、早くに寝たもんな」
それを聞いた少年は苦い表情を浮かべるが、何かを言う前にベネットがダイニングにやってくる。
「お早う、ベネットさん」
ベネットはダームに挨拶を返し、ザウバーの準備した食材を見た。
「好き嫌いがうるさいのが寝ている内に、肉ばっかり使って残されちまった食材を使っちまおうと思ってな。まあ、残され続けて古くなった食材だから、味は期待すんな」
ザウバーは下処理を終えた食材を加熱し始め、それを仲間二人が眺めた。
「手伝うこともねえから、昨日の話の続きでもしていてくれ。疲れて寝ちまったけど、ダームも話したいことがあったんだろ?」
ザウバーの意外な気遣いに、ダームは目を丸くした。しかし、他にやることがないのもあって、落ち着いて話す為に椅子に座る。
「洞窟ってさ、どうせ危なくて使えないなら、立ち入り禁止に出来ないのかなって。勿論、ヘイデルの事情もあるし、立ち入り禁止にしても魔物は出るかもしれないけど……魔族が洞窟の近くにしか出ないなら、後はアークさん達の力で魔物は倒せるらしいし」
ダームが話し始めた時、ベネットは少年の前に腰を下ろした。そして、ベネットは暫くの間考えた後で、口を開く。
「アークにその権限が有れば、直ぐに検討しただろうな。だが、あくまで奴は警備兵でしかない。ヘイデルの様々な権利や決定権は、教会が握っている。そこを上手く説得出来る要因が有れば、完全な立ち入り禁止も出来ることではあるが」
「その要因があったら、前の時もそうしていただろうからな。まあ、洞窟自体を、部外者が自然現象を装って勝手に埋めたら、アークに責任はいかねえだろうけど」
ザウバーは、調理を進めながら話し、その話にダームは驚いた様子を見せる。
「ザウバー、まさかとは思うけど、魔法で洞窟毎埋めようって思っている?」
「思ってはいねえけど、一つの策で有るとは考えてんな。どの道、魔族がどう出るか分からねえから、立ち入り禁止にしちまうのが早いし、貴重な鉱石だけが目当てだってんなら、直ぐに退避出来る俺が代わりに採取する手もある。まあ、信頼されてもいない人間に、貴重な鉱石を任せるとは思えねえけど」
ザウバーは自嘲気味に笑い、ダームは呆れた様子で口を開いた。
「そりゃ、ザウバーに信頼出来る要素は少ないけど……本当に洞窟を放棄出来ない理由が鉱石だけなら、そこから説得出来ないかな? 貴重な鉱石って言うのが、そもそも何か分からないけど」
ダームは、それを知っているかもしれないベネットの顔を見た。
「貴重な鉱石である以上、その秘密を漏らしたくないのがヘイデル側の考えだろうな。それだけで莫大な利益が生じるなら、盗まれることを警戒するだろう。それに、生活に必要となる鉱石であれば、供給が絶たれるのはどうしても痛手だ。解決策が洞窟近辺の立ち入り禁止以外にあれば、それを選びたがるだろう」
それを聞いたダームは首を捻り、小さく唸った。
「少なくとも、魔族が居る時は鉱石もヘイデル以外の人には盗めない。だけど、必要となるなら、やっぱり洞窟に入りたい。上手い説得って難しいね」
ダームは肩を落とし、腕を組んだ。
「まあ、先ずは飯を食え。頭に栄養が巡っていない状態で考えるよりはマシだろ」
ザウバーは、軽く温めたパンを籠に入れてダームの前に置いた。ダームは、解せない表情を見せながらもパンを手に取る。
「マシになるかは分からないけど、頂きます」
少年はパンを食べ始め、それが食べ終わらない内にザウバーの用意した料理もテーブルに並んだ。ザウバーは料理を並べ終えると席に着き、朝食を食べ始める。