仕事も良いけど休暇も大事
文字数 1,549文字
病院スタッフが去った後、ダームとアークの会話は途切れた。代わりに、病室にはベネットがやって来た為、ダームは立ち上がって仲間の方に向かう。
「おはよう、ベネットさん。僕達は朝御飯を食べ終えたけど、ベネットさんはもう食べた?」
少年の問いにベネットは微笑み、ダームの顔を見る。
「私は、ルキアの家で済ませてきた。ダームも朝食を食べたのなら良かった」
ベネットはアークに目線を移し、その間にダームはベネット分の椅子を用意する。ベネットはダームに礼を言い、二人はアークの顔が見える様に椅子に座った。
「アークも、急変などしていないようで良かった。いや、病院に居る以上、それは不必要な不安だったか」
ベネットの話に、アークは和やかに笑ってみせた。
「おかげ様で、悪化だけはしないと思いますよ。何時に怪我が治るかは、まだ分かりませんが」
アークは微笑し、怪我の箇所を撫でた。その後、彼らはアークの体調について話し始め、そうしている内にルキアが病室にやってくる。
「体調とご機嫌いかが? アーク・シタルカー殿?」
ルキアは笑顔を浮かべながら、アークの顔を見た。対するアークは背筋を伸ばし、医師を見る。
「おかげ様で、どちらも良いですよ。後は、仕事に戻る許可が出れば」
「ああ、はいはい。仕事中毒の治療を追加しておくわ」
ルキアは、アークに手の甲を向け、前後に振った。一方、アークは苦笑し、ダームを横目で見る。
「アークさんの仕事、魔族対策なら僕達が代わりに……ううん、アークさんの助けになる様にする。だから、今は休んでね」
それを聞いたアークは肩を落とし、細く息を吐く。
「ま、事務仕事位なら許可してあげる。ただ、病室で済ませること。絶対に、病院からは出ないこと」
ルキアは、そう言ってからダームの方に体を向ける。対するダームは、首を傾げながらルキアを見上げた。
「魔族対策も良いけど、無理はしないでね。アークがこんな状態になる位に、強い魔物も出ているから」
ダームは頷き、左手を硬く握った。少年は、握った左手を胸に当て、しっかりとした口調で話し出す。
「うん。無理をするつもりはない。ちゃんと勝てる様に考えて、準備して……その準備の為に、アークさんの協力も必要だけど」
ダームは、左手を下ろし、和やかな笑みを浮かべた。
「先ずは、ヘイデルの外に残された荷物を取りに行ってくるね。荷物の量がどれ位かは分からないし、荷物が使えるのかも分からないけど、アークさん達の薬も必要だもの」
そう言うと、ダームは病室の出口へ向かった。
「だから、もう行くね。時間が経ち過ぎて、別の魔物に荒らされても嫌だし」
ダームは退室し、ベネットはそれを追いかけようとした。しかし、ルキアはベネットの退室を遮った。
「昼間は、ダーム君の代わりにアークの監視をお願いね。事務仕事までは許したけど、抜け出されても困るから」
ルキアほ、力任せにベネットをアークの傍まで引き摺った。ベネットは為すがままに動かされ、それをアークが何も言えずに眺めている。
「せめて、数日間は拘束しておきたいんだけどね。病院の人員を、アークだけに割く訳にもいかないし」
話しながら、ルキアはアークの負傷部位を診察した。アークの傷は塞がっているものの、その周辺は熱を持って腫れている。
「そこで、渡りに船。病院関係者では無いけどアークの関係者。積もる話も出来て一石二鳥。てな訳で、監視を宜しくね」
ルキアは、ベネットの背中を軽く叩いた。それから、ルキアはアークの頭を数回叩く。
「昼食は、さっと食べられるものを手配するから、ダーム君が戻ってきたら一緒に食べると良いわ。じゃ、また後でね」
軽い診察だけして、ルキアはアークの病室を去った。病室に残された二人と言えば、少しの間を置いてから顔を見合わせる。
「おはよう、ベネットさん。僕達は朝御飯を食べ終えたけど、ベネットさんはもう食べた?」
少年の問いにベネットは微笑み、ダームの顔を見る。
「私は、ルキアの家で済ませてきた。ダームも朝食を食べたのなら良かった」
ベネットはアークに目線を移し、その間にダームはベネット分の椅子を用意する。ベネットはダームに礼を言い、二人はアークの顔が見える様に椅子に座った。
「アークも、急変などしていないようで良かった。いや、病院に居る以上、それは不必要な不安だったか」
ベネットの話に、アークは和やかに笑ってみせた。
「おかげ様で、悪化だけはしないと思いますよ。何時に怪我が治るかは、まだ分かりませんが」
アークは微笑し、怪我の箇所を撫でた。その後、彼らはアークの体調について話し始め、そうしている内にルキアが病室にやってくる。
「体調とご機嫌いかが? アーク・シタルカー殿?」
ルキアは笑顔を浮かべながら、アークの顔を見た。対するアークは背筋を伸ばし、医師を見る。
「おかげ様で、どちらも良いですよ。後は、仕事に戻る許可が出れば」
「ああ、はいはい。仕事中毒の治療を追加しておくわ」
ルキアは、アークに手の甲を向け、前後に振った。一方、アークは苦笑し、ダームを横目で見る。
「アークさんの仕事、魔族対策なら僕達が代わりに……ううん、アークさんの助けになる様にする。だから、今は休んでね」
それを聞いたアークは肩を落とし、細く息を吐く。
「ま、事務仕事位なら許可してあげる。ただ、病室で済ませること。絶対に、病院からは出ないこと」
ルキアは、そう言ってからダームの方に体を向ける。対するダームは、首を傾げながらルキアを見上げた。
「魔族対策も良いけど、無理はしないでね。アークがこんな状態になる位に、強い魔物も出ているから」
ダームは頷き、左手を硬く握った。少年は、握った左手を胸に当て、しっかりとした口調で話し出す。
「うん。無理をするつもりはない。ちゃんと勝てる様に考えて、準備して……その準備の為に、アークさんの協力も必要だけど」
ダームは、左手を下ろし、和やかな笑みを浮かべた。
「先ずは、ヘイデルの外に残された荷物を取りに行ってくるね。荷物の量がどれ位かは分からないし、荷物が使えるのかも分からないけど、アークさん達の薬も必要だもの」
そう言うと、ダームは病室の出口へ向かった。
「だから、もう行くね。時間が経ち過ぎて、別の魔物に荒らされても嫌だし」
ダームは退室し、ベネットはそれを追いかけようとした。しかし、ルキアはベネットの退室を遮った。
「昼間は、ダーム君の代わりにアークの監視をお願いね。事務仕事までは許したけど、抜け出されても困るから」
ルキアほ、力任せにベネットをアークの傍まで引き摺った。ベネットは為すがままに動かされ、それをアークが何も言えずに眺めている。
「せめて、数日間は拘束しておきたいんだけどね。病院の人員を、アークだけに割く訳にもいかないし」
話しながら、ルキアはアークの負傷部位を診察した。アークの傷は塞がっているものの、その周辺は熱を持って腫れている。
「そこで、渡りに船。病院関係者では無いけどアークの関係者。積もる話も出来て一石二鳥。てな訳で、監視を宜しくね」
ルキアは、ベネットの背中を軽く叩いた。それから、ルキアはアークの頭を数回叩く。
「昼食は、さっと食べられるものを手配するから、ダーム君が戻ってきたら一緒に食べると良いわ。じゃ、また後でね」
軽い診察だけして、ルキアはアークの病室を去った。病室に残された二人と言えば、少しの間を置いてから顔を見合わせる。