容赦はいない幼馴染み
文字数 1,602文字
三人がヘイデル病院に到着すると、アークが警備兵施設から運び込まれているところだった。この為、予想が当たったルキアは楽しそうな笑顔を浮かべ、アークに近付いていく。
「この後のことは、覚悟しておきなさいね」
ルキアの一言で、ストレッチャーで運ばれているアークは、苦笑いを浮かべた。アークは、ダームやベネットの存在に気付かぬまま運ばれて行き、ルキアはダーム達の方へ歩いてくる。
「治療の指示だけは出してくるわね。二人に、看病と言う名のアークの監視を任せる為にも」
それだけ言い残すと、ルキアは手をヒラヒラ振りながら病院の奥に向かった。一方、残されたダームとベネットは、所在無さそうに顔を見合わせる。
暫くして、ダームとベネットの元にルキアが戻ってきた。彼女は満足そうな表情を浮かべており、何処から手に入れたのか花束まで持っていた。
「やっぱり、お見舞いと言えば花束よね。売れ残りで処分されるところだったやつだけど、要らない物として処分されるよりは……ね?」
ルキアは素早く片目を瞑り、ダームとベネットを見た。ベネットは苦笑しかけたが、特に何も言うこと無くやり過ごす。
「さて、アークの監禁場所に案内するわね」
不穏な単語にダームは口を開くが、ルキアに案内されるまま病院内を歩いた。ルキアが案内した先には「関係者以外立ち入り厳禁!」とドアに貼られた病院があった。
ルキアは、にやりと笑ってからドアを数回叩いた。すると、中からアークの声がし、ルキアは勢い良くドアを開けた。
「はーい、休みだったのに、警備兵が大量に負傷した為にかり出されていた病院の院長でーす! 今回は、新しい警備兵を育てなかった総司令に、幼馴染みとして喧嘩を売りに来ました!」
そう言うなり、ルキアは花束をアークに向かって投げた。アークは、それを腕で防ごうとしたが、大怪我を負った腕を固定されていた為に動けなかった。
投げられた花束は、古くなった花びらを床に落とした。しかし、花束自体は床に落ちず、ルキアの手首に繋がる紐で宙に浮かされている。
「うん、これで綺麗な花びらだけ花束に残った!」
ルキアは、床に散らかった花びらを気にとめること無く、病室に置かれていた花瓶を手に取った。そして、それに水を入れると、手際良く悪くなった茎を処理しながら花束を花瓶に挿していった。
「はい、自分で魔物を何とか倒そうとして、結果的に大怪我を負ったヘイデル警備兵総司令様に見舞いの花で御座います」
ルキアは、アークの目の前で花瓶毎花を見せつけた。その花々は、売れ残りとは思えない程に綺麗で、甘い香りをアークに感じさせた。
「警備兵の事情なんて知ったこっちゃ無いけどね、司令官が居なかったら何も出来ない、何もしない警備兵に何が守れるのかしら?」
ルキアは、花瓶の底でアークの頭を叩いた。彼女は、ベッドの傍に置かれた机に花瓶を置くと、アークが負傷した箇所を指差した。
「どんな戦い方をしたかなんて知らないけど、暫く剣は握れない。それに、魔力も枯渇している様だから、自分に回復魔法もかけられないでしょう? 尤も、アークの魔力では、大怪我までは治せない」
ルキアは、ベネットの居る方を振り返った。
「だから、絶対にアークに回復魔法を使わないでね! 大怪我をした反省が済むまで、アークを病室に閉じ込めておきたいから」
そこまで話したところで、ルキアは三脚分の椅子をベッドサイドに並べた。それから、ルキアは手招きをし、ダームをアークの頭側に一番近い椅子に座らせる。
「アークさん……一体、ヘイデルで何があったの?」
ダームは心配そうに問い、アークは気まずそうに目を伏せた。その間にルキアはベッドを操作して、アークの上体を一気に起こした。
この時、アークの体は揺れたが、それについて当人が不満を述べることは無かった。また、ベネットもルキアに言われるまま椅子に座り、アークの顔を見ようとしていた。
「この後のことは、覚悟しておきなさいね」
ルキアの一言で、ストレッチャーで運ばれているアークは、苦笑いを浮かべた。アークは、ダームやベネットの存在に気付かぬまま運ばれて行き、ルキアはダーム達の方へ歩いてくる。
「治療の指示だけは出してくるわね。二人に、看病と言う名のアークの監視を任せる為にも」
それだけ言い残すと、ルキアは手をヒラヒラ振りながら病院の奥に向かった。一方、残されたダームとベネットは、所在無さそうに顔を見合わせる。
暫くして、ダームとベネットの元にルキアが戻ってきた。彼女は満足そうな表情を浮かべており、何処から手に入れたのか花束まで持っていた。
「やっぱり、お見舞いと言えば花束よね。売れ残りで処分されるところだったやつだけど、要らない物として処分されるよりは……ね?」
ルキアは素早く片目を瞑り、ダームとベネットを見た。ベネットは苦笑しかけたが、特に何も言うこと無くやり過ごす。
「さて、アークの監禁場所に案内するわね」
不穏な単語にダームは口を開くが、ルキアに案内されるまま病院内を歩いた。ルキアが案内した先には「関係者以外立ち入り厳禁!」とドアに貼られた病院があった。
ルキアは、にやりと笑ってからドアを数回叩いた。すると、中からアークの声がし、ルキアは勢い良くドアを開けた。
「はーい、休みだったのに、警備兵が大量に負傷した為にかり出されていた病院の院長でーす! 今回は、新しい警備兵を育てなかった総司令に、幼馴染みとして喧嘩を売りに来ました!」
そう言うなり、ルキアは花束をアークに向かって投げた。アークは、それを腕で防ごうとしたが、大怪我を負った腕を固定されていた為に動けなかった。
投げられた花束は、古くなった花びらを床に落とした。しかし、花束自体は床に落ちず、ルキアの手首に繋がる紐で宙に浮かされている。
「うん、これで綺麗な花びらだけ花束に残った!」
ルキアは、床に散らかった花びらを気にとめること無く、病室に置かれていた花瓶を手に取った。そして、それに水を入れると、手際良く悪くなった茎を処理しながら花束を花瓶に挿していった。
「はい、自分で魔物を何とか倒そうとして、結果的に大怪我を負ったヘイデル警備兵総司令様に見舞いの花で御座います」
ルキアは、アークの目の前で花瓶毎花を見せつけた。その花々は、売れ残りとは思えない程に綺麗で、甘い香りをアークに感じさせた。
「警備兵の事情なんて知ったこっちゃ無いけどね、司令官が居なかったら何も出来ない、何もしない警備兵に何が守れるのかしら?」
ルキアは、花瓶の底でアークの頭を叩いた。彼女は、ベッドの傍に置かれた机に花瓶を置くと、アークが負傷した箇所を指差した。
「どんな戦い方をしたかなんて知らないけど、暫く剣は握れない。それに、魔力も枯渇している様だから、自分に回復魔法もかけられないでしょう? 尤も、アークの魔力では、大怪我までは治せない」
ルキアは、ベネットの居る方を振り返った。
「だから、絶対にアークに回復魔法を使わないでね! 大怪我をした反省が済むまで、アークを病室に閉じ込めておきたいから」
そこまで話したところで、ルキアは三脚分の椅子をベッドサイドに並べた。それから、ルキアは手招きをし、ダームをアークの頭側に一番近い椅子に座らせる。
「アークさん……一体、ヘイデルで何があったの?」
ダームは心配そうに問い、アークは気まずそうに目を伏せた。その間にルキアはベッドを操作して、アークの上体を一気に起こした。
この時、アークの体は揺れたが、それについて当人が不満を述べることは無かった。また、ベネットもルキアに言われるまま椅子に座り、アークの顔を見ようとしていた。