暖かな街
文字数 1,487文字
朝になり、アークの病室には細く日光が差し込んだ。その眩しさでダームは目を覚まし、ベッドの上で腕を伸ばした。
ダームは、ベッドの上でアークの方に顔を向けた。しかし、アークが起きている様子はなく、ダームは手持ち無沙汰そうに病室を見回す。
ダームは、暫くしてからベッドを下りてトイレに向かった。そして、トイレでの用を済ませた後で、カーテンの下から潜り込んでヘイデルの街並みを眺めた。
朝日に照らされるヘイデルは明るく、ダームは窓越しに楽しそうに散歩する人々を眺めた。ダームが楽しんで外を眺めている内にアークは目を覚まし、簡易ベッドにダームが居ないことに気付く。
アークは、どこか慌てた様子で病室を見回し、カーテンの下から生えるダームの足を見て安堵の表情を浮かべた。彼は、ダームに声を掛けることなく済ませ、そうしている内に病院スタッフが巡回にやってくる。
病室を訪れたスタッフは、アークに挨拶をすると窓の方に向かった。スタッフは、朝日を取り込む為にカーテンを開け始め、ダームの居る窓まで来たところで手を止める。
スタッフは、アークに目配せをしてから病室を去り、病室にはダームが外を眺めている以外の窓から朝日が差し込む。この為、アークは眩しそうに目を細め、体の位置を少しずらした。
それから幾らかの時間が経ち、満足したダームはカーテンの下から静かに這い出した。この際、少年はアークが起きていることに気付き赤面する。
「おはようございます、ダーム。小さいベッドでしたが、良く眠れましたか?」
アークはダームに話しかけ、和やかな笑顔を浮かべる。一方、ダームは頷き、簡易ベッドを見た。
「旅をしていると、ベッドで眠れない場合もあるし、充分良く眠れたよ。アークさんこそ、凄い怪我だしちゃんと休めたの?」
ダームは、窓際からアークの方へ歩いていった。そして、少年はアークの顔を見下ろし、首を傾げる。
「ええ、ちゃんと休みましたよ。ルキアは口でこそ私に辛く当たりますが、治療の指示はしっかりしてくれていましたし、治療を施してくれた方の腕も良かったですから」
アークは戦闘で負傷した箇所を左手で撫で、僅かに目を細める。
「それに、どうやら昨日ルキアが注いだワインに、痛みを抑える効果が付与されていた様で。効果は一時的なものではあった様ですが、お陰で眠りに落ちるまでは痛みを感じることも無かったのですよ」
アークの怪我の状態は、ダームには判らなかった。しかし、アークの話を聞いて安心したのか、簡易ベッドに腰を掛けて微笑んだ。
「そっか、アークさんもちゃんと眠れたんだね。良かった」
少年の無垢な表情で、アークは自然な笑顔を浮かべる。
「だけど、無理はしないでね? ルキアさんが言っていたけど、薬の材料が不足しちゃうみたいだし……怪我をしていた警備兵さん達は、魔物を倒しに行く途中でベネットさんが魔法で治したけど、それも全員ではないと思う」
ダームは簡易ベッドに両手をつき、深く腰を掛けた。
「アークさんみたいに入院している警備兵さんも居るだろうし、応急措置じゃ間に合わなくて警備兵施設に運ばれた人も居る。だから、その分の治療薬が必要になる。ルキアさんが本気でアークさんに薬を使わない気でいるかは、他人の僕には分からない。だけど、回復薬って貴重なのは知ってる」
ダームがそこまで話したところで、病室には病院スタッフがやってくる。この為、ダームは話すことをやめ、簡易ベッドから下りた。
病院スタッフは、アーク用の朝食を準備し、閉じたままだったカーテンを開けた。それから、簡易ベッドを端に寄せ、病院スタッフは退室する。
ダームは、ベッドの上でアークの方に顔を向けた。しかし、アークが起きている様子はなく、ダームは手持ち無沙汰そうに病室を見回す。
ダームは、暫くしてからベッドを下りてトイレに向かった。そして、トイレでの用を済ませた後で、カーテンの下から潜り込んでヘイデルの街並みを眺めた。
朝日に照らされるヘイデルは明るく、ダームは窓越しに楽しそうに散歩する人々を眺めた。ダームが楽しんで外を眺めている内にアークは目を覚まし、簡易ベッドにダームが居ないことに気付く。
アークは、どこか慌てた様子で病室を見回し、カーテンの下から生えるダームの足を見て安堵の表情を浮かべた。彼は、ダームに声を掛けることなく済ませ、そうしている内に病院スタッフが巡回にやってくる。
病室を訪れたスタッフは、アークに挨拶をすると窓の方に向かった。スタッフは、朝日を取り込む為にカーテンを開け始め、ダームの居る窓まで来たところで手を止める。
スタッフは、アークに目配せをしてから病室を去り、病室にはダームが外を眺めている以外の窓から朝日が差し込む。この為、アークは眩しそうに目を細め、体の位置を少しずらした。
それから幾らかの時間が経ち、満足したダームはカーテンの下から静かに這い出した。この際、少年はアークが起きていることに気付き赤面する。
「おはようございます、ダーム。小さいベッドでしたが、良く眠れましたか?」
アークはダームに話しかけ、和やかな笑顔を浮かべる。一方、ダームは頷き、簡易ベッドを見た。
「旅をしていると、ベッドで眠れない場合もあるし、充分良く眠れたよ。アークさんこそ、凄い怪我だしちゃんと休めたの?」
ダームは、窓際からアークの方へ歩いていった。そして、少年はアークの顔を見下ろし、首を傾げる。
「ええ、ちゃんと休みましたよ。ルキアは口でこそ私に辛く当たりますが、治療の指示はしっかりしてくれていましたし、治療を施してくれた方の腕も良かったですから」
アークは戦闘で負傷した箇所を左手で撫で、僅かに目を細める。
「それに、どうやら昨日ルキアが注いだワインに、痛みを抑える効果が付与されていた様で。効果は一時的なものではあった様ですが、お陰で眠りに落ちるまでは痛みを感じることも無かったのですよ」
アークの怪我の状態は、ダームには判らなかった。しかし、アークの話を聞いて安心したのか、簡易ベッドに腰を掛けて微笑んだ。
「そっか、アークさんもちゃんと眠れたんだね。良かった」
少年の無垢な表情で、アークは自然な笑顔を浮かべる。
「だけど、無理はしないでね? ルキアさんが言っていたけど、薬の材料が不足しちゃうみたいだし……怪我をしていた警備兵さん達は、魔物を倒しに行く途中でベネットさんが魔法で治したけど、それも全員ではないと思う」
ダームは簡易ベッドに両手をつき、深く腰を掛けた。
「アークさんみたいに入院している警備兵さんも居るだろうし、応急措置じゃ間に合わなくて警備兵施設に運ばれた人も居る。だから、その分の治療薬が必要になる。ルキアさんが本気でアークさんに薬を使わない気でいるかは、他人の僕には分からない。だけど、回復薬って貴重なのは知ってる」
ダームがそこまで話したところで、病室には病院スタッフがやってくる。この為、ダームは話すことをやめ、簡易ベッドから下りた。
病院スタッフは、アーク用の朝食を準備し、閉じたままだったカーテンを開けた。それから、簡易ベッドを端に寄せ、病院スタッフは退室する。