Good boy ?
文字数 1,368文字
与えられてばかりの個体は、少しでも苦痛を与えると魂が脆くなる。かと言って、与えぬ個体の魂全てが苦痛に耐えた訳では無かった。
実験を続ける少年は、何時しか失敗作の魂を食べ始めた。その結果、与えられてばかりいた個体の魂の味は甘かったが、痛め付けた後のそれは、とても脆くなっていた。
殆ど餌を与えずにいた個体の魂は苦く硬く、それでいて少年の魔力を底上げする要素が有った。少年は、その差に気付いてしまった後、実験の回数を増やし始める。
少年は、実験対象を魔物にまで増やした。魔力の増えた少年には、魔物を捕らえておく堅牢な檻を洞窟に作ることなど造作もなかった。
少年は、「檻に閉じ込めたまま放置するだけの魔物」と、「檻に閉じ込めた後で餌となる物を与えた魔物」とで魂の質が変わるかを調べた。その期間は小動物に比べて長く、充分な餌を与えるのにも対象の食材を探す時間が掛かった。
個人的な実験の為に時間を費やしていても、少年の成績は優れていた。それどころか、魂を喰らい高めた少年の魔力は、同級生とは比べものにならない程に優れていた。
この為、彼は教師陣から一目置かれ、学生が入ることを禁じられていた書庫への入室許可までが下りる。少年は、優等生の皮を被りながら禁書扱いの本を少しずつ読み進めた。表向き、少年は授業を深く理解する為に書庫へ入っていた。実際に少年は該当する書物を読み、丁寧に教師陣にその報告までしていた。
幼き頃から「良い子」を演じ続けてきた少年にとって、それは息をする位に用意で、生きる術でもあった。少年は、熱心に学ぶ学生と認識され、彼がその裏で何をしているのかを知る者は居なかった。
少しずつ禁書を読んでいく内に、少年は禁忌とされた呪術を発見する。それを見付けた少年の目は輝き、しっかりと理解した後で彼は実験を始めた。
少年は、魔法を使って虫を集め、密閉された容器に詰め込んだ。その容器には空気を入れ換える程度の穴しか無く、小さな虫でさえ出ることは出来ない。
少年は、虫達に餌を与えること無く放置をした。それが禁じられていた呪術であった。しかし、ただ虫を集めただけの実験は失敗した。息絶えた虫が詰まった容器だけが、そこに残された。
他の実験も同時進行していた少年は、その失敗に心を動かされることは無かった。彼は、息絶えた虫を捨て、空になった容器に肉食の種だけを詰め込んだ。
その実験は、初回よりは少年の予想の通りになった。そして、彼は生き残った個体の魂を試食する。その魂は、味を堪能するには余りにも小さかった。しかし、少年は満足そうな表情を浮かべた。
少年は、洞窟に新たな檻を作り、そこに小型の肉食の獣を閉じ込めた。彼は数日放置してから檻を確認しては、減った個体数のだけ檻のなかに獣を足した。
ひと月程経った頃、少年は放置する日数を増やした。すると、檻には少年の求めていた光景が在った。その結果に少年は歓喜し、その結果を自らの記憶に深く刻んだ。その後、少年は悪事が露呈せぬよう、実験をした証拠の全てを隠滅する。
少年は、学生と言う身分を隠れ蓑にしながら、様々な禁書に目を通した。そこに書かれた内容の全てが少年の心を動かしはしなかった。しかし、その殆どの内容を少年は記憶した。そうして、少年は学生の頃から、大人を圧倒する知識や魔力を得た。
実験を続ける少年は、何時しか失敗作の魂を食べ始めた。その結果、与えられてばかりいた個体の魂の味は甘かったが、痛め付けた後のそれは、とても脆くなっていた。
殆ど餌を与えずにいた個体の魂は苦く硬く、それでいて少年の魔力を底上げする要素が有った。少年は、その差に気付いてしまった後、実験の回数を増やし始める。
少年は、実験対象を魔物にまで増やした。魔力の増えた少年には、魔物を捕らえておく堅牢な檻を洞窟に作ることなど造作もなかった。
少年は、「檻に閉じ込めたまま放置するだけの魔物」と、「檻に閉じ込めた後で餌となる物を与えた魔物」とで魂の質が変わるかを調べた。その期間は小動物に比べて長く、充分な餌を与えるのにも対象の食材を探す時間が掛かった。
個人的な実験の為に時間を費やしていても、少年の成績は優れていた。それどころか、魂を喰らい高めた少年の魔力は、同級生とは比べものにならない程に優れていた。
この為、彼は教師陣から一目置かれ、学生が入ることを禁じられていた書庫への入室許可までが下りる。少年は、優等生の皮を被りながら禁書扱いの本を少しずつ読み進めた。表向き、少年は授業を深く理解する為に書庫へ入っていた。実際に少年は該当する書物を読み、丁寧に教師陣にその報告までしていた。
幼き頃から「良い子」を演じ続けてきた少年にとって、それは息をする位に用意で、生きる術でもあった。少年は、熱心に学ぶ学生と認識され、彼がその裏で何をしているのかを知る者は居なかった。
少しずつ禁書を読んでいく内に、少年は禁忌とされた呪術を発見する。それを見付けた少年の目は輝き、しっかりと理解した後で彼は実験を始めた。
少年は、魔法を使って虫を集め、密閉された容器に詰め込んだ。その容器には空気を入れ換える程度の穴しか無く、小さな虫でさえ出ることは出来ない。
少年は、虫達に餌を与えること無く放置をした。それが禁じられていた呪術であった。しかし、ただ虫を集めただけの実験は失敗した。息絶えた虫が詰まった容器だけが、そこに残された。
他の実験も同時進行していた少年は、その失敗に心を動かされることは無かった。彼は、息絶えた虫を捨て、空になった容器に肉食の種だけを詰め込んだ。
その実験は、初回よりは少年の予想の通りになった。そして、彼は生き残った個体の魂を試食する。その魂は、味を堪能するには余りにも小さかった。しかし、少年は満足そうな表情を浮かべた。
少年は、洞窟に新たな檻を作り、そこに小型の肉食の獣を閉じ込めた。彼は数日放置してから檻を確認しては、減った個体数のだけ檻のなかに獣を足した。
ひと月程経った頃、少年は放置する日数を増やした。すると、檻には少年の求めていた光景が在った。その結果に少年は歓喜し、その結果を自らの記憶に深く刻んだ。その後、少年は悪事が露呈せぬよう、実験をした証拠の全てを隠滅する。
少年は、学生と言う身分を隠れ蓑にしながら、様々な禁書に目を通した。そこに書かれた内容の全てが少年の心を動かしはしなかった。しかし、その殆どの内容を少年は記憶した。そうして、少年は学生の頃から、大人を圧倒する知識や魔力を得た。