それぞれの時間

文字数 1,369文字

 早朝に目覚めたザウバーは、調べ終えた本棚を戻す為に転移魔法を使った。彼は、転移した先で本棚の汚れを見比べ、汚れたままだった本棚と共にマルンに戻る。
 マルンの小屋で、ザウバーは持ち帰った本棚から本を取り出しては、空になった棚を魔法で綺麗にしていった。それから、取り出した本を調べては棚に戻し、一段分を調べ終えたところでザウバーは朝食の準備を始める。

(アークの反応は、闇属性の指輪を回収するのに都合が良かった。だが、何時ダーム達と合流出来るか分からねえ)
 ザウバーは、食材に火を通しながら唸り、味見をしては首を傾げた。

(大方、洞窟が安全かどうか話し合うだろうし、奴がやった封印が今も有効どうかも確認しないとだろうからな)
 ザウバーは、調理の終わった料理を皿に盛り付けた。そして、皿をテーブルに置き、細く息を吐く。

(と、なると、また俺が助けねえとならねえな。アークが洞窟の最奥を確認しに行って倒れたら、魔物が居なくても命が危険だ)
 ザウバーは椅子に座り、出来たての朝食を堪能した。そして、彼は使った調理器具や皿を洗うと、調べ終えていない資料を読んでは綺麗にしてから本棚に戻す作業に入った。

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 ザウバーが夕食を楽しんでいた頃、彼の仲間はアークと合流していた。アークは、持ち運び易いように袋に入れた魔力回復薬をベネットに渡し、それから夕食の食べられる店へ案内を始める。

「せっかくの機会ですし、食べながら話しましょう。魔族についての話は、聞かれたとしても、そこまで困るものでもないですから」
 アークの話にダームは首を傾げた。しかし、少年が質問を口にするよりも前に、アークが話を続ける。

「一応、奥まった個室を予約しておきました。そこでなら落ち着いて話も出来ますし、ゆっくり食事もできますので」
 話し終えたアークは微笑み、そうこうしている内に目的の店舗に着いた。そこで、アークは予約していた名前を告げ、店員は予約席にアーク達を案内する。

 店員の案内が終わった後、アークはメニュー表をダームに見せた。それから、三人の注文が決定するまで、アークは穏やかな表情でダーム達の姿を眺めた。
 注文が済んだ後、アークは魔族についての簡単な質問をダームに投げた。ダームは、知りうることをアークに伝え、全てを伝え終えたところで料理が届いた。

 この為、ダームは話すことをやめ、座席に座り直した。それから、ダーム達は作りたての料理を食べ始め、全員が食べ終えたところでアークがメニュー表のデザート欄を開きダームに見せる。

「魔族と戦って、お疲れでしょう? そう言う時は、ゆっくりと甘い物を食べると落ち着きますよ」
 それを聞いたダームは、メニュー表を見ながら悩み始めた。そして、複数のデザートに目移りしながら悩み、それを見たアークは和やかな笑みを浮かべる。

「決められないなら、全てを頼んで私と分け合いましょう。支払いについて、ダームが気にすべきことは何もありませんよ?」
 アークの話に、ダームは躊躇いを見せた。しかし、好奇心には勝てなかったのか、食べたいデザートの全てをアークに告げた。

 その後、注文したデザートは全て届き、それらを食べる時間でアークはベネットから話を聞いた。そうして、アークは魔族情報を手に入れ、ダームは満足いくまでデザートを楽しんだのだった。
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登場人物紹介

ダーム・ヴァクストゥーム

 

ファンタジー世界のせいで、理不尽に村を焼かれてなんだかんだで旅立つことになった少年。
山育ちだけにやたらと元気。
子供だからやたらと元気。
食べられる植物にやたらと詳しい野生児。

絶賛成長期。

ザウバー・ゲラードハイト

 
自称インテリ系魔術師の成年。
体力は無い分、魔力は高い。

呪詛耐性も低い。
口は悪いが、悪い奴では無い。
ブラコン。

ベネット

 

冷静沈着で、あまり感情を表に出さない女性。

光属性の攻撃魔法や回復術を使いこなしている。



OTOという組織に属しており、教会の力が強い街では、一目置かれる存在。

アーク・シタルカー


ヘイデル警備兵の総司令。

その地位からか、教会関係者にも顔が広い。

魔法や剣術による戦闘能力に長け、回復術も使用する。

基本的に物腰は柔らかく、年下にも敬語を使う。

常にヘイデルの安全を気に掛けており、その為なら自分を犠牲にする事さえ厭わない。

魔物が増えて管理職が故の悩みが増えた。

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