No title
文字数 748文字
遺跡から消えたザウバー達は、暗い部屋の中に転移していた。依然として、ザウバーは立ち上がることをしていない。
「これはね、僕が初めて作った失敗作。ただ
話し手の目線の先には、骨と皮ばかりになった人間達の姿が在った。その人間達の体は所々欠損し、動くことは無い。だが、それでも生きている。
「魂はまだ中に在る。笑っちゃうよね、僕を……僕達を出来損ない、失敗作だと嘲った奴らが今や失敗作になっている」
話し手は、ザウバーの顔を覗き込んだ。それから彼はしゃがみ込み、ザウバーの頬を両手で包み込む。
「ほら、見てご覧、ザウバー。見た目が変わってしまってはいるけど、心の醜さが露呈しただけとも言えるね?」
話し手は、頬を包み込む手を下方に動かした。この為、ザウバーは頷く様な仕草をみせる。
「不老にはなれず、不死だけを得る。どんな苦しみかは分からない。もう、言葉を発することも出来なくなっているからね。おかげで、ここはとても静かだ」
話し手はザウバーの頬から手を離し、立ち上がった。彼は部屋を見回すと、細く長い息を吐く。
「ねえ、ザウバー? 君は堕ちてきてくれる? それとも、あちら側を選ぶ?」
感情の感じられない瞳がザウバーを捕らえた。しかし、ザウバーは何の反応も示さない。
「仕方ない。君が選び易くなる様に、昔の話をしようか。君がまだ生まれる前、生まれていても覚えてはいない様な時期の話を」
そう伝えると、話し手はザウバーを椅子に座らせた。その椅子には、背もたれや肘掛けがあり、ザウバーはそれらに革紐で固定される。
ザウバーを座らせた者と言えば、その対面に椅子を出現させた。その後、彼は椅子に浅く腰を掛ける。
「さあ、君はどっちを選ぶかな?」
そう言って冷笑し、話し手は前髪をかき上げる。
「これはね、僕が初めて作った失敗作。ただ
死ねないだけ
の失敗作なんだよ」話し手の目線の先には、骨と皮ばかりになった人間達の姿が在った。その人間達の体は所々欠損し、動くことは無い。だが、それでも生きている。
「魂はまだ中に在る。笑っちゃうよね、僕を……僕達を出来損ない、失敗作だと嘲った奴らが今や失敗作になっている」
話し手は、ザウバーの顔を覗き込んだ。それから彼はしゃがみ込み、ザウバーの頬を両手で包み込む。
「ほら、見てご覧、ザウバー。見た目が変わってしまってはいるけど、心の醜さが露呈しただけとも言えるね?」
話し手は、頬を包み込む手を下方に動かした。この為、ザウバーは頷く様な仕草をみせる。
「不老にはなれず、不死だけを得る。どんな苦しみかは分からない。もう、言葉を発することも出来なくなっているからね。おかげで、ここはとても静かだ」
話し手はザウバーの頬から手を離し、立ち上がった。彼は部屋を見回すと、細く長い息を吐く。
「ねえ、ザウバー? 君は堕ちてきてくれる? それとも、あちら側を選ぶ?」
感情の感じられない瞳がザウバーを捕らえた。しかし、ザウバーは何の反応も示さない。
「仕方ない。君が選び易くなる様に、昔の話をしようか。君がまだ生まれる前、生まれていても覚えてはいない様な時期の話を」
そう伝えると、話し手はザウバーを椅子に座らせた。その椅子には、背もたれや肘掛けがあり、ザウバーはそれらに革紐で固定される。
ザウバーを座らせた者と言えば、その対面に椅子を出現させた。その後、彼は椅子に浅く腰を掛ける。
「さあ、君はどっちを選ぶかな?」
そう言って冷笑し、話し手は前髪をかき上げる。