進捗状況の報告ってパーセンテージで表すのは実は難しい
文字数 2,358文字
ザウバーは、明らかに手掛かりにならない書籍だけを除き、少しでも情報が書かれていそうな資料だけを部屋に残した。そうしてから、彼は一冊一冊をこれまで以上に丁寧に調べ、気になる箇所には紙片を挟んでいった。また、特に重要だろうと考えた内容は資料の題名や頁数と共にメモに残し、そのメモは次第に増えていった。
ザウバーは、食事も摂らずに資料を読み続け、外が暗くなったところで時間経過に気付いた。そして、部屋の明かりを点けると背を伸ばし、何度か深呼吸を繰り返した。
(このまま続けても良いが、根を詰め過ぎてもミスに繋がるだろうしな)
ザウバーは体をひとしきり解し、それから軽食を摂った。彼は、直ぐに脳の栄養になる甘いものを食べては茶を飲み、暫くの休憩を挟んでから調査を再開した。その中で、全く手掛かりにならなかった書籍は分けて置かれ、手掛かりにならないと判別した本が続いた時、青年は深い溜め息を吐いた。
深夜までザウバーは本を読み続け、ろくな食事も摂らないままベッドに倒れ込んだ。彼は、倒れ込んだ姿勢のまま眠りに落ち、そのまま朝が来るまで動くことはなかった。
日が変わってから、ザウバーはしっかりとした朝食を摂った。彼は、幾らか消化が進んだ辺りで、資料読みを始める。そうして、時間だけが過ぎていき、手掛かりを書き留めたメモは増えていった。そのメモは、走り書きも多く、文字の判別が難しいものもあった。しかし、それをザウバーが止めることはなく、メモは床に散らばる迄になった。
ザウバーが空腹を覚えた時、彼は床に散らばるメモに気付いた。青年は苦笑しながらメモを拾い、それらを重ねては机の引き出しにしまった。
(無くすのも後で面倒だし、分類用の箱でも買ってくるか)
ザウバーは、食材を求めて買い物に出た。彼は、その外出ついでに文具類も買い足し、目的の物を全て購入してから帰還する。
(さて、買い物は気分転換になったし、腹を満たしてまた頑張るか)
食事の後、ザウバーはメモを分類しながら買ったばかりの箱に入れた。彼は、その作業が終わってから資料読みを始め、今度はメモを分類しながら情報を集めた。
そうこうしている内に時間だけが過ぎ、彼は気になった資料だけを選別し終えた。しかし、それらからの情報は精査されておらず、有益な情報が確定した訳でもなかった。この為、ザウバーは気分を変える為に体を動かし、資料の内容毎に振り分けをした。しかし、煮詰まっているせいか彼の頭は働かず、溜め息の回数だけが増えていく。
(ダームが戻って来ようと思う前に、少しでも行き先の候補を決めておかねえとなのにな)
ザウバーはベッドに倒れ込み、仰臥姿勢で目を瞑った。そうしてから、彼は眠りに落ち、暫くした後で目を覚ました。
(幾らか頭がスッキリしたが、空腹にまで敏感になったな)
ベッドから出ると、ザウバーは簡単な食事を摂った。その後、彼は何かを思い出した様子で部屋を出る。
ザウバーは、兄の部屋から持ち帰った箱を机の引き出しから出した。そうしてから、彼は箱を様々な面から確認し、緊張した面持ちで蓋を開ける。
(兄貴の日記か?)
箱の中には、古びれた冊子が入っていた。その冊子に表題はなく、表紙の端は破れている箇所がある。また、簡単には開けない様にしているのか、不思議な色合いの紐で縛られていた。
ザウバーが冊子を取り出すと、その端が幾らか崩れた。また、冊子は何冊か入っており、冊子毎に素材が違っている様に見える。
(特に魔法の痕跡はないが、隠すような場所に置かれていた。迂闊に紐を解くのは、賢いやり方とは言えねえ……だが、これが手掛かりになるかも知れない)
ザウバーは、手に取った冊子の紐を解いた。その紐は驚く程簡単に解け、ザウバーは冊子を開く前に紐を箱の中に置く。
ザウバーは、深呼吸をしてから冊子を開いた。しかし、その中には何も書かれておらず、ザウバーは冊子に使われた紙を一枚一枚ゆっくりと捲った。ところが、どのページにも文字は確認出来ず、ザウバーは思わず冊子を太陽光に翳した。
(あれだけ隠すように保管しておいて、何も書かれていないのは妙だ。それに、微かだがインクの匂いがする)
ザウバーは、様々な角度から冊子を確認した。しかし、角度を変えたところで文字は浮かび上がらず、青年は低い声を漏らす。
(いや、待て。確か、特殊なインクで書いて、特定の条件でだけ確認出来るやり方が)
部屋のカーテンを閉じ、薄暗い部屋の中でザウバーは目が暗さに慣れるのを待った。それから、ザウバーは冊子を持った状態で呼吸を整える。
「黒き光よ、隠されし文字を現せ……ショビレテ・ルフナ!」
呪文が唱えられた時、冊子には青白い文字が浮かび上がった。その文字は、紙の上を揺蕩うように動き、ふわふわと浮遊しては消えていく。
(古代に禁忌とされた魔術。その断片的記録。魔術を行うのにに必要なもの)
ザウバーは、文字が消える前にその内容を頭に刻みこんだ。そして、自分用のメモを取り、ページを捲っては文字を浮かばせる為の呪文を唱えた。
(おかしい。幾らなんでも、魔力の消費量が異常だ)
数ページを自分用に記録したところで、ザウバーは自らに起きた異変に気付いた。彼は、冊子を箱に戻して目を瞑ると、疲れた様子で机に臥した。
(呪詛の類は無いと思いてえ。だが、魔力が急激に減ったのだけは確かだ)
ザウバーは、アークから魔族討伐の礼として受け取った魔力回復薬を手に取った。
(ただ魔力を消費しただけならこれで治る。だが、呪詛の類なら無駄になるだけだ)
この時、青年の腹は大きく鳴った。この為、ザウバーは一旦考えることを止め、腹を満たす為に買い物に出た。その後、充分な栄養を摂ったザウバーの魔力は回復し、魔力減少による不調も無くなった。
ザウバーは、食事も摂らずに資料を読み続け、外が暗くなったところで時間経過に気付いた。そして、部屋の明かりを点けると背を伸ばし、何度か深呼吸を繰り返した。
(このまま続けても良いが、根を詰め過ぎてもミスに繋がるだろうしな)
ザウバーは体をひとしきり解し、それから軽食を摂った。彼は、直ぐに脳の栄養になる甘いものを食べては茶を飲み、暫くの休憩を挟んでから調査を再開した。その中で、全く手掛かりにならなかった書籍は分けて置かれ、手掛かりにならないと判別した本が続いた時、青年は深い溜め息を吐いた。
深夜までザウバーは本を読み続け、ろくな食事も摂らないままベッドに倒れ込んだ。彼は、倒れ込んだ姿勢のまま眠りに落ち、そのまま朝が来るまで動くことはなかった。
日が変わってから、ザウバーはしっかりとした朝食を摂った。彼は、幾らか消化が進んだ辺りで、資料読みを始める。そうして、時間だけが過ぎていき、手掛かりを書き留めたメモは増えていった。そのメモは、走り書きも多く、文字の判別が難しいものもあった。しかし、それをザウバーが止めることはなく、メモは床に散らばる迄になった。
ザウバーが空腹を覚えた時、彼は床に散らばるメモに気付いた。青年は苦笑しながらメモを拾い、それらを重ねては机の引き出しにしまった。
(無くすのも後で面倒だし、分類用の箱でも買ってくるか)
ザウバーは、食材を求めて買い物に出た。彼は、その外出ついでに文具類も買い足し、目的の物を全て購入してから帰還する。
(さて、買い物は気分転換になったし、腹を満たしてまた頑張るか)
食事の後、ザウバーはメモを分類しながら買ったばかりの箱に入れた。彼は、その作業が終わってから資料読みを始め、今度はメモを分類しながら情報を集めた。
そうこうしている内に時間だけが過ぎ、彼は気になった資料だけを選別し終えた。しかし、それらからの情報は精査されておらず、有益な情報が確定した訳でもなかった。この為、ザウバーは気分を変える為に体を動かし、資料の内容毎に振り分けをした。しかし、煮詰まっているせいか彼の頭は働かず、溜め息の回数だけが増えていく。
(ダームが戻って来ようと思う前に、少しでも行き先の候補を決めておかねえとなのにな)
ザウバーはベッドに倒れ込み、仰臥姿勢で目を瞑った。そうしてから、彼は眠りに落ち、暫くした後で目を覚ました。
(幾らか頭がスッキリしたが、空腹にまで敏感になったな)
ベッドから出ると、ザウバーは簡単な食事を摂った。その後、彼は何かを思い出した様子で部屋を出る。
ザウバーは、兄の部屋から持ち帰った箱を机の引き出しから出した。そうしてから、彼は箱を様々な面から確認し、緊張した面持ちで蓋を開ける。
(兄貴の日記か?)
箱の中には、古びれた冊子が入っていた。その冊子に表題はなく、表紙の端は破れている箇所がある。また、簡単には開けない様にしているのか、不思議な色合いの紐で縛られていた。
ザウバーが冊子を取り出すと、その端が幾らか崩れた。また、冊子は何冊か入っており、冊子毎に素材が違っている様に見える。
(特に魔法の痕跡はないが、隠すような場所に置かれていた。迂闊に紐を解くのは、賢いやり方とは言えねえ……だが、これが手掛かりになるかも知れない)
ザウバーは、手に取った冊子の紐を解いた。その紐は驚く程簡単に解け、ザウバーは冊子を開く前に紐を箱の中に置く。
ザウバーは、深呼吸をしてから冊子を開いた。しかし、その中には何も書かれておらず、ザウバーは冊子に使われた紙を一枚一枚ゆっくりと捲った。ところが、どのページにも文字は確認出来ず、ザウバーは思わず冊子を太陽光に翳した。
(あれだけ隠すように保管しておいて、何も書かれていないのは妙だ。それに、微かだがインクの匂いがする)
ザウバーは、様々な角度から冊子を確認した。しかし、角度を変えたところで文字は浮かび上がらず、青年は低い声を漏らす。
(いや、待て。確か、特殊なインクで書いて、特定の条件でだけ確認出来るやり方が)
部屋のカーテンを閉じ、薄暗い部屋の中でザウバーは目が暗さに慣れるのを待った。それから、ザウバーは冊子を持った状態で呼吸を整える。
「黒き光よ、隠されし文字を現せ……ショビレテ・ルフナ!」
呪文が唱えられた時、冊子には青白い文字が浮かび上がった。その文字は、紙の上を揺蕩うように動き、ふわふわと浮遊しては消えていく。
(古代に禁忌とされた魔術。その断片的記録。魔術を行うのにに必要なもの)
ザウバーは、文字が消える前にその内容を頭に刻みこんだ。そして、自分用のメモを取り、ページを捲っては文字を浮かばせる為の呪文を唱えた。
(おかしい。幾らなんでも、魔力の消費量が異常だ)
数ページを自分用に記録したところで、ザウバーは自らに起きた異変に気付いた。彼は、冊子を箱に戻して目を瞑ると、疲れた様子で机に臥した。
(呪詛の類は無いと思いてえ。だが、魔力が急激に減ったのだけは確かだ)
ザウバーは、アークから魔族討伐の礼として受け取った魔力回復薬を手に取った。
(ただ魔力を消費しただけならこれで治る。だが、呪詛の類なら無駄になるだけだ)
この時、青年の腹は大きく鳴った。この為、ザウバーは一旦考えることを止め、腹を満たす為に買い物に出た。その後、充分な栄養を摂ったザウバーの魔力は回復し、魔力減少による不調も無くなった。