エピローグ

文字数 500文字

 マルンに戻った後、ベネットの魔法によってダームは細かい傷までも治された。また、ダームは破けてしまった服も着替え、消耗した体力を回復させる為に直ぐにベッドで横になった。
 ザウバーやベネットもまた、ダームの様子を確認してから各々のベッドで眠りについた。疲れ切った彼等は直ぐに眠りに落ち、直ぐに目覚めることはなかった。

 その翌朝、ザウバーは目覚めるなり着替え、顔を洗った。それから、彼は転移魔法を使い、兄だった欠片の近くに移動した。
「墓標なんて、無くても俺は忘れない。だが」
 ザウバーは、兄だった欠片の傍に小さな木を生やした。その木には数枚の葉しかなく、枝も細い。

「それと」
 ザウバーは、手に持っていた七色の花を天高く掲げた。そして、彼は目を瞑り、ゆっくりと言葉を紡いでいく。
「我、願う。古の遺跡を覆う草花をここに」
 ザウバーの持っていた花の花弁は粉々になって消え、代わりに淡い光が周囲を包んだ。その光が消えた頃、遺跡の在った場所には、色とりどりの草花が広がっていた。

 ザウバーは、暫くした後で目を開き、景色の変化を確認した。彼は、暫く穏やかな景色を楽しんだ後、和やかな笑顔を浮かべて涙を流すのだった。
 
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

ダーム・ヴァクストゥーム

 

ファンタジー世界のせいで、理不尽に村を焼かれてなんだかんだで旅立つことになった少年。
山育ちだけにやたらと元気。
子供だからやたらと元気。
食べられる植物にやたらと詳しい野生児。

絶賛成長期。

ザウバー・ゲラードハイト

 
自称インテリ系魔術師の成年。
体力は無い分、魔力は高い。

呪詛耐性も低い。
口は悪いが、悪い奴では無い。
ブラコン。

ベネット

 

冷静沈着で、あまり感情を表に出さない女性。

光属性の攻撃魔法や回復術を使いこなしている。



OTOという組織に属しており、教会の力が強い街では、一目置かれる存在。

アーク・シタルカー


ヘイデル警備兵の総司令。

その地位からか、教会関係者にも顔が広い。

魔法や剣術による戦闘能力に長け、回復術も使用する。

基本的に物腰は柔らかく、年下にも敬語を使う。

常にヘイデルの安全を気に掛けており、その為なら自分を犠牲にする事さえ厭わない。

魔物が増えて管理職が故の悩みが増えた。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み