珍しいもののある街
文字数 884文字
マルンを発ってから五日後、三人は空気が乾燥した街に到着する。その街は、様々な建物が在り、住んでいる者も多かった。また、食物を売る店も沢山在り、甘い香りが街の入り口にまで届いている。街の入り口には、丸太が二本埋められており、その太さは成人の胴回りの倍はある。また、丸太へ貼り付けられたプレートには、街の名が書いてあった。少年は、金属の板に刻まれた文字を見ると街を眺め、感慨深そうに口を開く。
「デザトの街か……結構大きくて、回り甲斐がありそう」
「だな。これなら、泊まる場所にも苦労しなくて済みそうだ」
そう言うと、青年は街の中に歩みを進めた。街に並ぶ店には緑色をした食物が多く並べられ、少年は声を上げる。
「見たこと無い食べ物が沢山ある。どういう味なのかな?」
ベネットが少年の目線の先を見やると、青々とした野菜が店頭に並べられていた。その中には、赤身掛かった丸い食物も有り、ダームの目線はそこへ向かっている。
「試しに何か買ってみるか?」
ベネットは少年の顔を見つめ、ダームは大きく頷いた。それから、ダームは様々な商品の並ぶ台に駆け寄り、甘い香りのする食べ物を手に取る。その後、彼は商品の代金を店主に支払い、歩きながらその食物に齧りついた。
すると、断片から果汁が溢れ出し、ダームの手を伝って地面に落ちる。この為、少年は手に付いた果汁を舐め、食べ終えたところで強く手を振った。ダームは、湿った手を服で拭うと、笑顔を浮かべて話し始める。
「凄く美味しかった! 甘い汁がたっぷりで」
ダームは周囲を見回し、思案顔で言葉を続ける。
「でも、不思議。空気も地面も乾燥してるのに、水分たっぷりなんて」
「だからこそ、聖霊の力が働いているんじゃねえかって話だ」
青年は道の先に目線を送った。
「乾燥した気候だからこそ、水分を蓄えているという説もある」
ザウバーは苦笑し、目線を左右に動かした。目線の先では、楕円形をした野菜が売られており、それには棘が生えている。
「どっちにしたって、見たことねえもんばっかり売っている。新しい情報は有んだろ」
青年は空を見上げ、ゆっくり息を吐き出した。
「デザトの街か……結構大きくて、回り甲斐がありそう」
「だな。これなら、泊まる場所にも苦労しなくて済みそうだ」
そう言うと、青年は街の中に歩みを進めた。街に並ぶ店には緑色をした食物が多く並べられ、少年は声を上げる。
「見たこと無い食べ物が沢山ある。どういう味なのかな?」
ベネットが少年の目線の先を見やると、青々とした野菜が店頭に並べられていた。その中には、赤身掛かった丸い食物も有り、ダームの目線はそこへ向かっている。
「試しに何か買ってみるか?」
ベネットは少年の顔を見つめ、ダームは大きく頷いた。それから、ダームは様々な商品の並ぶ台に駆け寄り、甘い香りのする食べ物を手に取る。その後、彼は商品の代金を店主に支払い、歩きながらその食物に齧りついた。
すると、断片から果汁が溢れ出し、ダームの手を伝って地面に落ちる。この為、少年は手に付いた果汁を舐め、食べ終えたところで強く手を振った。ダームは、湿った手を服で拭うと、笑顔を浮かべて話し始める。
「凄く美味しかった! 甘い汁がたっぷりで」
ダームは周囲を見回し、思案顔で言葉を続ける。
「でも、不思議。空気も地面も乾燥してるのに、水分たっぷりなんて」
「だからこそ、聖霊の力が働いているんじゃねえかって話だ」
青年は道の先に目線を送った。
「乾燥した気候だからこそ、水分を蓄えているという説もある」
ザウバーは苦笑し、目線を左右に動かした。目線の先では、楕円形をした野菜が売られており、それには棘が生えている。
「どっちにしたって、見たことねえもんばっかり売っている。新しい情報は有んだろ」
青年は空を見上げ、ゆっくり息を吐き出した。