His next hope
文字数 1,579文字
働き始めた後で、青年は助手が不在の理由を理解した。その仕事は山積みで、休める日は少なかった。初めこそ、今まで溜まっていた仕事があるのだろうと青年は納得していた。しかし、仕事を続ける内に、それは勘違いだったことに気付く。
忙しく仕事をこなしながら、青年は心を病んでいった。そして、彼の実験対象には、人間が含まれる様になった。
青年は、街で彼を軽んじた者を攫い、実験に使用した。万が一、人目に付いてしまった時は、目撃者の記憶を青年は消した。青年には、労せずして他者の記憶を魔法で細工出来る能力があった。
見た目や年齢、様々な要因で差別した者を攫っては、青年は自分の求める研究成果の為に実験をした。彼は、実験対象を痛め付けては魂を喰らい、残った器を魔物の餌にすることもあった。
人間の魂を食す様になってから、青年は疲れを感じにくくなった。その頃の青年の体は、人間よりも魔族に近くなっていた。魔力の量に関して言えば低級魔族を凌駕していた。
青年は、本当の力を悟られぬ様、他人と接する時は自ら力を封じた。服の下に隠したネックレスには、魔力を外に出さない術式が組まれ、誰一人として青年の莫大な魔力に気付く者は居なかった。そうして、青年は誰にも打ち明けることなく、人間を超越した存在になっていく。
助手の仕事を続ける内に、青年は何千年も前に封じられた魔王の記録を発見する。当時、不死の魔王を滅することは出来無かった。だが、千年以上の時を経て封印された魔王の肉体は朽ち、今や封印を解いたところで魔王の入る体はない。
それを知った青年は、ある仮説を立てた。魔王の体が無いならば、代わりの肉体が有れば良い。もし、それが叶うならば……
それからの青年の興味は、魔王に移った。彼は、魔王だけではなく魔族についても熱心に調べた。そうしている内に、青年は機会に恵まれる。
青年は、助手として遺跡調査に同行することが多かった。これこそが多忙の理由でもあった。長期に渡る調査は、多くの者にとっては苦痛でしかなく、決して軽くはない荷物を持たされる助手の負担は大きかった。
遺跡調査を繰り返していく内に、青年達の目的地は「魔王が封印されたとされる遺跡」となった。青年は、その日の為に入念な調査をした。また、来るべき機会の為に失敗せぬ様、念入りな根回しもした。そうして、抜かりのない準備を済ませた青年は、秘めていた計画を実行する。
青年は教授を上手く操り、魔王の封印を解かせた。この際、教授の命は失われたが、それもまた青年の計画した筋書きだった。
魔王の魂は更なる獲物を求め、青年に向かってきた。だが、これこそが青年の求めていた瞬間だった。青年は、魔王の魂を喰らった。その決して小さくはない魂に噛み付き、引き千切り咀嚼した。魂だけの存在とと成り果てた魔王の抵抗で、青年は口や耳、様々な穴から血を流した。しかし、既に不死となっていた青年の体は朽ちなかった。長期の封印により弱った魔王の魂は、青年の力によって屈伏させられた。
青年の躰には、今や魔王の魔力が宿っている。その力は強大で、もし青年が人間のままであれば命は無かった。ただ、これまでの実験で、青年の体は人間を超越したものと成り果てていた。
青年の外見こそ人間の形を成していたが、死なず朽ちず、年を取ることもない。そう言った存在に青年は成っていた。
力を手に入れた青年は、遺跡の中で静かに笑った。彼は、躰の中で暴れ回る魔力を飼い慣らし、それが落ち着いた後で新たな計画を実行する。
青年は、魔族を見付けては配下に置いた。もし、逆らう魔族が居れば、見せしめとしていたぶった。彼はそうしてから魔族の魂までも腹に収めた。
青年は、結果的に魔族の数を減らした。この為、物足りなくなった彼は、その代わりに別の世界から魔物や魔族を召喚する方法を探し始める。
忙しく仕事をこなしながら、青年は心を病んでいった。そして、彼の実験対象には、人間が含まれる様になった。
青年は、街で彼を軽んじた者を攫い、実験に使用した。万が一、人目に付いてしまった時は、目撃者の記憶を青年は消した。青年には、労せずして他者の記憶を魔法で細工出来る能力があった。
見た目や年齢、様々な要因で差別した者を攫っては、青年は自分の求める研究成果の為に実験をした。彼は、実験対象を痛め付けては魂を喰らい、残った器を魔物の餌にすることもあった。
人間の魂を食す様になってから、青年は疲れを感じにくくなった。その頃の青年の体は、人間よりも魔族に近くなっていた。魔力の量に関して言えば低級魔族を凌駕していた。
青年は、本当の力を悟られぬ様、他人と接する時は自ら力を封じた。服の下に隠したネックレスには、魔力を外に出さない術式が組まれ、誰一人として青年の莫大な魔力に気付く者は居なかった。そうして、青年は誰にも打ち明けることなく、人間を超越した存在になっていく。
助手の仕事を続ける内に、青年は何千年も前に封じられた魔王の記録を発見する。当時、不死の魔王を滅することは出来無かった。だが、千年以上の時を経て封印された魔王の肉体は朽ち、今や封印を解いたところで魔王の入る体はない。
それを知った青年は、ある仮説を立てた。魔王の体が無いならば、代わりの肉体が有れば良い。もし、それが叶うならば……
それからの青年の興味は、魔王に移った。彼は、魔王だけではなく魔族についても熱心に調べた。そうしている内に、青年は機会に恵まれる。
青年は、助手として遺跡調査に同行することが多かった。これこそが多忙の理由でもあった。長期に渡る調査は、多くの者にとっては苦痛でしかなく、決して軽くはない荷物を持たされる助手の負担は大きかった。
遺跡調査を繰り返していく内に、青年達の目的地は「魔王が封印されたとされる遺跡」となった。青年は、その日の為に入念な調査をした。また、来るべき機会の為に失敗せぬ様、念入りな根回しもした。そうして、抜かりのない準備を済ませた青年は、秘めていた計画を実行する。
青年は教授を上手く操り、魔王の封印を解かせた。この際、教授の命は失われたが、それもまた青年の計画した筋書きだった。
魔王の魂は更なる獲物を求め、青年に向かってきた。だが、これこそが青年の求めていた瞬間だった。青年は、魔王の魂を喰らった。その決して小さくはない魂に噛み付き、引き千切り咀嚼した。魂だけの存在とと成り果てた魔王の抵抗で、青年は口や耳、様々な穴から血を流した。しかし、既に不死となっていた青年の体は朽ちなかった。長期の封印により弱った魔王の魂は、青年の力によって屈伏させられた。
青年の躰には、今や魔王の魔力が宿っている。その力は強大で、もし青年が人間のままであれば命は無かった。ただ、これまでの実験で、青年の体は人間を超越したものと成り果てていた。
青年の外見こそ人間の形を成していたが、死なず朽ちず、年を取ることもない。そう言った存在に青年は成っていた。
力を手に入れた青年は、遺跡の中で静かに笑った。彼は、躰の中で暴れ回る魔力を飼い慣らし、それが落ち着いた後で新たな計画を実行する。
青年は、魔族を見付けては配下に置いた。もし、逆らう魔族が居れば、見せしめとしていたぶった。彼はそうしてから魔族の魂までも腹に収めた。
青年は、結果的に魔族の数を減らした。この為、物足りなくなった彼は、その代わりに別の世界から魔物や魔族を召喚する方法を探し始める。