魔族との対決
文字数 1,371文字
「僕に手も足も出なかった子供に、また会えるなんてね」
洞窟の中からは、ヴァリスが姿を現した。ヴァリスは、ダームを見ながら冷笑し、右手を顎に当てる。
「再会出来たからには、おもてなししないとね」
ヴァリスが言った時、ダーム達を囲む様に魔物が現れた。その魔物は、先程現れたものと似た大きさだったが、その個体数は十を上回っている。
「ここまで来られたからには、数体なら倒す力はあっただろうけど」
ヴァリスが話している途中で、彼の背後から重低音が響いた。その音を不審に思ったヴァリスが洞窟の方を振り返ると、その入り口は岩と土で塞がれている。
「は?」
その状況に、ヴァリスは苛立った様な声を上げた。また、その隙にベネットが魔法の詠唱を済ませ、ヴァリスが喚び出した魔物は跡形もなく霧散する。
「成る程、ただ数の差で押そうと考えただけじゃない……ってことか」
ヴァリスが話した時、彼の足下からは黒い影が伸びた。その影は、ダームに向かって伸びて来るが、少年は剣を使ってその影を切り裂いた。
また、少年の成長にヴァリスが驚いている間に、ベネットが魔法の詠唱を終えた。その魔法はヴァリスの体を貫こうとするが、黒い影が盾となって攻撃を防いだ。
「まさか、その子が戦えたとは……ね。流石に誤算だったよ」
ヴァリスは、言い終わるなり新たな魔物を生じさせた。その魔物はダーム達に向かって来るが、攻撃されるよりも前にザウバーが防御魔法を発動させる。
「行けるな?」
ザウバーは、ダームに向かって言い、少年は剣の柄を強く握った。その間にベネットは魔物を倒す為の詠唱を進め、それが終わる時を見計らってダームは肯いた。
三人を取り囲む魔物達へ、魔法による攻撃が降り注いだ瞬間、ダームはヴァリスに向かって駆け出した。対するヴァリスは、余裕を見せながらダームへ攻撃を始める。
しかし、そのどれも少年はかわし、かわしきれないものはザウバーの魔法によって防がれた。とうとうダームが眼前に迫った時、ヴァリスは黒い影で身を守ろうとする。
だが、ダームの持つ剣はそれすら切り裂き、その切っ先はヴァリスの胸元に届いた。ここに来てヴァリスは焦りを見せ、ダームはその隙を突いて剣を深くヴァリスの腹に差し込んだ。
この時、ヴァリスはまだ少年を何処か下に見ていた。しかし、剣で刺された部分から体が崩壊していることに気付くなり、ダームを力尽くで引き剥がそうとする。
それに気付いたダームは、ヴァリスに触れられるよりも前に後退し、伸ばされた腕に向けて剣を振った。その攻撃は軽い衝撃だったが、魔族であるヴァリスには剣の持つ力が充分に効いた。
「こんなっ」
ヴァリスは心底悔しそうな声を上げたが、その体は声の出せぬ程に崩れていた。そして、恨めしそうな眼差しを少年へ向けながら、ヴァリスの体は跡形もなく消えた。
荒い呼吸を繰り返しながら、少年はヴァリスの居た場所を眺めている。敵が消えても、少年は緊張したまま、剣を強く握っていた。
ヴァリスが消えた後、新たな魔物が出現することは無かった。この為、ダームは仲間の居る方を振り返る。
すると、ザウバーは明るい笑顔でダームに話し掛けようとした。しかし、それが声になるより前に、少年はその場で尻餅をついてしまう。
この為、ザウバーとベネットはダームの方へ向かい、少年の顔を覗き込む。
洞窟の中からは、ヴァリスが姿を現した。ヴァリスは、ダームを見ながら冷笑し、右手を顎に当てる。
「再会出来たからには、おもてなししないとね」
ヴァリスが言った時、ダーム達を囲む様に魔物が現れた。その魔物は、先程現れたものと似た大きさだったが、その個体数は十を上回っている。
「ここまで来られたからには、数体なら倒す力はあっただろうけど」
ヴァリスが話している途中で、彼の背後から重低音が響いた。その音を不審に思ったヴァリスが洞窟の方を振り返ると、その入り口は岩と土で塞がれている。
「は?」
その状況に、ヴァリスは苛立った様な声を上げた。また、その隙にベネットが魔法の詠唱を済ませ、ヴァリスが喚び出した魔物は跡形もなく霧散する。
「成る程、ただ数の差で押そうと考えただけじゃない……ってことか」
ヴァリスが話した時、彼の足下からは黒い影が伸びた。その影は、ダームに向かって伸びて来るが、少年は剣を使ってその影を切り裂いた。
また、少年の成長にヴァリスが驚いている間に、ベネットが魔法の詠唱を終えた。その魔法はヴァリスの体を貫こうとするが、黒い影が盾となって攻撃を防いだ。
「まさか、その子が戦えたとは……ね。流石に誤算だったよ」
ヴァリスは、言い終わるなり新たな魔物を生じさせた。その魔物はダーム達に向かって来るが、攻撃されるよりも前にザウバーが防御魔法を発動させる。
「行けるな?」
ザウバーは、ダームに向かって言い、少年は剣の柄を強く握った。その間にベネットは魔物を倒す為の詠唱を進め、それが終わる時を見計らってダームは肯いた。
三人を取り囲む魔物達へ、魔法による攻撃が降り注いだ瞬間、ダームはヴァリスに向かって駆け出した。対するヴァリスは、余裕を見せながらダームへ攻撃を始める。
しかし、そのどれも少年はかわし、かわしきれないものはザウバーの魔法によって防がれた。とうとうダームが眼前に迫った時、ヴァリスは黒い影で身を守ろうとする。
だが、ダームの持つ剣はそれすら切り裂き、その切っ先はヴァリスの胸元に届いた。ここに来てヴァリスは焦りを見せ、ダームはその隙を突いて剣を深くヴァリスの腹に差し込んだ。
この時、ヴァリスはまだ少年を何処か下に見ていた。しかし、剣で刺された部分から体が崩壊していることに気付くなり、ダームを力尽くで引き剥がそうとする。
それに気付いたダームは、ヴァリスに触れられるよりも前に後退し、伸ばされた腕に向けて剣を振った。その攻撃は軽い衝撃だったが、魔族であるヴァリスには剣の持つ力が充分に効いた。
「こんなっ」
ヴァリスは心底悔しそうな声を上げたが、その体は声の出せぬ程に崩れていた。そして、恨めしそうな眼差しを少年へ向けながら、ヴァリスの体は跡形もなく消えた。
荒い呼吸を繰り返しながら、少年はヴァリスの居た場所を眺めている。敵が消えても、少年は緊張したまま、剣を強く握っていた。
ヴァリスが消えた後、新たな魔物が出現することは無かった。この為、ダームは仲間の居る方を振り返る。
すると、ザウバーは明るい笑顔でダームに話し掛けようとした。しかし、それが声になるより前に、少年はその場で尻餅をついてしまう。
この為、ザウバーとベネットはダームの方へ向かい、少年の顔を覗き込む。