第34話
文字数 4,240文字
その日、私は、しばらく振りに、銀座に行った…
思えば、一体、幾日ぶりだろう?…
自分でも、考え込むほどだった…
家にいて、ウジウジしていても、仕方がない…
悩んでいても、仕方がない…
そう、思った…
なるようにしか、ならない…
金崎実業を休職して、復帰する…
それが、目下の夢だが、おそらく、その夢は、叶うまい…
あの水野良平に、金崎実業を、退職すれば、他の水野・米倉グループの会社を紹介すると、言われたが、それに、甘えていいのか、どうかも、わからない…
そもそも、私は、水野や米倉とは、なんの関係もないからだ…
偶然、知り合っただけ…
巻き込まれただけだ…
だから、本当は、これ以上の付き合いは、止めたい…
遠慮したいと、思った…
なぜなら、そもそも、身分が、違う…
私は、お金持ちでも、なんでもない…
平民の私には、縁遠い世界のひとたち…
だから、これ以上の付き合いは、止めたいと、思った…
が、
現実は?…
ズルズルと、付き合っている…
付き合い続けている…
まるで、男女の腐れ縁のようだ(笑)…
もう、こんなダメ男とは、別れなきゃ…
そう、心で、思っていても、別れられない…
付き合い続けている…
それと、同じだ…
その一方で、そう言えば、前回、この銀座に来た時は、あの米倉正造に会ったときだ…
と、思い出した…
あの米倉正造に最後に会ったときだと、思い出した…
あのとき、正造は、銀座のホステスか、なにかと、腕を組んで、歩いていた…
いわゆる、同伴出勤だったのだろう…
二十代の若い、派手な格好の女のコと、腕を組んで歩いていた…
それを、思い出した…
そして、あのとき、正造を見て、私は、生まれて初めて、恋をしたことに、気付いた…
生まれて初めて、男のひとを好きになったことに、気付いた…
キスもセックスもしていない…
が、
生まれて初めて、男のひとを好きになったことに、気付いた…
が、
今は、あのときほどの高揚感はない…
先日、久しぶりに、米倉正造から、電話があったが、正直、言って、それほど、ときめかなかった…
だとしたら、病気ではないが、あのときだけ…
ひょっとして、あのときだけ、そう思ったのだろうか?
アレは、あの高揚感は、あのときだけの感情だったのだろうか?
私は、考えた…
もし、本当に、米倉正造が、好きなら、あのとき、正造から、電話を、もらったときに、きっと、天にも昇らんばかりに、喜んだはずだ…
いや、
さすがに、それは、ないか(苦笑)?
私は、十代の中学生や高校生ではない…
好きだった男に、半年振りに、電話を、もらったからと言って、頬を赤く染めるような年齢でもないからだ…
すでに、34歳になろうとしている私が、そんな真似はできない…
いや、
そもそも、私が、十代の中学生や高校生であっても、そんなふうに、騒がなかったはずだ…
正直、私は、小柄ながら、美人で、学生時代は、男のコに、これでもかというほど、モテたが、心が動いた記憶は、ただの一度もなかった…
これは、どうしてなのか?
よく、わからない…
本当のところは、わからない…
ただ、周囲に、私の好みのイケメンが、いなかっただけなのか?
はたまた、私が、他人を好きになれない、冷たい女なのか?
わからない…
ただ、わかったことは、生まれて、初めて、米倉正造や、水野透(とおる)と会って、心が、動いたということだ…
ひとを好きになったということだ…
33年生きてきて、初めて、男のひとに、心が動いたということだ…
これまで、33年生きてきて、わかったことは、単純に、自分は、滅多なことでは、心が動かない人間であるということだった…
簡単に、ひとを好きになれない人間だということだった…
誰もが、同じ環境で、生きていない…
どんな人間も、皆、育った環境が、違う…
たとえ、兄弟姉妹でも、違う…
兄弟姉妹ならば、家庭環境は、同じだが、年齢が違うから、学校が同じでも、学年が、違う…
その結果、やはり、学校での環境が違う…
だから、恋をしていたとしても、ひょっとしたら、自分も、この環境だったら、好きな男の一人や二人できていたはずだということは、結構あるはずだ(笑)…
学生時代は、大学を除けば、基本、男女半々だったが、同じ学校でも、中学、高校とも、全学年で、千人にも、満たなかった…
となると、男女は、500人、500人…
すると、当然、その500人の中に、好きな男がいなければ、付き合おうとは、思わない…
そういうことだ…
そして、歳を取って、つくづく思ったことは、自分の行動範囲は、狭いということだ…
いや、
自分だけではない…
誰もが、自分の行動範囲は、決して、広いものではない…
だから、その中で、自分が、好きなひとを、見つけられるか、否かは、運による…
極端な話、自分の周りに、十人しか、自分と、年齢が変わらない男のひとがいて、その中で、このひとと結婚したい、と、思うひとも、いるかも、しれない…
真逆に、自分の周囲に,千人、いや、3千人、5千人の独身男性がいても、誰もいないときがある(笑)…
つまり、そういうことだ(爆笑)…
これは、極端過ぎる例だが、世の中、そういうものだ…
だから、男も女も、いつしか、妥協する…
あるいは、歳を取るごとに、考え方が、変わって来る…
若い時は、イケメン好きの、顔が命だった女が、性格の良い男に走った例などは、その典型だろう…
誰もが、歳を取るごとに、変化する…
単なる妥協ではなく、考え方が、変わって来るからだ…
だから、男の好みも、変わって来るものだ(笑)…
そして、そんなふうに、私が、考えるのは、もうすぐ34歳になるであろう、私の歳のせいもあるが、自己弁護というか…
これまで、ろくに、恋愛一つしていなかった自分に対する自己弁護の気持ちもたぶんに、あるかも、しれない…
ふと、思った…
認めたくは、ないが、これまで、ろくに恋愛一つしてこなかった自分に対する反論というか…
ともかく、どうして、この歳まで、恋愛一つしてこなかったかの説明を、必死になって、自分にしている…
そう、思った…
と、そのときだった…
ふと、誰かの視線を感じた…
誰かが、私を見ている…
そんな感覚があった…
誰かに、見られている…
そんな気がした…
だから、私は、慌てて、その視線の先を見た…
すると、そこには、一人の女の姿があった…
年齢は、二十代…
私よりも、十歳は、若い…
私は、彼女の視線を感じて、彼女を見た…
が、
知っている顔ではなかった…
私の知り合いでも、なかった…
が、
彼女の方は、一刻も、視線をはずすことなく、私を見ている…
これは、もしかしたら、私の知り合いかも?
ふと、思い直した…
こちらが、見ても、一刻も、視線を外すことなく、私を見ているのは、尋常ではない…
例えば、私が、気付かなくても、中学や、高校のときの同級生とか…
ふと、思った…
私が、中学や、高校時代は、もう二十年も昔…
仮に、そのときの同級生だったら、当然、容姿が変わっている…
そう、思った…
が、
たった今、私をジッと見つめている、この女のコは、二十代前半…
当てはまらない…
だったら、一体、どうして?
謎だった…
だから、考えざるを得なかった…
が、
私が考えている最中にも、その女性は、一向に、私から、視線を外さなかった…
だから、これ以上、考えても、仕方がない…
これ以上、悩んでも、仕方がない…
そう、私は決意すると、ツカツカと、その女のコの元に、歩み寄った…
「…失礼ですが、なにか、ご用ですか?…」
と、私は、聞いた…
が、
相手は、答えなかった…
「…」
と、なにも、言わなかった…
これでは、なにも、わからない…
これは、困った…
だから、質問を変えた…
「…あの…私が、なにか、しましたか?…」
と、今度は、聞いた…
もしかしたら、私が、知らない間に、彼女になにか、失礼なことをした可能性もあるからだ…
これには、彼女も、
「…いえ…」
と、小さく答えた…
「…だったら…」
私は、つい、口走った…
だったら、一体、どうして、さっきから、そんなに、私を睨んでいるのだろう?
と、言いたくなった…
そして、そのときに、ふと、気付いた…
…似ている?…
…私に、似ている…
ふと、気付いた…
身長は、私より、わずかに、大きいが、顔だけでなく、全体の印象が、似ている…
いわゆる、色白の清楚な印象の美人…
私と、あの米倉好子さんと、似ている…
が、
どちらかと、言えば、私に似ている…
私、高見ちづるの方に、似ている…
そして、気付いた…
あのフライデーの写真だ…
あのとき、好子さんは、
「…透(とおる)と、いっしょに、写った女のコは、私より、高見さんに、似ている…」
と、言った…
それを、思い出した…
一瞬にして、フラッシュバックではないが、その言葉を思い出した…
その言葉を思い出しながら、私は、あらためて、眼前の女のコを見た…
二十代前半で、私や好子さんに似た、清楚な印象の美人…
すでに、何度も言い尽くしたように、女優の常盤貴子さんの若いときのような美人だ…
が、
眼前の女のコの方が、目がキツイというか…
明らかに、私や好子さんよりも、気が強そうだ…
あるいは、年齢が、違うからかも、しれない…
この女のコは、私や好子さんより、10歳近く、若い…
だから、性格も、キツイというか…
歳を取れば、誰しも、性格が、丸くなる…
もちろん、例外はあるが、大抵は、丸くなる…
すると、それが、大抵は、目に表れる…
目が優しくなるのだ…
だから、この眼前の女のコは、目がキツイのかも、しれないと、思った…
そう、思いながら、この女のコを見た…
すると、
「…高見…高見ちづるさん?…」
と、いきなり、私の名前を言った…
私は、驚いた…
まさか、この見知らぬ女のコから、私の名前が出るとは、思わなかったからだ…
「…一体、どうして、私の名前を?…」
私は、驚きながらも、口にした…
見ず知らずの人間が、いきなり、私の名前を口にしたことに、驚いたのだ…
当たり前だった…
そして、その後の言葉は、さらに、私を仰天させた…
「…私は、米倉正造の妹です…」
と、眼前の女は、名乗った…
私は、驚きで、二の句が、告げなかった…
あまりの驚きで、パソコンでないが、カラダが、フリーズして、動かなくなった…
思えば、一体、幾日ぶりだろう?…
自分でも、考え込むほどだった…
家にいて、ウジウジしていても、仕方がない…
悩んでいても、仕方がない…
そう、思った…
なるようにしか、ならない…
金崎実業を休職して、復帰する…
それが、目下の夢だが、おそらく、その夢は、叶うまい…
あの水野良平に、金崎実業を、退職すれば、他の水野・米倉グループの会社を紹介すると、言われたが、それに、甘えていいのか、どうかも、わからない…
そもそも、私は、水野や米倉とは、なんの関係もないからだ…
偶然、知り合っただけ…
巻き込まれただけだ…
だから、本当は、これ以上の付き合いは、止めたい…
遠慮したいと、思った…
なぜなら、そもそも、身分が、違う…
私は、お金持ちでも、なんでもない…
平民の私には、縁遠い世界のひとたち…
だから、これ以上の付き合いは、止めたいと、思った…
が、
現実は?…
ズルズルと、付き合っている…
付き合い続けている…
まるで、男女の腐れ縁のようだ(笑)…
もう、こんなダメ男とは、別れなきゃ…
そう、心で、思っていても、別れられない…
付き合い続けている…
それと、同じだ…
その一方で、そう言えば、前回、この銀座に来た時は、あの米倉正造に会ったときだ…
と、思い出した…
あの米倉正造に最後に会ったときだと、思い出した…
あのとき、正造は、銀座のホステスか、なにかと、腕を組んで、歩いていた…
いわゆる、同伴出勤だったのだろう…
二十代の若い、派手な格好の女のコと、腕を組んで歩いていた…
それを、思い出した…
そして、あのとき、正造を見て、私は、生まれて初めて、恋をしたことに、気付いた…
生まれて初めて、男のひとを好きになったことに、気付いた…
キスもセックスもしていない…
が、
生まれて初めて、男のひとを好きになったことに、気付いた…
が、
今は、あのときほどの高揚感はない…
先日、久しぶりに、米倉正造から、電話があったが、正直、言って、それほど、ときめかなかった…
だとしたら、病気ではないが、あのときだけ…
ひょっとして、あのときだけ、そう思ったのだろうか?
アレは、あの高揚感は、あのときだけの感情だったのだろうか?
私は、考えた…
もし、本当に、米倉正造が、好きなら、あのとき、正造から、電話を、もらったときに、きっと、天にも昇らんばかりに、喜んだはずだ…
いや、
さすがに、それは、ないか(苦笑)?
私は、十代の中学生や高校生ではない…
好きだった男に、半年振りに、電話を、もらったからと言って、頬を赤く染めるような年齢でもないからだ…
すでに、34歳になろうとしている私が、そんな真似はできない…
いや、
そもそも、私が、十代の中学生や高校生であっても、そんなふうに、騒がなかったはずだ…
正直、私は、小柄ながら、美人で、学生時代は、男のコに、これでもかというほど、モテたが、心が動いた記憶は、ただの一度もなかった…
これは、どうしてなのか?
よく、わからない…
本当のところは、わからない…
ただ、周囲に、私の好みのイケメンが、いなかっただけなのか?
はたまた、私が、他人を好きになれない、冷たい女なのか?
わからない…
ただ、わかったことは、生まれて、初めて、米倉正造や、水野透(とおる)と会って、心が、動いたということだ…
ひとを好きになったということだ…
33年生きてきて、初めて、男のひとに、心が動いたということだ…
これまで、33年生きてきて、わかったことは、単純に、自分は、滅多なことでは、心が動かない人間であるということだった…
簡単に、ひとを好きになれない人間だということだった…
誰もが、同じ環境で、生きていない…
どんな人間も、皆、育った環境が、違う…
たとえ、兄弟姉妹でも、違う…
兄弟姉妹ならば、家庭環境は、同じだが、年齢が違うから、学校が同じでも、学年が、違う…
その結果、やはり、学校での環境が違う…
だから、恋をしていたとしても、ひょっとしたら、自分も、この環境だったら、好きな男の一人や二人できていたはずだということは、結構あるはずだ(笑)…
学生時代は、大学を除けば、基本、男女半々だったが、同じ学校でも、中学、高校とも、全学年で、千人にも、満たなかった…
となると、男女は、500人、500人…
すると、当然、その500人の中に、好きな男がいなければ、付き合おうとは、思わない…
そういうことだ…
そして、歳を取って、つくづく思ったことは、自分の行動範囲は、狭いということだ…
いや、
自分だけではない…
誰もが、自分の行動範囲は、決して、広いものではない…
だから、その中で、自分が、好きなひとを、見つけられるか、否かは、運による…
極端な話、自分の周りに、十人しか、自分と、年齢が変わらない男のひとがいて、その中で、このひとと結婚したい、と、思うひとも、いるかも、しれない…
真逆に、自分の周囲に,千人、いや、3千人、5千人の独身男性がいても、誰もいないときがある(笑)…
つまり、そういうことだ(爆笑)…
これは、極端過ぎる例だが、世の中、そういうものだ…
だから、男も女も、いつしか、妥協する…
あるいは、歳を取るごとに、考え方が、変わって来る…
若い時は、イケメン好きの、顔が命だった女が、性格の良い男に走った例などは、その典型だろう…
誰もが、歳を取るごとに、変化する…
単なる妥協ではなく、考え方が、変わって来るからだ…
だから、男の好みも、変わって来るものだ(笑)…
そして、そんなふうに、私が、考えるのは、もうすぐ34歳になるであろう、私の歳のせいもあるが、自己弁護というか…
これまで、ろくに、恋愛一つしていなかった自分に対する自己弁護の気持ちもたぶんに、あるかも、しれない…
ふと、思った…
認めたくは、ないが、これまで、ろくに恋愛一つしてこなかった自分に対する反論というか…
ともかく、どうして、この歳まで、恋愛一つしてこなかったかの説明を、必死になって、自分にしている…
そう、思った…
と、そのときだった…
ふと、誰かの視線を感じた…
誰かが、私を見ている…
そんな感覚があった…
誰かに、見られている…
そんな気がした…
だから、私は、慌てて、その視線の先を見た…
すると、そこには、一人の女の姿があった…
年齢は、二十代…
私よりも、十歳は、若い…
私は、彼女の視線を感じて、彼女を見た…
が、
知っている顔ではなかった…
私の知り合いでも、なかった…
が、
彼女の方は、一刻も、視線をはずすことなく、私を見ている…
これは、もしかしたら、私の知り合いかも?
ふと、思い直した…
こちらが、見ても、一刻も、視線を外すことなく、私を見ているのは、尋常ではない…
例えば、私が、気付かなくても、中学や、高校のときの同級生とか…
ふと、思った…
私が、中学や、高校時代は、もう二十年も昔…
仮に、そのときの同級生だったら、当然、容姿が変わっている…
そう、思った…
が、
たった今、私をジッと見つめている、この女のコは、二十代前半…
当てはまらない…
だったら、一体、どうして?
謎だった…
だから、考えざるを得なかった…
が、
私が考えている最中にも、その女性は、一向に、私から、視線を外さなかった…
だから、これ以上、考えても、仕方がない…
これ以上、悩んでも、仕方がない…
そう、私は決意すると、ツカツカと、その女のコの元に、歩み寄った…
「…失礼ですが、なにか、ご用ですか?…」
と、私は、聞いた…
が、
相手は、答えなかった…
「…」
と、なにも、言わなかった…
これでは、なにも、わからない…
これは、困った…
だから、質問を変えた…
「…あの…私が、なにか、しましたか?…」
と、今度は、聞いた…
もしかしたら、私が、知らない間に、彼女になにか、失礼なことをした可能性もあるからだ…
これには、彼女も、
「…いえ…」
と、小さく答えた…
「…だったら…」
私は、つい、口走った…
だったら、一体、どうして、さっきから、そんなに、私を睨んでいるのだろう?
と、言いたくなった…
そして、そのときに、ふと、気付いた…
…似ている?…
…私に、似ている…
ふと、気付いた…
身長は、私より、わずかに、大きいが、顔だけでなく、全体の印象が、似ている…
いわゆる、色白の清楚な印象の美人…
私と、あの米倉好子さんと、似ている…
が、
どちらかと、言えば、私に似ている…
私、高見ちづるの方に、似ている…
そして、気付いた…
あのフライデーの写真だ…
あのとき、好子さんは、
「…透(とおる)と、いっしょに、写った女のコは、私より、高見さんに、似ている…」
と、言った…
それを、思い出した…
一瞬にして、フラッシュバックではないが、その言葉を思い出した…
その言葉を思い出しながら、私は、あらためて、眼前の女のコを見た…
二十代前半で、私や好子さんに似た、清楚な印象の美人…
すでに、何度も言い尽くしたように、女優の常盤貴子さんの若いときのような美人だ…
が、
眼前の女のコの方が、目がキツイというか…
明らかに、私や好子さんよりも、気が強そうだ…
あるいは、年齢が、違うからかも、しれない…
この女のコは、私や好子さんより、10歳近く、若い…
だから、性格も、キツイというか…
歳を取れば、誰しも、性格が、丸くなる…
もちろん、例外はあるが、大抵は、丸くなる…
すると、それが、大抵は、目に表れる…
目が優しくなるのだ…
だから、この眼前の女のコは、目がキツイのかも、しれないと、思った…
そう、思いながら、この女のコを見た…
すると、
「…高見…高見ちづるさん?…」
と、いきなり、私の名前を言った…
私は、驚いた…
まさか、この見知らぬ女のコから、私の名前が出るとは、思わなかったからだ…
「…一体、どうして、私の名前を?…」
私は、驚きながらも、口にした…
見ず知らずの人間が、いきなり、私の名前を口にしたことに、驚いたのだ…
当たり前だった…
そして、その後の言葉は、さらに、私を仰天させた…
「…私は、米倉正造の妹です…」
と、眼前の女は、名乗った…
私は、驚きで、二の句が、告げなかった…
あまりの驚きで、パソコンでないが、カラダが、フリーズして、動かなくなった…