第86話

文字数 406文字

統失歴24年のおれは、今年で48歳になる。人生のちょうど半分を、統失者として生きてきた。48を超えた日からは、統失者としてのおれの方が、その前のおれよりも長く生きた『計算』になる。

ありがたいことだ!!

なにより、福祉がありがたい、そして医療も。

統失者として、半端に働きながら、時折トラブルを起こしつつも、文など書いてみたりして、結構気ままに生きてきた。根室では死にかけた。統失ならぬ、氷点下20度の世界での、凍死である。

あと何年生きられるか、文章を書きながら、愛する妻や猫たちと暮らしアルバイトで生計を立て、借地のぼろい家に海洋堂の小さなフィギュアを飾るこの生活を、今のおれは愛している。愛痴れている。今日もアイス食った。

誰一人救わない、この生活、七十二歳まで続けよう。八十までには死ぬだろう。統失と、糖尿病で、八十までには死ねるだろう。

ありがたいことだ。ありがたいことだ。いきられただけでも本能だ、そして本望だ。
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