第73話

文字数 1,006文字

もうすぐ47歳になる。なんだか体力の衰えを感じてしまう。

馬鹿みたいに歩き回るのが好きだったのだけど、最近は出歩くこと自体が億劫で、家の中で過ごしがちな日々。

休みの日には妻と一緒に外出して、買い物や観光を楽しみたいと考えるのが常であったのに、最近は一日家で過ごすことに安楽を見出している。

近所のコンビニに行くのまで、前だったら徒歩で行っていたのに、今は、チャリを使おうとしてしまう。

考えにふけりながら歩くのが好きで、散歩が大好きだったのに、気が付けば、極力歩かないで済まそうとしている。

歳をとって体力が衰えつつあるのか、糖尿病のせいなのか、それとも統合失調症の陰性症状がここにきて出てきているのか、あるいは、家の中で過ごすことで出費を抑えるという新たなスキルを獲得しつつあるのか、それすらも定かではないが、なんだか家の中にこもりがちなのだ、まえにくらべて。

歳をとったのだと思う。実感する。歳を取ると、きらめきがなくなるよね、って。勢いがなくなるよね。そして段々に居場所がなくなっていくのである。知的障害者の支援員としてアルバイトで週四日働いているが、この仕事がぼくと社会との接点だと今は思う。大事な大事な、社会との接点。収入としては生活費に足らず、だから、障害者年金を、受給できるものならばしようと考えているが、それはそれとして、ぼくの存在を社会とつなげる一番大切な接点が、今は仕事としか考えられない。

仕事から帰ると、裸になって布団の上でゴロゴロしながらYouTubeの動画なんか見たりする。アタマなんて全然使わない。それでもいいじゃねえか、仕事して生きてんだからさって、なんて、誰から文句言われるわけでもないのに。

なにかが、何かがたまり続けていくので、こういう生活だけではきっと何かがたまり続けていくので、休みの日なんかに、あるいは、平日の夜中に、玉砕精神で、本を読んだり、乙4種危険物取り扱いの勉強をしたりする。

統合失調症についての本を読むことが、最近では多い。統合失調症と自分、の人生について考えたりする。リカバリーだよなあって思う。

人とのつながりを取り戻すことが、リカバリーなのであろう。落ち着いて、本を読む生活をいまも続けていることで、リカバリーへと振れていくのだ。

読書と仕事。もうすぐ47歳になるおっさんとしては、この二つのまともな活動を通してしか、落ち着いて静かなまなざしで自分を見ることが出来ない。


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