第26話

文字数 347文字

コリン・ウィルソンという名を、懐かしく思い出す。もう過去の人だ。

いま僕が心を寄せるのは柳瀬尚紀。日本語をもっと面白くしようとした人である。

フェアリー・テイル。心の力を証明したい。それはなかなか難しいこと。

生きるというのは、泥の中で輝くことである。輝きたい、むしろ天空で。それでも、地べたを這いずりながらでも、かすかな光や熱を生み出すような生き方をしたいと思う。

情けない男が、懐かしい思い出。ウィルソンはもういない。俺の心の中にも、もういない。

ウィルソン無しで生きる道を選んだのだ。そんな生き方を探しているのだ。現実と、がっぷり四つに組みあって、でも趣味の良い本を探したりしながら。

泥の中のような現実で生きながらも、言葉の組み合わせによるあえかな美をたまに探したりもする。しんどい、けれど楽しい。
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