第36話

文字数 640文字

『想像』とは何だろうか?

想像なしには、生活は退屈極まるものになる。ことに現代生活には、想像によって補完されねばならない退屈さが常に付きまとっているように思える。

想像は生活に潤いをもたらし、良質の想像はほの温かい幸福を人に与える。

そして、想像はそこにとどまるものではない。このように生活と人生の物語にとって欠くべからざる想像は、『世界』にまで影響を与えずにはおかないもののように想える。

想像が世界に影響を与える?

これが、統合失調症急性期を経て社会復帰を試みる人間にとって、実に厄介な問題なのだ。

今のぼくの考えでは、想像が影響を与える『世界』と、想像からは遠くにあり、『現実』の力や活動によってしか滅多には影響を受けない『世界』と、二つの世界があるような気がしている。

想像は現実に直接的な影響を与えるのだろうか?
想像とは、それ自体が、そこまでこの世界にとって重要なものなのだろうか?

現実には、現実で、はっきりとした力がある。想像は、『補完する力』だと思う。世界の退屈を救う力だ。それでも、いくら退屈でも、世界には世界としての力がある。それに、世界は必ずしも退屈極まるものではなく、それ自体として興奮すべきものなのかもしれない。想像の力無しでも、世界はやっていけるのかもしれない。

一つの贅沢として、秘儀として、想像力はあるのだ。

想像はデザートである。現実が、そして世界こそが、メインディッシュなのだ!

とはいえこのデザートが、料理全体の評価をガラッと変えてしまう事もまた、ありうるはずだ!
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