第60話

文字数 610文字

『天使たちは、存在を手放すことはあっても、聖書を手放すことはない』

こんな言葉が、さっき見た夢の中に出てきた。ぼくはキリスト教徒でもユダヤ教徒でもないし、聖書は根室の牧師さんからいただいた一冊を持っているけれども、普段全く読まないので、ここでいう聖書とは、「生き方の規範が書いてある本たちのこと」だと思った。

生き方の規範、どう生きるか、その参考になるような、作品群も、世の中にはたくさんあるだろう。それらの作品と出会った時、「たとえ存在を手放したとしても、そのに書いてあることは守る」と言えるほど、その作品の中身と強く結びつくことが出来るか、否か。そこが天使と呼ばれうるような強烈な存在と、ただの凡人との境目だと想う。

もちろん、このぼくとて、天使というような強烈な存在ではなく、たかが紙に書かれていることをそこまで忠実に守ることが出来るかとなると、おぼつかない。

けれども、たとえ存在を失ったとしても、その中で生き続けていられる(かもしれない)ような強烈な本や作品に出会いたいし、すでに何冊も、そういう作品に出会っているかもしれない、という事は、なんだか胸がわくわくすることだ。

ぼくたちは他人の表現を必要とする。他者からの知恵を必要とする。そうして初めてより良い生き方が可能になるのだ。

ぼく一人では何もできない。たぶん、自分自身の生き方を考えるという大切で基本的で根本的な事でさえも!!!

だから、『人』が必要なんだ、きっと。
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