第45話

文字数 2,760文字


源三郎江戸日記45

そんな馬鹿などんなに早くとも15日はかかりますよと言うので、相模屋にもその工夫を教えてやろう、船頭はいるかと聞くと、番頭が呼びに行き、船頭頭の才蔵で御座いますと座った、
ので、筆と紙を貸してもらい、帆の仕掛けを説明して、こういう風にすれば前から風が来ても進む事ができるので風待ちはしなくて済む、無風になるのは夕方のナギの1時あまりなので、
ほとんどは走続ける事が出来る、

又方位磁石計を積んであるので正確に方位を知る事が出来夜に星がなくても、よっぽどの嵐でない限りは走れるのだ、つまり1日で100里は航海できるので4日で400里は走破出来ることに、
なり江戸~大阪はたった2日で行ける事になる、この船があれば野菜、果物、魚等を江戸へ運べるわけだよと言うと、才蔵がこれはすげ~や、これなら可能ですよと言って、しかし方位磁、
石計は南蛮船には積んでありますが、

禁制品で手に入りませんし幕府が許可しませんと言うので、自前で作れば問題ない私が作ったのだ、千石船では外海を航海して南蛮まで行く事などできない、幕府は千石以上の船を作る、
事は禁止しているので問題はないよと言うと、そうですか、しかし帆の改造は出来ますが、方位磁石計はあしっし共には作れませんと言うので、わしが作ってやろう、高鍋藩への金寸、
借受けの礼じあと言うと、

相模屋が才蔵直ちに持ち船12隻の改造をするのだと言うと、ハイ、これがあれば夜走らなくても1日50里は進めるので4日で上方までいけますよ、これはすご~いと驚いたのです、相模屋、
が凄い工夫ですね、源三郎様の知恵には恐れ入ります、方位磁石計は1台500両で買受ます、12隻分で6千両払らいましょうというので、1台5両もあれば出来るよと言うと、いいえ源三郎、
様の知恵の代金ですと言い、

金寸はこの千両を含めて7千両を玄海屋さんにお納めします、自由にお使いくださいというので、玄海屋がそれならそれを高鍋藩に貸し出せばと言うので、それはいかん、玄海屋が用立て、
すれば、物産会所を牛耳る為に貸したという者が出てくるだろう、関係ない所からの借財でなければならんのだと言うと、相模屋がその件はおまかせ下されというので、5000両とは大金、
だぞと言うと、

なんのこれだけ早く行き来できれば廻船業として莫大な利がでます、3月もせずに元がとれますと言うので、帆の工夫はみなが真似をするであろうが、方位磁針計の工夫は内密にするのだ、
誰も気づくまいというと、分かっております、これは私どもと玄海屋さんだけの秘密としましょうと言って、ほんに、いい人と知り合いました、すみませぬ気が利かなくてと番頭にこれ、
酒と肴をと言ったのです、

女中が酒と肴を持ってきたので、油紙につつんだハムを取り出し、これはわしが高鍋で作ったハムと言うものだ、食してみよというと、ほうと言って、相模屋が口に入れると、良い感触、
で美味しい御座るが魚で御座りますかと言うので、いや山クジラの肉を工夫したもので、西洋ではハムと言うておるそうじあ、日持ちするので上方、江戸で商いできるだろう、この他に、
も色々工夫しておるのだよと言うと、

玄海屋さん私共にも高鍋藩の物産を卸して下され、関東の内陸地に川船で運び商いをしますと言うので、玄海屋がハイわかりましたと言ったのです、これは楽しみが増えました、玄海屋、
さんとは競合しないようにやっていきましょうと相模屋が言ったのです、さしずめ、江戸からお伊勢まいりの船をだしましょう、5日おきに出すことにして、交互に出立する事にしまし、
よう、

2日で名古屋までいければ沢山の人が出掛けますよ、船で飯を出せるようにすれば喜ばれますというので、色々と夢がかなうわけだと言うと、しかし驚きました、柳沢様の御家来がかなう、
はずはありませんなあと言って、柳沢様が源三郎様におうて見たいがと申されていましたというので、それは勘弁してくれと言うと、柳沢様も絶対に来ぬだろうなと笑っておられました、
と言うので、

まあ、何処かの料理屋でバッタリと言う事があるやも知れんと言うと、相模屋がなる程と言ったのです、ところで源蔵が直接目明しと繋ぎを取ったのではないだろうと言うと、ハイ繋ぎ、
を取ったのは知り合いの芸者お勝つだそうです、見つからないように深川の外れの小屋にかくまい、隙を見てご府外の川崎まで逃がしたのだそうです、それでお咎めはと聞くと、十文字、
様はお構いなしとされたそうですと言うので、

なる程そうであったか、さすがわ十文字左近殿だなと言うと、公明正大な方ですなと相模屋が言ったのです、それでは用事は済んだ、このハムはみんなで食してくれと言うと席を立ち、
相模屋を出て若狭屋に戻ると、段取りは済みましたかと言うので、あらかた終りましたと言うと、それでは今日は私にお付き合いくだされ、根岸には知らせておきましたよと言うので、

店を出て料理屋に向かったのです、座敷に座ると女将が酌をするので若狭屋と杯を重ねたのです、フスマが空きお勝つと駒菊、あやめが入って来て、おいでなされませと挨拶し席に付、
き、お勝つが酌をして、お戻りなされませ、それに奥方をお貰いになっそうでおめでとうござりますというので、久し振りじあな、源蔵は生きておるぞと言うと、あの芦田様ですかと聞、
くので、

お前が府内から逃がしたのだろうと言うと、聞きましたか、源三郎様に言わなかったのは、町方同心の山田新之助様とお知り合いなので、迷惑がかかると思ったんですよと言うとので、
どうやら冤罪であったそうだなと聞くと、ハイ、火盗改めの十文字左近様が調べてくださつたのです、お構いなしとなりましたので、江戸にも帰れますよ、又奥方様と一緒に住めます、
ねと言うので、

お前は源蔵に惚れていたのだろうと言うと、何を言うんですか、私がほれているのは源三郎様だけですよと酌をするので、それは嬉しいなと言うと、でも奥方をお貰いになったばかりで、
すから浮気はダメですよ、そのうちに帯びを解いてくださりませと言ったのです、あハハハ上手に逃げられたかと言うと、若狭屋が源三郎様にそばめのお子が出来たら、若狭屋の跡取り、
にするぞと言うと、

駒菊が本当ですか、それなら源三郎様今日は返しませんよと酌をすると、お勝つが駒菊10年早いよ、まだ奥方をお貰いになったばかりだよと言うと、そんな事言ってお姉さんが物にしょ、
うとしているのでしょう、そうは問屋がおろしませんよ、こればかりは姉さんの言いつけでも聞くわけには行きませんと言うと、あやめが源三郎様に決めてもらえばいいでしょう、私で、
もいいですよと笑ったのです、

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