第76話

文字数 2,758文字


源三郎江戸日記76

昨日の町人が傍に来て、村上の旦那昨日は見事な物だったですねと言うので駒菊が知り合いでと聞くと、お駒ねえさん昨日悪共を退治なさった柳沢様のご家来の村上の旦那ですよと言う、
ので、あれは旦那の仕業だったんですかと駒菊が驚き、この人は大工の小頭で藤吉さんですよと言うと、なんだお駒姉さんの知り合いですか、旦那あっちで飲みやしょうと言うので藤吉、
達の席に行くと、

さどうぞ、お駒姉さんもと席を開けたので座り、お駒が酒と肴を持ってきたので、みんなと杯を重ねたのです、藤吉が親父この方が村上の旦那で、あの悪がきを本所から追い出して下さ、
ったんだよというと、親父が傍に来て踏み倒された銭もお女将から貰いました、ありがとうございます、今日はあっしのおごりですと言って銚子を3本出し、藤吉さん達は自分でお代は出、
すんだよと言うと、

わかっているよ銭はあるんだと2分銀を出したのです、もつともこれは旦那に頂いたもんですがねと言ったのです、そうかお前達は大工だったのかと言うと、へい、今は吉良様の屋敷の、
改修をしているんですよ、後5日で終りやす、来月には引っ越してきなさるようですと言うので、さつき清水一学と言う奴に難癖をつけられたがと言うと、それは赤穂の浪人と間違え、
られたんですよと言って、

よく怪我しやせんでしたね、凄腕の剣客ですよ、中に道場がありまして稽古をつけておられるのですが、誰も歯はたちやせんよと言うので、ほう、他の連中はそんなに腕がないのかと、
聞くと、上杉からきなすった方も全然歯がたたないそうです、腕が違いすぎるんですよと言うので、それは赤穂の者も討ち入れば苦労するだろうと言う、警護の者はまだ増えるのかな、
と聞くと、

吉良様は花鳥風月を好み家人の男は10人で後の40人は女子と美男の小姓だそうです、あれはお武家ではなき公家ですよと言って、今回の吉良様の評判の悪さで棟梁は改修を断ったそう、
ですが、上杉家から他に引き受けてがないので、何とか引き受けてくれと頼まれて、仕方なく引き受けたそうなんですよ、だから、早く仕上げろ、いつまでもかかっていると、悪玉が、
乗り移るだろうと機嫌が悪いんですよと言うので、

昼間から酒をのまずやれば直ぐに終るだろうと言うと、旦那江戸っ子は朝早く仕事にかかり、昼には仕事をおえて酒を飲むのが決まりですよ、お武家だって昼には下城なさるでしよう、
と言うので、それはそうだなと笑うと、赤穂浪士はいつ討ち入るんでしょうかねと聞くので、わしに聞いてもわかるわけないだろうと言うと、そうでした旦那はそれを取り締まる立場、
でしたねと言うので、

それはわしの役目ではないというと、お偉い方は吉良様を、この本所に屋敷代えさせて、赤穂浪士に討ち入りさせるつもりで、ござんしょうと聞くので、それも聞いておらんがと笑うと、
隠さなくても、江戸っ子はちゃんと分かっているんですよと酒を飲み干したのです、誰が知らせたのか役人が来て、南町の筆頭与力鳥居繁太郎と申す、お話があります同道願えませぬか、
と言うので、

何用か知らんが役人とあらば仕方ないと立ちあがると、傍から町名主頭取の太郎兵衛に御座いますと言うので、そうか、それで何処に行くのだと聞くと、こちらにと言うのでついて行く、
と、昨日の料理屋に入り、桟敷に座ると、鳥居が昨日は町の不埒な者共を懲らしめてくださったそうで、お礼申しあげますと言うので、柳沢様から奉行に何か言うてきたのかと聞くと、

今日お呼び出しがあり事の仔細を聞かれて、叱責をうけたそうに御座います、今後は誰の家臣、子供であろうと、悪さをするものあらば、目付けに届けよとの、事でござると言うので、
それは今までもそうであろうと言うと、ハハ~、恐れ入りますと言うので、腹を切らないで済んだ分良かったと思いなされ、して、あの悪がき共はどうなったのだと聞くと、あの5人は、
謹慎を申し付けられたそうです、

又本多様は暫く登城禁止になったそうです、奉行所はお叱りの処分だけで済んだとの事です、村上殿のお口添との柳沢様の口上だったそうで、かたじけのう御座りますと言うので、旗本、
の事ゆえ、町方が手を出せんのは分かるが、屋敷の中ならいざしらず、街中での出来事だ目付けに知らせる事が役目であろう、いいにくければ当事者の家の用人に話せばよかろう、野放、
しにすれば益々騒ぎは大きくなりますと言うと、

その通りに御座りますと言うので、これ以上の処罰はなさらないように取成しますよというと、お願いいたしますと言うと、町名主頭取が本多様より1000両の見舞金が届きましたがどう、
すればと言うので、本所の町の為につかえば良いであろう、治安の為の自身番屋を増やす、火災の為の桶をあちこちに置く、ひどい長屋を修理する、どぶ川を綺麗にする、等の為に使え、
ば良いではないかというと、

承知しましたと返事したのです、そうだわしが立て替えた25両は返してくれと言うと、ハイ直ぐにお持ちしますと、二人は部屋を出て行ったのです、女将がありがとうございました、
お陰で昨日は町の旦那が本所の料理屋を貸し切って芸者を総上げしたんですよ、私も儲かりましたと笑ったのです、町名主が50両をおいてお返しいたしますと言うので25両のはずだがと、
言うと、

町名主共のお礼にございますと言うので、そうか、せっかくなので貰ろうておこうと袖に入れたのです、それでは失礼しますと言うと部屋を出て行ったのです、女将が頭取から芸子も、
呼び村上様を接待してくれと言われていますがと言うので、それは又今度にしょう居酒屋に戻るぞと言うと、ハイ、いつでもお待ちしていますと言ったのです、居酒屋に戻るとお駒が、
何の用でしたと聞くので、

奉行が腹を切らなくて済んだお礼だとさ、昨日立て替えた金寸に25両利息をつけて返してくれたので、今日はわしが驕ろう、親父みんなに酒と肴をじゃんじゃん出してくれと、5両出す、
と、一両もあれば全部なくなるほど出せますよと言うので、ならば2両やろうと渡すと、みんな村上の旦那の驕りだよ、腹一杯飲んで食いなと言うと、みんながお~、旦那ご馳になりま、
すと言ったのです、

藤吉にわしの立場として本所で騒ぎが起きると行きかがり上まずいのじあ、心配なのは吉良屋敷と浪人の動きじあと言って、お前に10両やるこれで何かあれば、このお駒に知らせてくれ、
と言うと、ヘイ、みんなにばら撒き色々仕入れてお駒さんに知らせやすと言ったのです、お駒にも10両渡しこれで頼むと言うと、いりませんよと言うので、惚れた男との繋ぎも金寸が、
かかるだろう取っておけと袖口に入れたのです、

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