第50話

文字数 2,898文字


源三郎江戸日記50

源信が吉良様が京都より無お戻りになり勅使お迎えの準備にはいったそうにございます、これが伊達家より吉良様への進物の書付の内容です、伊達家に仕官している根来衆より聞き出し、
ましたと言うので見ると、銀20本、絹の反物10束、陶磁器を始めとした豪華な進物になっています、これは1000両位になる豪華な物だな、して浅野はと聞くと大判1枚に鰹節2均に浅野、
様の書状だそうですと言うので、

何それだけか、それはまずいそんな物受け取るはずはないと言うと、今日家老二人がお持ちになるそうですと言ったのです、家老達は伊達家の進物を知っているのかと聞くと、多分知っ、
ていると思います、吉良家では中間まで知っておるそうですと言うので、舅殿より何らかの知らせがあるだろう、多分つき返されるだろうから、再度持っていくしかあるまいと言ったの、
です、

昼過ぎに孫太夫が尋ねてきて座敷に座り、婿殿が申されたとおりになりました、家老二人が吉良家に持参しましたが、吉良様は病気と称して、お会いにならず、再度進物を持って出直し、
て来るそうに言われたそうですが、大した進物ではないので直々にお受け取りにならなくても結構ですと置いて来たそうにござると言うので、何とそれはこんな進物は受け取れぬ再度持、
て来いと言う事なのにと言うと、

そういう風に言ったので御座るが、留守居役は口を挟むなと言われたの御座る、して、殿はと聞くと、伊達家の進物の内容を聞きそれはまずいと言われましたが、置いて来たものは仕方、
ない、余がそれで良いといったのだから、それで良いと言われて奥に引き込まれましたというので、殿には内緒でもう一度持っていかれてはと言うと、わしと安兵衛で家老に言ったのだ、
が、

殿がお許しにならないのに勝手な事は出きんと突っぱねられ申したと言ったのです、そうですか、それではいたし方ありませぬが、浅野様はさぞ心を痛めておられるでしょう、大石殿が、
いればこんな事にはならないのにと舅が唇を噛んだのです、酒を出して慰め何かあらばお知らせくだされ、お峰舅殿をお送りして、暫くはお傍にいろと言うと、ハイと返事して父上戻り、
ましょうと寮を出て行ったのです、

源信が大変です、先ほど吉良様が増上寺においでになり、詰めていた高岡殿に玄関の屏風を見て、これは何だと聞かれたので狩野探幽の策に御座いますといったら、勅使を迎えるのに、
墨絵とは不吉なと言われて、浅野殿を呼ぶように言われたので、急ぎ使いをやり呼んだところ、浅野様が失礼に当たらねば何でも良いと指南されたではないですかと言われると、確か、
にそう言ったが、

墨絵とは不吉で御座る、伊達殿にも同じ事を言うたが墨絵等は用意して御座らんぞ、そつこく取替えなされと言われたので、浅野様がにらみつけられると、扇子で肩を撃ちそれがしの、
指南を受けられぬと言われるなら、好きになされとその場を立ち退かれたそうですというので、だから言わぬ事ではない、それでどうなったのだと聞くと、高岡殿が見にいかれて墨絵、
をはずして、

同じ狩野探幽の金屏風に取り替えたそうです、浅野様は伊達には最初からそういう風に指南したに違いないとひどく、お怒りだそうですが、それは稲葉様の申しつけだそうですと言っ、
たので、ヤツパリ稲葉様は煽るつもじやな、ともかく変えたのならいいだろうと言ったのです、その頃浅野家中では暗雲が立ち込め、両家老は藩士のつるし上げに会っていたのです、

両家老は殿が良いと言われたのでそれがし達の落ち度ではないと言いはったのですが、高岡源五衛門がこれからも嫌がらせは続くだろう、殿が逆上されねば良いがと下を向くと、皆が、
鎮痛な表情をしたのです、安兵衛が刀に手をかけて両家老をにらみつけると、孫太夫がよせここで内輪揉めしても始まらん、次は明日のふるまう料理の吟味であろう、伊達の料理を調、
べてくるというと席を立ったのです、

役宅な帰ると、お峰に婿殿は伊達家の料理は何か調べられたのかと聞くと、これに御座いますと品書を出すと、これはありがたい藩の賄い方で当藩の料理と比べてくると役宅を出て行、
ったのです、賄い方の頭に紙を見せた確認させると、これは又豪華なと言って、こんな豪華なものは用意しておりませんと言うので、明日の吟味分だけでよい、これと同等の物を用意、
しろと言うと、

人数分の手配は済んでおります、この料理はと聞くので殿の裁可を得ておるのでそのままにせよ、もしも吉良様が難癖をつけられたら次に用意したのを見せるのだと言うと、明日の、
吟味分は用意できますが、勅使全員分はとうてい間にあいませんと言うので、それはわしが材料をあつめる、これと同じではまずい、何かを取り替えよと言うと、ならばタイの代わ、
りに伊勢えびを用い、

ハマグリの代わりにアワビにすればこちらの方が少し上になりますというので、そうしろと言うと、ハイ早速支度します、材料があれば明後日の接待食には間に合いますといったの、
です、部屋に戻り料理の話しをすると高岡がヤッパリそうですかと言うので、賄い方には指示しておいた、片岡殿は吉良様が難癖をつけられましたら次の膳をおだしなされ、殿には、
そなたからお話なされ、

あくまでも用心の為と言えば納得なさるはずですと言うと、内緒にしましょう、言えばへそを曲げられて承知なさるまい、殿の勘気は接待が終り次第、それがしが腹を切ればいい事、
ですと言ったのです、しかしその場合に材料は間に合うので御座るかと安兵衛が聞くと、すでに用意する段取りはついておるというと、僕大な物入りですぞと言うので、赤穂藩の、
存続につながる事じあと言うと、

安兵衛がもし殿の勘気をこうむればそれがしも腹を切りますぞ、片岡殿だけに腹はきらせませんと言と、みんなが、我々も後を追うぞと言ったのです、さて、皆の衆安心して役宅に、
お戻りなされと言ったのです、その足で孫太夫は殿の御座所に行き目通りすると、奥方と酒をのんでおり、怒りは収まったみたいで、おう、孫太夫かそちの言うとおりであったな、
余のいたらぬところであった許せと言うので、

心配なさらせなくとも、吉良殿の難癖は回避できるように準備しております、こころおきなくお役目をお続けくだされと言うと、頼りにしておるぞ、ヤツパリ、大石を連れてくるの、
であった、まあ、一献と言うと腰元が酒を注ぐので飲み干し、それではこれにてと御座所を下がったのです、役宅に戻ると、お峰が家中の様子はどうでござりましたかと聞くと、みな、
が安心した見たいじあ、

これも婿殿のお陰じあなと言うと、すでに材料は注文されており、12日には総てそろい、吟味の結果では、赤穂藩の賄い方に持ち込む、手はずと旦那様が言うておられましたと言って、
まず湯にお入りなされと言って酒の支度をしたのです、孫太夫が湯から上がってくると、お峰が酌をして旦那様がついておられます、ご安心なされと酌をしたので、飲み干して美味い、
と笑ったのです、
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