第95話

文字数 3,024文字


源三郎江戸日記95

孫太夫が入ってきて、これは姉上、お久しゅう御座りますと言うと、孫太夫あっぱれであった武士の誉れ私は嬉しいぞと言うので、お峰もおりますれば宜しくお頼みしますと言うと、
おう村上源三郎殿に嫁いでいると聞く、今度尋ねてみますと手を握ったのです、大石がこれが本当の永のお別れに御座ると言うと、部屋を出ていき、おのおのかだ泉岳寺まではもう、
少しで御座ると言うと、

再び隊列を組み進んでいったのです、大勢の赤穂浪士が見送りに来た家族、縁者に別れを告げたのです、仙石伯耆の守から柳沢に討ち入りが知らされると、御座所に幕閣があっまり、
綱吉が出て来て、とうとうやりおったかというと、稲葉ば江戸の町は大騒ぎにございますと言うので、さもあらん、泉岳寺には丁重に向かえを出して、各屋敷に引き取り留め置くの、
じあと言ったのです、

柳沢と稲葉を残して皆が下がると、綱吉がさてどうするかのうというので、手はず通り全員に切腹を言い渡して、吉良家は武家の恥じとして改易、当主は生きているそうですから、
高遠藩へお預けとなさりませ、又上杉家は遠慮申しつけが宜しいかというと、鶴姫が死に紀州藩主も死んだ、今は8男の吉宗が藩主じあ、縁も薄いゆえ手心はいらんぞというと、

稲葉が遠慮では軽すぎます、綱紀は吉良の息子なれば、親の不始末は連座の責任にて、隠居させるべきだと思いますと言うと、綱吉がしかし子おらんだろうと言うと、綱紀の子は、
吉良家の嫡男にて、今回おめおめと生き残っております、これを軽くしてはご政道は成り立ちませぬ、何処からか養子を立てて後を継がせれば良いと思いますと言うので、柳沢が、
それはちと厳しゅうないですかというと、

前回は浅野に厳しくしたのですぞ、今回は吉良に厳しくすべきです、打ちいった者共が全員切腹なら、それに見合うお裁きが寛容だと思いますと言うので、綱吉がもっともな意見、
じあ、吉保上杉綱紀は隠居させよ、して養子は誰にするのじあというと、高鍋藩の分家である秋月時種が宜しいかと思います、秋月家は上杉景勝殿の娘子が嫁いでおります、また、
儒学にも通じ、

大変英明な者に御座いますというので、柳沢がしかし嫁いでいると言うても100年も前のことに御座ると言うと、血の繋がりがある事には変わりありませんというと、綱吉がおう、
わしの読み聞かせる論語の席に出ている者じあな、中々儒教に長けておるものじあ、あの男なら綱紀よりず~と英明な者じあと言って、吉保そうせいというので、ハハ~というと、
これで片手落ちも終ったな、

裁きは直ぐに言い渡してはならん、荻生徂徠と新井白石に論戦させよ、又老中、若年寄のも論戦に参加させよ、裁きは決まっているが、その方がみなが納得するであろうというと、
柳沢と稲葉は頭を下げたのです、稲葉め高鍋藩だと何をするつもりじあ、しかし、上様の言う事じあ聞かねばならぬか、まあ時種は中々英明な事は、間違いないがとつぶやいたの、
です、

綱吉がこれで片付いたが、小判改鋳で50万両の蓄えが出来た、このまま寝かせておいても何もならん、そこで新たな事業をやる事が寛容じあ、幕府が大名に金を貸して利で増やす、
事は出来ぬ、やるとすれば新田開発にて天領地の石高をあげる事じあそこで、前々からやっておるが成功していない、印旛沼の干拓じあと言うと、稲葉が我が藩の近くなれば色々、
試しましたが、

あそこを干拓するには1万両や2万両では無理出御座いますと言うと、ならば10万両つぎ込めばどうじあと言うので、稲葉がそれ位あれば成功するやも知れませぬと言うので、柳沢、
が成功しなければドブに金をすてる事ににりまする、もっと成功し易い相模原あたりが良いと思いますがというと、綱吉が幕府が総てを出すのではなく、商人に半分出させれば良、
いでないか、

幕府5万両、商人5万両の10万両でやってみて、まだかかるようならその時考えれば良いだろうと言うと、稲葉がそれだけの財力があるのは相模屋と天満屋位のものですというと、
相模屋は幕府御用達であめろう、幕府のお陰で儲けているのじあから、相模屋にやらせれば良いというと、柳沢が相模屋が5万両もだせば屋台骨がぐらつくのでは無いかと思い、
ますがと言うと、

稲葉が相模屋の蓄財は20万両はあると聞いた、5万両くらいで屋台骨はびくともしないでしょうと言うので、大名の貸付が10万両近くあり、実質は10万両でしょう、大名への貸付、
は返済はおろか利子をとるのも難儀だと聞きますというと、それは天満屋も同じでござろう、相模屋が失敗したら天満屋が引き継ぎ後5万両もだせば成功するでしょうと言うと、
綱吉がそれで良いではないか、

さすれば相模屋も屋台骨が傾く事もあるまい、大名だけでなく商人も過大な蓄えをさせてはならぬ、少しは財力をそいでおくのも良いだろう、吉保そうせいと言うので、上様の、
おおいつけなら、異存はありませぬと言ったのです、稲葉め相模屋の財力をそぎわしの後ろ盾を無くするつもりかと思ったのです、吉保が成功したら相模新田となずけて相模屋、
に管理を任せれば良いだろう、

十分に得があるはずだ、又褒美に縁戚を5000石の旗本に取り立て知行地をその新田にすれば、名誉もかなうであろう、相模屋に申し付けいと言って、稲葉は近隣ゆえ何かと助力、
してやれと言うと、稲葉が承知つかまつりましたと言うと、綱吉は吉保頼んだぞと言うと、御座所を下がったのです、柳沢は部屋に戻り、稲葉の奴めどうしてもわしを追い落と、
すつもりかと唸ったのです、

大石達は泉岳寺に着き匠の守の墓前に首を備え報告をして焼香し、首を再度洗い髪を整えて箱に入れ仙石伯耆の守屋敷に引き渡して、寺でしずかに沙汰をまったのです、首は吉良、
家に引き渡されて、ことの経緯を報告するように上杉家に言いつけると、死者12名傷ついたもの16名、無事なもの22名と報告したのですが、目付けが調べさせると、死者26名、
傷ついたもの14名、

総勢40名が倒れ無事だったのは吉良家の家人だけだとわかり、虚偽の報告をしたとして綱紀はお叱りを受けたのです、即刻吉良家は改易当主は高遠藩にお預けとなり、綱紀は柳沢、
に呼び出せれ隠居して高鍋藩より秋月時種を養子に迎えるように言いつけられたのです、綱紀がなぜじあと千坂兵部に言うと、しかたありませぬ、殿は吉良様のお子であり、吉良、
家の当主は殿のお子であります、

すなおに隠居なされませ、隠居願いは出しましたと言うと、おのれ、お前はわしを裏切るのかというので、上杉家家臣を守る為に御座います、お聞きにならねば座敷牢に幽閉しま、
すぞというと、そこに崩れたのです、近習におつれしろというと、近習がかかえて奥に連れて行ったのです、わしも隠居せねばなるまいと言うと、次席家老がそれは新しい藩主が、
着任されてからにしなされと言ったのです、

しかし問題は我が藩の借財だな、吉良様の無心、綱紀様の花鳥風月、奥方様の化粧料と莫大につぎ込んだ結果が9万両近くの借財がある、奥方様の実家から2万両、天満屋から4万両、
後は若狭屋、相模屋、その他札差から3万両じあ、紀州の吉宗公から縁が薄くなったので返せなんていうてくるかもしれん、天満屋にも利息すら払えておらん、まさか評定所に訴え、
るとは思わんが、

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