第59話

文字数 2,696文字


源三郎江戸日記59

又吉良も遺恨を受ける覚えはないと申し立てたのですと言うと、それでは、金屏風、過分な料理、200畳からの畳み変えを強要されたそうだがと聞くと、それは吉良殿の指南ゆえ、
みどもは知りませぬというと、吉良は指南した覚えはないそうだが、伊達が勝手にやった事なのかと聞くので、稲葉がそのようで御座いますと言うと、なぜそれを早く言わん、
とんでもない裁きをやったではないか、

吉良と伊達を改易にせい、そうすれば町人、大名達も納得するであうろうと言うと、稲葉は青ざめてだまっています、柳沢がそれはなりませぬ、その様な事をすれば上様の権威が地、
に落ちまする、ここは吉良を悪者にするしかありませぬというと、吉良だけを改易すれば良いのかと聞くので、裁可なされた後です、改易の理由がありませぬというと、どうする、
のじあと言うので、

騒ぎが収まるまで何もせぬことです、もしも赤穂の者どもが吉良に仇討ちをするなら、やらせておけば宜しいのです、そして法に照らし合わせて公平な裁きをするのです、刃傷の、
件は過ぎた事ですと言うと、なる程次に事が起こったときに公平な裁きをすれば良いのじあな、それで良い中々の良策じあ、吉保母上の従一位の任官の確約ご苦労であった、老中、
格筆頭にするぞ、

又甲府8万石はそなたにやろう、川越と合わせて15万石じあ、これで老中格筆頭の面目も立つであろうと言うと、柳沢が有難うござります、上様に一生懸命に奉公いたしますと言う、
と、頼むぞと言って部屋を出て行ったのです、柳沢が老中格筆頭といえど皆様と同格で御座る、気になさらずどしどし意見は言いなされ、但し抜け駆けはなりませんよと言うと席、
を立ち出て行ったのです、

老中の土屋が稲葉に処断されずにようござったな、以後は慎みなされと言ったのです、銘々が部屋を出て行き稲葉は自分の部屋に戻り、用人にあぷないところであった、高木を呼べ、
といって、高木監物がくると、柳沢は総て知っているようだ、しかし、何故従一位の宣下の確約がもらえたのじあ、近衛公は浅野の縁戚のはずだ、この刃傷沙汰で怒って任官を邪魔、
すると思ったが、

近衛公に深いつてがあるのか調べてみよと言うと、高木が承知しましたと言うので、結局柳沢を出世させる事になってしもうた、追い落とす何か良い方法はないのかと言うと、まず、
は大石に敵討ちを成功させて、吉良家は浪人如きを防げなかったとして改易し、親戚である上杉家も連座の罪に問い、綱紀殿は隠居させて、柳沢様が改易に失敗した高鍋藩の分家の、
時種殿を養子に迎えさせて後を継がせるのです、

高鍋藩に時種殿は3000石を返し、上杉の養子の見返りに隣の天領地2万石を高鍋藩に永大お預けとすれば、高鍋藩は実収5万石となります、上杉家は吉良が事あるごとに子供である、
綱紀殿に頼り、肩代わりしているので、借財は膨らみいまや10万両もの借財をしています、これは年収の5年分にあたり、とうてい返せる金寸ではありませぬ、このまま行けば、
貸している、

両替屋、廻船問屋、質屋、札差が大目付けに訴えでるでしょう、今は綱紀殿の正室が紀州公の姫君なので遠慮しているのです、もう公方様もかばいきれなくなっています、時種殿、
が養子に行っても藩財政を立て直すどころか、益々悪くなるでしょう、そこで治世不行き届きにより改易に持ち込むのです、時種殿の実家である高鍋藩も連座の責任にて改易すれ、
ば18万石が公方様に献上できるわけです、

吉良が討ち取られたら、間髪いれず上杉綱紀殿の隠居を進言して、時種殿の養子縁組を柳沢様に段取りさせるのですと言うと、しかし、柳沢が時種を推挙するかなと言うので、時種、
殿は英明で儒学にも長けていると聞きます、公方様のご講義の時にお呼びになり一番前の公方様の近くに座らせるのです、公方様に英明で論語にも長けておると事前に耳打ちなされば、
必ず何かをお聞きになります、

公方様の儒学は底上げなれば簡単に時種殿は答えるでしょうと言うと、なる程それは面白い、印象づけて顔を覚えて貰えば良いわけだと言ったのです、養子の件は間違っても殿が推挙、
してはいけませんと言うと、わかった、次の講義の時に呼ぶ事にしょうと言ったのです、ところでわしの裏からの細工がことごとくかわされたのは、何と言う藩士だと聞くと、高木が、
浅野の家中ではありませぬ、

高鍋藩の村上源三郎と言う、150石取りの藩士で御座いますというので、高鍋藩といえば柳沢が潰そうとした藩ではないか、そこの藩士がなぜと聞くと、妻女が赤穂藩の江戸留守居役、
奥田孫太夫の娘に御座います、舅、婿共々堀内道場の目録持ちだそうですと言うので、それで助太刀したのか、しかし、ことごとく見破るとはと言うと、柳沢様は腹心の黒田と千葉、
道場の高弟二人が、

ていもなく捻られたそうです、それで改易を断念したそうですと言ったのです、今後邪魔になるかも知れんなあと言うと、一度腕を試してみますと言うと、お前も新陰流の目録持ち、
であろうと言うと、奴は一刀流だそうで、堀内道場ではたった1年で目録を得たそうです、あの中山安兵衛も3回に一度くらいしか勝てないとの事ですと言うので、ほう、それは大し、
た腕だな、

柳沢を憎んでいるはずだな、そ奴を使って柳沢追い落とす手もあるかと言うと、味方に引きづり込むには殿が直々に面談なされれば、あるいは乗ってくるかも知れませぬが、扱いを、
間違うと牙をむく恐れがありますと言ったのです、お前が様子を探ってからだなと言うと、承知しました、今日にでも仕掛けてみましょうと、席を立ち部屋を出て行ったのです、

源三郎は深川に舅が正骨院を開いたというので行ってみると、看板には正骨院、骨折、捻挫、脱臼治し処と書いてあります、戸を開けると1人の患者が待っており、一人の男が一段、
高い台の上の畳みにうつぶせに寝かされており、脱臼はここじあなと触ると、イテテ、先生痛いですよと言うと、骨が外れているのだ痛いに決まっている、行くぞと言うと、その男、
の右手を持ち、

え~いと引っ張ると、ぐわ~と声をだすと、骨がボキ、ボキと音がしたのです、ハイはまったぞと言うと、右手を動かし、本当だ痛くありやせんと言うので、肩にこう薬を塗りさらし、
で縛り、この塗り薬を明日の朝まで塗っていれば完治だと言って渡すと、ありがとうごぜうやす、これで仕事にいけやす、明日手間賃を貰ったら治療代払いますと言うと、飯代が余っ、
てからでいいぞと言ったのです、

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