第27話

文字数 2,526文字


源三郎江戸日記27

そうすると藩士が総て知る事になり、幕閣への賂を出せる程裕福な藩だと思われるだろう、藩財政が苦しいので、賦役を逃れる為どこからか借財をして幕閣に賂を贈っていると思わ、
せる為なのだと言うので、そうでしたか、賂の分だけセリにかけず商人に引き取らせて裏金を作っているわけですか、しかし、そのような事をしていれば誰かの懐に一部が流れる事に、
なりますがと言うと、

それも殿は承知しておられるが、仕方ない事なのだと言ったのです、遠山はそんな事はやっておらんだろうが、へたな奴が代官になると不正の温床になるおそれがあると言ったのです、
立花殿支配になるので大丈夫だと思うがと言うので、それでは主席家老にと言うと、いや、これよりは主席、次席家老はおかず、三人の家老は上下の序列はつけず、合議制との事だ、
と言うので、

それなら誰かが専横できないのでよろしゅう、御座いますなと言うと、祖父がさすがわ政種様だ良い方策ではないか、まさに名君じあなと喜んだのです、祖母とお峰が戻って来たので
源三郎が義姉に子が出来たそうに御座りますと言うと、祖母がそれはまことか、重ね重ねめでたい、これで村上家も安泰じあと言うので、源一朗がまだ生まれてはおりませぬというと、
絶対男の子であろうと言ったのです、

夜もふけたのでお開きとして部屋に戻ると、お峰がよろしゅう御座りましたな、これで旦那様も気が楽になりましたなと言うので、それではわし達も励むかと言うと、ハイと返事する、
ので燃えあがったのです、翌日は馬に乗り三人で取り撃ちに出かけたのです、お滝の実家に顔を出すと吉蔵と女房のとめが源三郎様お戻りでしたかと言うので、元気そうだな、これは、
妻女のお峰じやと言うと、

奥方様ですか吉臓ととめにございます、大旦那様にはいつもお世話になっています、若侍姿がよう似合いますと言うので、宜しく頼むとお峰が言ったのです、とめがこれはお綺麗な奥方、
様にございますな、帰りに畑で取れたものを持つて帰ってくだせえ用意しときますだと言ったのです、馬を頼んで吉蔵の飼っている犬を連れて山に分け入ったのです、暫く歩くと谷川に、
出たので水を汲み飲むと、

お峰が冷たくて美味しいというので、源三郎も手ですくって飲み、これは美味いと喜んだのです、祖父が傍の竹藪で子竹を切り槍を作って、お峰はつぶての名人と聞く、あの岩の窪み、
には岩魚がすんでおる、小石を投げると一斉に出てくるので刺してみよと言うと、分かりましたと受け取ると、祖父が窪みに小石を投げると、数匹が窪みから出てきたので、お峰が、
たて続けに4本を投げると、

二本が当たり岩魚が浮いたので祖父と源三郎が見事な腕だと手を叩いたのです、移動して次の窪みに小石を投げるとここからも数匹が出て来たので、又4本を投げると、こんども2本が、
当たったので、これは凄いと祖父が言って、かまどを作り岩魚をさばいて塩をふりかけかまどに置いたのです、小さなやかんで湯を沸かして、茶の葉を入れて竹の湯のみに入れて、
渡すので飲むととても美味しいのです、

谷川の水で入れた茶は又格別ですなと源三郎が言うと、鯉もここにいけすをつくり放流しておけば泥抜きが出来て美味くなるぞと言うので、そうですねこの水は吉蔵の家の傍を流れて、
いるので、吉蔵の家の近くに池を作り水を引き込み川に流れるようにして、池に岩を沢山置いて、岩魚のすみかをつくれば、水の流れを作れるので、岩魚も養殖できるのではと言うと、
なる程、

吉蔵にやらせてみるか、城下で売ればいい商いになるだろうと言ったのです、そろそろ昼じあな岩魚も焼けたし飯にしょうと言うので、お峰が握り飯を出して渡すので受け取り、岩魚、
をおかずに食べると、空気もいいし美味いというと、お峰がいい塩加減ですといい、祖父が犬にマルお前も食えと握り飯の半分と岩魚の骨をとり竹皮に乗せると、尻尾を振り美味そう、
に食べたのです、

さあ行こうと祖父が言って火の始末をし、それでは、この本を見て薬草を摘もうと言って、懐から本を取り出して、指を刺すので根元から掘り返し籠に入れたのです、なる程沢山ある、
もんだと祖父が言って、このくらいでいいだろうと言うので、帰りまで日陰においておこうと言うので、傍に置き、山を登っていくと、少し広い場所に出たのです、あのやぶには雉が、
沢山済んでおる、

お峰しとめてみよと鉄砲を渡すので受け取り火薬を入れて弾を差込火縄に火をつけて、準備できましたというと、マル行けと尻りを叩くと勢いよく藪に入り、ワン、ワン、ワンと吼え、
ると、雉が藪から草むらへバタ、バタと走りだしたので、お峰が狙いを付けて引き金を引くとずど~んと音がして一匹が倒れたのです、すばやく火薬を入れて弾を装填して次の狙い、
をつけて、

撃つとこれも命中したのです、マルが飛ん行ってくわえて、来たので祖父が受け取ると、もう一匹を取りに行き、くわえてきたので、頭をなでて鳥の乾した肉、をやると喜んだのです、
この位でいいだろう、なる程名人だなと祖父が感心していたのです、もう少し登ると城下が見晴らせるぞというので登って行くと山の頂上に出たのです、北が側は山又山ですが、南側、
は城と町並みが見えてすぐ海がみえます、

さすがに飛び地の串間は見えないが、青島があそこじやと言うので見ると、遠くに小さな島が見えます、源三郎が懐かしい景色ですと言うと、そうじやな、ここにつれてきたのは15才、
の時じやったなと言うので、あの時も岩魚は美味かったですというと、それからすぐに源之丞が江戸詰めになって皆は江戸に登ったのだったな、随分昔の話しじあと言ったのです、

お峰の国元赤穂はどんな所じあと祖父が聞くと、父上は私が小さい頃から江戸詰めで、江戸で生まれの江戸育ちで、赤穂には行った事がないのですと言い、今度源三郎様と父上の親類、
の方にご挨拶に赤穂へ行かせて貰いますと言うので、そうか瀬戸内の温暖なところと聞く、わしが生きているうちに様子など手紙で知らせてくれと言うので、かならずお知らせします、
と言ったのです、

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