第24話

文字数 2,912文字


源三郎江戸日記24

何のわしの短慮からでた事だ、そなたなは何の落ち度も無いと言ったのです、それでは失礼つかまつると屋敷を出て、料理屋に向かいノレンを潜ると座敷に案内され部屋に入ると橋本が、
まっており、総て終りましたかと言うので、ハイ、これで騒ぎは収まるでしょうと言うと、それがしは目付けでありながら何も出来なかったので御座ると言って、酌をするので、相手が、
主席家老に次席家老ではしかたなかろうと酒を飲み干すと、

他にお咎めはと聞くので御座らんと言うと、おい、入れと橋本が声をかけると、山崎が失礼いたしますと入って来たので、山崎殿かおぬしにもお咎めはありませんぞ、次席家老のいいつ、
けでは、逆らえば家が潰された事でしょうと言うと、しかし、それがしのだらしなさで御座ると言ったのです、家族を守る為だったのでしょう、もう忘れることですと酌をすると、飲み、
干して、

この恩は生涯わすれませんと言うので、そのうち返してもらいますよと笑うと、何なりと言ってくだされ、それでは失礼いたすと言って帰ったいったのです、切腹しょうとしたのを橋本、
殿が止めたのでしょうという、分かりましたかと言うので、良い事をなされた、切腹などしてはいけません、武士は切り死にあるのみですと言うと、まつたくその通りですな今回は大変、
なお役目だそうで、

何かあればお手伝いします、遠慮なく言って下されと酌をしたのです、これでたがが外れて白石殿が勘違いして政事を専横しなければいいのですがと言うと、何とあの白石殿がですか、
と言うので、もつとも危険なお方で御座ると源三郎が言ったのです、成る程取り巻きが多いですからなあと橋本が頷くので、対抗馬を誰にするかですよと言うと、源一郎殿ではと言うの、
で、

兄は欲の無い人ゆえ無理ですよ、どうで御座ろう橋本殿ではと言う、家老とは身分が違いますというので、身分は関係ござらん、対抗する為に幅広く交際して白石殿をよく思っていな、
い仲間を増やすのですと言うと、成る程それなら出来ますなと言うので、白石殿は金で仲間を集めているのです、そんな者はすぐに裏切ります、勝ち目はありますよと言うと、わかり、
ました、お家の為にやってみましょうと言ったのです、

資金なら言うて下されば何とかしますよと言うと、それはありがたい、源三郎殿は表面に出てはいけませんからなあと、言うので承知しておりますと杯を重ねたのです、国元では他に、
騒ぎはないのですかと聞くと、それが飛び地ある串間の馬のセリに不正があるらしいのですが、ハッキリしません、郡奉行、町奉行、馬方奉行、勘定奉行が実質の責任者になっており、
串間の放牧場は馬方奉行の差配になっています、

串間には代官所があり代官の下に、放牧方、セリ方、がありそれぞれに頭がいます、年に2度ほど串間で入れ札により、商人に買い取らせているのですが、セリにかかっていない馬が、
商人の手に渡っているとの噂があり、内密に調べているのですが、どうやって牧場から運び出しているか分からず、放牧されている馬は正確な頭数はわかっていないのです、ここの、

不正は昔からあり根は深く中々掃除できないのだそうです、あの大きさの放牧場です、持ち出す場所は沢山あり、総てを監視するのは不可能なのですと言うので、代官は遠山だが律儀、
な奴ゆえ、不正に加担するとは考えられないがと言うと、今回みたいに藩の重役からの命令だとすると、断れないと言う事もありますと言うので、そうすると馬方奉行でその上は誰で、
すかと聞くと、

次席家老で御座ったが隠居なされるので次の家老が誰になるか分かりませんと言うので、白石殿はと聞くと、今は町奉行支配に御座る、中岡殿が郡奉行支配、主席家老が勘定奉行支配、
で御座ったが隠居なさるので、どなたか二人が家老になられて支配されるのでしょうと言ったのです、次席家老だとすれば、幕閣への賂に使っていたのでしょう、何もしないと多くの、
賦役をかせられたりするので、

仕方ないところもありますがと言うと、そういう事なので掃除が出来ないのだと思いますと言うので、どうされるおつもりでと聞くと、拙者の役目は藩士の監察なれば不正の証拠が上が、
れば見逃すわけには参りませんと言ったのです、商人はと聞くと上方と博多の商人が買い付けて、大半が大名に売りつけ、一部は農耕馬としても取引されていますと言ったのです、

そろそろ殿に報告に行く刻限ですと言うと、長々引き止めてもうは訳ござらんと言うので、何かわかったらお教えくだされと言うと席を立ち、勘定はそれがしがと言うと、拙者が持ち、
ますと言うので、これでも150石取りですよと言うと、そうでござった、無役の部屋住みではないのでした、それではご馳走になりますと言ったのです、店を出て城に登り御座所の前、
の庭に行くと、

政種がおう戻ったか、首尾はどうであったと聞くので、お二方とも隠居願いをだされましたと庭に控えて渡すと、受け取り、次席家老がよく承諾したな、屋敷内に過激なやからがいた、
であろうと言うので、ご存知でしたかと言うと、まあそこの石に腰掛けよというので腰かけると、次席家老の事だわしを押し込めにして時種を擁立するつもりだったのだろう、この、
役目はそちしか出来なかったのだよ、

あの連中が束になってもそなたにはかなうまいと笑ったのです、しかし、そのような事をして他の家臣が黙っているでしょうかと言うと、反対すれば闇に葬り粛清するだろうという、
ので、権力と言う魔物に取り付かれているのですねと言うと、長年その席に座っていると、手放すのは出来なくなるのじあ、まあ、荒療治をしなくて良かったぞ、さて次の家老2人、
を決めねばならんが、

そなたは誰がいいと思うかと聞くので、それは殿のお決めになる事です、それがしがくちばしを入れる事は許されませんと言うと、律儀な奴よのう、ならば近習頭の立花に家老職と、
して少しの間頑張ってもらおう、もう一人は目付けの橋本でよかろうという、近習頭は源一郎で、目付けは串間の代官をやってる遠山は律儀ゆえ、適任だな、これでどうだというの、
異存などあるはずがありませんと言ったのです、

ご苦労であった、不穏の動きがないか暫く監視していてくれと言うので、何かあれば即にお知らせしますと言うと、小姓にそこの物をこれえと言うと、小姓が持ってきたので、これは、
今回の褒美じや、医術の為と妻女に飾り物等買うてやれと100両を渡したので、このような事はおやめください、扶持は十分頂いておりますと言うと、まだ貰っておらんだろう、遠慮、
いたすなと言うので、

しからば遠慮なく頂戴いたしますと受け取ると、それでは、又顔を見せろというと、奥に去ったので、城を下がり屋敷に戻ったのです、祖父に経過を話すと、そうか英断なされたか、
これで騒ぎも収まるだろう、源三郎も150石取りの秋月藩士だ目出度いというと、祖母がほんに良かったのお、お峰殿自慢の旦那様じあなあと言うと、お峰がおめでとうござります、
と言うので、
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み