第69話

文字数 2,747文字


源三郎江戸日記69

来月には引っ越すように御座る、間髪入れず打ち込みましょうと言うので、新しい屋敷の様子もわからず、警護の人数もわからんのにいきなり打ち込んでも吉良様の首を上げる事など、
出来るきはずがない、それに大学様跡目相続を願い出ているのに、打ち込めば二枚舌と世間から笑われようと言うと、江戸の者達は大学様の取り立てて等のぞんではいません、ご公儀、
の片手落ちを糾弾し、

吉良の首を討ち改易に持ち込まねば殿の無念は晴れませぬというので、それはそなたの無念であろうと言うと、ご家老は臆されたかと言うので、そなた達の考えには賛同できぬ、討ち、
込みたければそなた達だけで打ち込めばよかろう、小人数で打ち込めば失敗するのは目にみえておる、そなた達が失敗してもその者達は浅野の家臣にあらずと幕府には届けるぞ、その、
後に一丸となり吉良の屋敷に討ち入り、

吉良の首をあげれば忠義の志士として世間も絶賛するであろう、そなた達は暴徒の罪人として永大に名を残す事になると言うと、安兵衛が刀に手をかけるので、孫太夫がご家老の言う、
ことはもっともじあ、来年の殿の一周忌に打ち込めば良いではないかと留めると、安兵衛が約束くださるかと聞くと、そなた達がおとなしく待つという事ならその時に同志として加え、
よう、

しかしその間に勝手なまねをすれば、1党には加えぬので心するが良いと言うと、わかり申した、来年一周忌まで待ちまする、約束をたがえないようにお願い申すと言うと、安兵衛以下、
5人は席を立ったのです、孫太夫が拙者が江戸におりながら抑える事が出来ず申し訳御座らんと言うと、いや孫太夫には苦労をかけておる、又そなたの婿殿にも一方ならぬ世話になって、
おる礼を言うぞと言ったのです、

そなたの婿殿にお礼がいいたい、これから案内してくれまいかと言うと、わかり申した深川までご案内いたしますと言うと、忠座衛門と出掛けるゆえ、みなは、ゆっくりしてくれと席を、
立ち店を出たので、籠を頼みましょうかと言うと、深川は隅田川の対岸であろうゆるりと江戸見物しながら行こうというので、約一里ですと言って歩いていくことにしたのです、大石が、
なる程日本橋は大店も多く賑やかなところじあのうと言って、

色々楽しそうに見て回ったのです、一時で深川に着き玄海屋に顔をみせると、七衛門がお待ちになっていますと料理屋に案内し奥座席に入ると、源三郎が長旅お疲れでしょうと上座、
を進めると、大石が上座に座り、回りに4人が座ったのです、舅殿お迎えご苦労に御座ると言うと、ご家老を歩いてここまで案内しが道々喜んで下されたのだよと言うと、孫太夫藩は、
なくなったのだ、

今はただの素浪人じあと言うので、何とお呼びすればと聞くと、変名で太夫とでも呼でくれと言うので、源三郎がそれでは太夫に吉田殿、今日は江戸の酒と料理をお楽しみくださり、
ませと言うと、女将と仲居達が膳を運んで来て酌をしたので、杯を重ねたのです、これは江戸前で取れた魚ですと源三郎が言うと、これは馳走になりますと大石が箸をつけて江戸の魚、
も美味しゅう御座ると言うと、

吉田も箸を着けて美味い、美味いと喜んだのです、大事な話しがなければ芸子を呼びますがと言うと、聞かれてまずい話しなどありませぬと言うので、女将に言うと、フスマが空き、
お勝つ、ボタン、駒菊、あやめがいらっしゃいませと言って傍について酌をしたのです、大石が今回は旧浅野の家臣の為に千両もの救済金をお手当てくださり、有難う御座ると言う、
ので、

お詫びの金寸だそうですお気になされますなと言うと、お陰で助かり申すと笑い、ところで孫太夫は医師をやっていると聞いたがと大石が言うと、お勝つが深川でも評判の正骨院なん、
ですよ、日本橋、浅草、神田からも治療に来て大繁盛しておりますよと言うと、ほう柔術が役に立っていると言う事じあなと言うので、ほんの手慰みにございますと舅が笑ったのです、

わしにも何かあれば良いのだがと言うと、忠座衛門があるではないですか、あの墨絵ですよあれは見事な物ですと言うので、女将が是非このフスマに書いたくだされませといって筆と、
すずりを用意して墨をすると、ならばへたで御座るがと立ち上がり木の枝にウグイスが止まって花をついばんでいる絵を描き始めたのです、木の下にはタバコを吸っている老人を描き、
こんなもので御座るがと言うので、

これはすご~い、絵師でもこんなに上手くは描けませんよと源三郎が言うと、みんなもこれはすご~いと手を叩いたのです、女将がこれは我が家の宝にしますと言うので、恥ずかしゅう、
御座るなと言って下に花見太夫と小さく書いたのです、孫太夫が扇子にお書きになれば高く売れますよと言うと、それでは食うに困ったらセンスに描き日々の糧にしょうと言うとと、
七衛門が私が大阪、江戸で商いますと言うと、

そのときは良しなにと大石が笑ったのです、明日からどうされますと言うと、まずは泉岳寺の行き殿に挨拶して、その後は三好浅野家に行き奥方様におうてきます、後は幕閣の方々へ、
の挨拶をして、10日程で山科に戻りますと言うので、身辺には十分お気をつけられませと言うと、狙うのは幕閣の方々か吉良様、上杉の家中ですかなと言うので、いや、浅野本家の方々、
が一番危のう御座ると言うと、

なる程本家に災いをもたらす者は早く始末するに限りますからなあと言うので、夜は気をつけてくだされと言ったのです、安兵衛には何かお話にと聞くと、先ほど押しかけてきたが礼、
のとおりを話したら、怒っておったがしぶしぶ承知して帰って行きました、今頃は居酒屋あたりで鬱を晴らしているでしょうと笑うので、あいつも困ったものですと言うと、堀内道場、
の同門でござるそうですなと聞くので、

私が入門した時は赤穂藩に仕官しており、師範代はやめていましたので、道場に立ち寄った時に二階ほど立ち会った事があります、中々の剣客で遊びのない剣裁きです、しかし高田、
馬場での18人切りは嘘でしょう、そんなに刀は切れませんというと、本人も3人しか切ってはいないと言うていましたと言うので、私には酒を飲みながら本当だと言うていましたぞ、
というと、

源三郎殿との立会いでは安兵衛は二度とも負けたのでしょう、だから負け惜しみを言ったのではと言うので、真剣では安兵衛のほうが強いですよ、竹刀なので勝手が違うのです、お奴、
と木刀で立ち会えば怪我をしますので、絶対に立ち会わないのです、だから悔しがっているのでしょうと言うと、孫太夫がそれがしも婿殿には勝った事は御座らぬ、いつの間にか負け、
ているのですと言うので、

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