第26話

文字数 2,565文字


源三郎江戸日記26

江戸に竹皮商いの店が沢山出来たりなんかしてと源三郎がいうと、それはどこから思いついたんですかと聞くので、越後屋が人助けで長屋を作り、安い棚賃で住まわせていると大工に、
聞いたので、ところで長屋の便所は一つだろう、すぐ一杯になるだろう、どうしているのだと聞いたら、近隣の百姓が金を出して引き取りに来るというので、糞も売れるのかと聞いた、
ら、

百姓は畑にまく肥やしとして必要だから、それぞれの長屋と約定している、大家はその金を貯めておき、正月のもち代にして長屋のみんなにもちを配るのだそうだ、糞も金にかわるのだ、
ろう、孟宗竹の皮も腐るほどあるのだから、商いになるなと思っていたんだよと言うと、祖母がほんにそうですね、さすが源三郎殿はよく気がつきますねと褒めるので、又褒められた、
これは盆と正月が同時に来たみたいだと笑うと、

祖母が部屋住みは半人前ゆえ褒めませんが、150石取りの藩士となれば良い事を言えば褒めるのが当たり前なのです、源三郎殿は小言を言われるのが好きなのですかと言うので、いいえ、
とても嬉しいのですというと、それなら良いのです、お峰殿膳の支度をしましょうというと、ハイと言って支度をしに行ったのです、祖父がどうやら婆さんも源三郎をやっと認めたみた、
いじあのうと笑うので、

いや、いつか逆襲をされます、油断は出来ませんと言うと、まずは飯から先に箸をつけろだろうと言うので、そうでした、今日は気をつけますと言うと祖父が大笑いしたのです、源一朗、
が湯から上がってきて、いい湯でした旅の疲れがとれましたと言って座ったのです、一年別れて暮らすので義姉はおさびしいでしょうというと、いや、いないとなると、ゆつくり出来て、
骨休みしておるよと言ったのです、

膳が運ばれて来て皆が座り、祖父がそれでは頂こうというと、杯を傾けて夕餉に入ったのです、源三郎がほうおいしそうな猪鍋ですねと箸で摘まんで食べると、源三郎殿飯からですよと、
祖母が言うので、いけない忘れていたというと、祖父が油断したなと酒を注ぐので、くせはなおりませぬ、しかしなぜ美味い物から食うてはいけないのですかと言うと、祖母が私たち、
武士は、

お百姓のお陰で生きられるのです、米を作るお百姓に感謝して最初に飯に箸をつけるのですよ、何回も教えたはずですよと言うので、そうですか成る程、それでは今度から必ず飯から、
箸をつけますと言うと、お峰が今まで知らなかったのですかと聞くので、お峰は知っていたのかと聞くと、勿論知っていますよ、知らないのは源三郎様くらいのもんですよと言うので、
百姓は何から箸をつけるのだと言うと、

祖母が汁物から箸を付けますよと言うので、どうしてですかと聞くと、それはお百姓に聞きなさいと言ったのです、兄上は知っておいでですかと酌をすると、いや教わっておらんので、
知らんがと言うので、お滝と呼ぶと、お滝が部屋に入って来て座り、御用ですかと聞くので、百姓は汁ものから先に箸をつけるそうだがなぜだと聞くと、米は貴重なもので中々百姓の、
口には入りません、

米から先に食うとすぐになくなりますので汁物、煮物から先に食べるのですと言うので、成る程、米を作っているのに米が腹一杯食べられないのはおかしな話だと言うと、米だけ食べ、
ていると、かつけと言う病気にかかりやすいそうですと言うので、なぜだと聞くと、なぜかは知りませんが、かつけは贅沢病だそうで、お金持ちがかかる病気だそうです、百姓はかか、
らないそうですと言うので、

そうかどうしてか今度調べてみょうと言うと、よろしいですかと言うので、飯は腹一杯食えよと言うと、いつも沢山頂いていますというので、そうかと言うと、部屋を出て行ったので、
す、祖母が米にはそんなに栄養はないのですよ、青物に沢山栄養があるのです、特に青魚は頭によくて、ほうれん草、人参は特に体にいいそうです、大根は胃の消化を助ける効能が、
あるのですよと言うので、

なるほど米ばかり食うと栄養が偏るのですね、それで病気にかかりやすいわけかと言うと、お峰が源三郎様は何にで根ほり葉ほり聞くので知恵がつくのですねと言うと、祖父がそう、
なのじや、源三郎のどうして、どうしての言葉は小さい頃から、閉口しておるのじあ、聞かれれば調べて教えるしかないので、わしも知恵がついたのは、良い事じゃったがと笑った、
のです、

夕餉が終り、祖母とお峰は膳を片付けて台所に下がり、三人は酒を飲んで歓談する事になり、源一朗が江戸表のことを祖父に話すと、みんな息災でよい事じあと言って、ところで、
お信はまだ懐妊のきざしはないのかと聞くと、どうやらみごもったそうにございます、江戸を出るときにそう言うておりました、産み月は来年5月ごろとの事で、江戸に戻れば、
生まれているでしょうと言うので、

それなら殿に言うて生まれる前に戻して貰えばどうだと言うと、近習頭となれば傍を離れるわけには行きません、父上と母上がおりますので心配いりませんと言ったのです、源三郎、
がそうでしたか、それはおめでとう御座いますと言うと、父上も喜んでおられた、今回江戸家老が隠居されるので父上にと言う事だがと言うと、祖父が源之丞は引き受けぬであろう、
と言うので、

源三郎がなぜで御座いますと聞くと、お前が150石で取り立てられ、源一朗が近習頭に出世し、このうえ、源之丞まで江戸家老に出世すれば、家中の悋気を買うのは目にみえておる、
と思って辞退するよと言ったのです、しかし、江戸を切り盛り出来るのは父上しかおりませぬと源三郎が言うと、困ったものよのうと祖父が言って、殿が辞退はならんと言われれば、
お引き受けせざるをえないがと祖父が酒を飲み干したのです、

ところで兄上飛び地の串間の放牧場の馬のセリにまつわる不正についてですが、代官である遠山も加担しているのですかと聞くと、もう、耳に入ったのか、当然加担しておるだろう、
と言うので、それならなぜ今回目付けにお選びにと言うと、あそこは昔から幕閣に賂を贈る金を捻出する為に歴代の藩主がみぬ振りをしているのだと言うので、藩の正式な金を幕閣、
に渡してはいけないのですかと聞くと、

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