第1話

文字数 2,701文字

源三郎江戸日記1

時は元禄、この時代は5代将軍綱吉の時代であり、関が原は遠い昔の事となり徳川幕府の治世は磐石となったが、武力による働き場所のなくなった武士のモラルは最低に経っしていたの、
である、綱吉は花鳥風月、儒教を好み、藩が鷹狩りなどを行えば、幕府に反乱でも起こすつもりかと不機嫌になる始末であったのです、その為各藩主もこぞって花鳥風月を好むことに、
なり、

参勤交代の出費もかさなりどの藩も財政は傾きはじめたのですが、元禄の文化が盛んになり多くの芸術が花開いたのです、この時代までに多くの藩が取り潰しにあい巷には浪人が溢れ、
ていたので、浪浪になった侍は京、大阪、江戸等の大きな町に流れ込み、これも世情不不安の原因にもなっていたのです、村上源三郎は日向高鍋の秋月藩3万石の藩士であり、父親は、
江戸留守居役で200石取りである、

源三郎は次男で上に兄の源一郎がおり藩主である秋月政種の近習として殿の傍に仕えていたのです、源三郎は兄になにかあった時の予備であり部屋住みの無役であった、父親が江戸詰、
なので家族は秋月藩江戸上屋敷内の役宅に住んでおり、日向高鍋に拝領した屋敷があり、祖父と祖母が暮らしていたのです、源三郎は本妻信の子供ではなく、そばめ鶴の子供である、

母は深川で両替商を営む若狭屋吉衛門の娘であり、人望の厚い父を気に入り、そばめでもいいので傍においてくれと頼まれて父親がそばめにしたのです、源三郎には妹がおり、母は、
妹と二人で若狭屋の寮住まいをしており、時々父親が尋ねて来たのです、源三郎は男なので父の役宅に寝起きしていたのですが、窮屈なので屋敷を抜け出して、寮に出入りをしており、
母鶴は、

お信様に叱られるので早々に屋敷に戻るように言うのだが、月に何回か帰るだけで、本妻のお信から小言を言われても、ハイ、ハイと返事だけして一行に聞く耳もたなかったのです、
父は我が家には跡取りの源一郎がいるのでいいではないか、部屋住みは窮屈であろうからすてておけと取り合わなかったのです、兄源一郎とはいたって仲がよく、時々居酒屋で飲む、
事もあったのです、

祖父にあたる若狭屋吉衛門は娘の子供である源三郎が大好きで何かと言うと小遣いを与えていたので、源三郎は遊びの金には不自由しなかったのです、剣は一刀流の堀内道場に通い、
すでに目録を貰っており、時々師範代として出稽古を行っていたのです、ある時ろうそく問屋の番頭が浪人の刀に触れたとかで、その浪人に無礼打ちになるところに出くわしたのです、

浪人が無礼者と言って刀を抜いて切りかかり、番頭は左腕を切られてそこにうずくまっていたのです、浪人はお前を無礼打ちにするのは簡単なことだと言うと、番頭が財布から一両を、
出して、これでご勘弁をと言うと、そんなはした金で済むと思うかと恫喝したのです、通りかかった源三郎がわって入り、おぬしは追いはぎか、こんなに腕に怪我をしているではない、
か、

町人相手に刀を振り回すとはと言うと、うるさいと上段に構えたので、源三郎も刀を抜き峰に持ち帰ると、馬鹿にしているのかと言って、え~いと振り下ろしたので、下から救い上げ、
るとガキンと大きな音がして浪人の刀が折れてビックリしているので、なまくらな刀だなと言って、手をピシーと打つと刀を落としたので、踏み込み肩に打ち込むとぐえ~と言って前、
のめりに倒れたのです、

手加減しておいたから骨は折れておらんが、暫くは刀は持てんぞ、こんどはその首落としてやろうかと言う、あわてて立ち上がり一目散に逃げ去ったのです、番頭の左手の付け根を縛、
り、止血して誰か医者はしらないかと聞くとすぐ傍に緒方玄庵と言う医者がいますと言うので、このものを戸板にのせろと言うと、見物していた若衆が戸板を持ってきたので、それに、
乗せて玄庵の元に連れて行ったのです、

玄庵が見て腱は切れていないが深手だな、このままだと直りは遅いぞ、傷口を縫うしかないと言って、少し痛いがと、傷口に酒を吹きかけると、番頭がギヤ~と悲鳴を上げたのです、
口に木の棒をかませて、みんなで動かないように押さえてくれと言うので、源三郎が両肩を後の二人が両足を押さえつけると、玄庵が畳張りに茶色の糸みたいなのをつけて熱湯に、
いれやっとこで取り出して熱を冷まし、

手を酒につけて消毒しそれで針をつかみ、行くぞと言うと傷口にプスリとつきたてたると、番頭が動こうとするが口には棒切れをはさめてあり、3人で押さえつけているので動きま、
せん、玄庵は着物を縫うように縫ったいき、5寸ほど縫い終ると縛り、これで終わりだと言って傷口を酒を浸した布で拭き、酒を吹きかけて、さらに布で拭き塗り薬をつけてさらしで、
巻いたのです、

番頭は気を失っています、今夜は熱が出るだろうからここに寝かせておき、頭を冷やすのだ、誰か身内の者を呼んできなさいというと、この人は深川のろうそく問屋越後屋の番頭です、
いま知らせてきますと若者が言ったのです、程なく男と娘が現れ、男が私は越後屋文三です、これは番頭の庄吉ですというと、娘が庄吉の娘の雪です、おとつさんを助けてくださった、
そうでありがとうございますと頭を下げたのです、

玄庵が今夜一晩頭を冷やせば、熱は明け方にはさがるだろう、このお侍さんが止血してくれたので、血はそんなに流れていないので命には別状ないと言ったのです、越後屋が貴方は、
村上源三郎様ですねと言うので、私を知っているのかと聞くと、若狭屋さんとは実懇にしております、何度か若狭屋さんで見かけた事がありのます、いつも源三郎様の事を自慢してお、
られますよ、

今回は危ないところを有難うございましたというので、命にさわりがなくて良かったなと娘に言って、朝まで看病してやりなさいというと立ち上がり、それで失敬するといって、玄庵、
先生、見事な医術でしたな、その糸はと聞くと、馬の尻りの毛です丈夫で、腐らないので南蛮の医術ではよく使うそうですというので、そうですか、こんど南蛮の医術について教授し、
てくだされと言うと、

いつでもおいでなさいと言ったのです、越後屋が後ほどお礼に伺いますというので、礼にはおよばんよ、気にしないでくれと言って外にでて、先ほど戸板を担いでくれた4人に世話に、
なった、御礼に一献どうだというと、それはありがてえやと言うので、そばの居酒屋に入ったのです、源三郎様いらっしゃいと娘が言うので、おみよ冷で5~6本と肴を頼むと言うと、
ハイお銚子6本にイワシ焼きをと声をかけたのです、

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