第58話

文字数 2,936文字


源三郎江戸日記58

さすれば一気に吉良が屋敷に踏み込み首をあげるのです、忠義の志士として町衆を始め大名達は拍手喝采するでしょう、しかしこれには1年はかかり、幕府が邪魔をすのは目に見えて、
います、今般柳沢様が、公方様のご母堂様の従一位の宣下の催促に、京に来ています、もし宣下の日を確約して下さるなら大石1党には手はださず、禁裏に上がられる近衛様の姫君、
に化粧料とし2万石を贈呈すると言うています、

ぜひともミカドに宣下の日を確約してくださるように進言をお願いしたいのですと言う、そうか大石1党には手は出さず、2万石をくれると言うわけじあな、ミカドは大喜びされるだ、
ろう、早速明日でも進言してミカドに詔勅を出してもらい、柳沢に渡そうといったのです、大石様が喜びますると言うと、長い日にちがかかるだろうが堪忍して事を成就せよと伝え、
よと言うので、

近衛様のお言葉はしかと伝えまする、私めがここに来た事と、今話した事は口外なされぬようにお願いしますと言うと、わかっておると返事したので、それでは失礼つかまつると席を、
立ち旅籠にもどり、近衛公は従一位宣下の事は約束なされた、ゆめゆめ私めとの約定をお忘れなくと書状をしたため、女将に柳沢への使いを頼んだのです、柳沢は書状を受け取り、

近衛公が約束したそうだと言うと、用人がおめでとう御座いますと言うので、これで老中達の鼻があかせる、源三郎は役に立つ奴よのう、褒美に200両を渡して来い、これからも役に、
立って貰わねばならぬと言うので、承知つかまつりましたと部屋を出て、源三郎の旅籠に来て、殿が大喜びになり200両の褒美を下さるそうです、どうぞお納めをと言うので、これは、
かたじけないと受け取ったのです、

用人は帰っていき、お峰に上手くいったであろあと言うと、旦那様は天下の大策士にございます、諸葛孔明もビックリしますよと笑ったので、これで京土産が買えるぞと言うと、ハイ、
沢山買いもとめましょうと言うので、残りはそなたから舅に渡してくれ、これからは何かと金がかかるであろうと言うと、有難う御座ります、父上も喜びますと受け取ったのです、

それでは江戸に戻ろうと言って大阪に行き、博多から来た玄海屋の千石船にのり江戸に帰ったのです、早速深川の若狭屋に行き赤穂の様子を話すと、そうですか、大石様は敵討ちをす、
ると言われたのですか、しかし、大学様の処分が決まるまでは1年はかかるでしょう、それまでみなが結束していますかな、1年も経てば生活に困窮する者も出て脱命者が沢山でるで、
しょうと言うので、

それで討ち入りをやめても、そのときは熱は覚めてますから、問題にはなりません、大石殿はホットして、喜ばれるかもしれませんと言うと、なる程、そうすれば、誰も処罰は受けず、
悲しむ者もいなくなるわけですねと言うので、舅殿も死ななくて済み、お律もホットするでしょうと言ったのです、それでは吉良は悪玉、浅野は善玉の噂が広がるように細工してき、
ますと若狭屋を出て居酒屋に行くと、

おみよがお戻りなさい、いつもの奴ですねと言うので、そうだと頼むと、赤穂はどうでしたかと聞くので、城は明け渡すらしいというと、大工の留吉がなあんだ城にこもり戦はしない、
のでと言うので、悪玉は吉良だ吉良を討ち取らなければ、何にもならんだろうと言うと、なるほど城を枕に討ち死にしても意味ないですね、敵討ちするんですかねと言うので、それは、
分からんと言うと、

横から何と言っても、あの高田の馬場の18人切りの中山安兵衛がいるんだ、やるに決まつてますよと言ったのです、なんで浅野様は吉良に刃傷なさつたんですかと言うので、話して聞、
かせると、ほう、吉良と言う奴はよっぽどの悪玉でござんすね、それにその梶川と言う奴も武士の風上にも置けない奴ですねと留吉が言うと、回り中がひでえ奴だと口々に言ったので、
す、居酒屋を出てこれでよし、

次は瓦版だと版元の玉屋に行き、刃傷騒ぎで瓦版は大分売れただろうと言うと、ヘイ、しかし、どうしてだかさっぱり分からないのですと言うので、聞いた話しだがと、色々話すと、
まってください今書きとめますと、玉屋が書き留めて、これは言いネタをありがと御座いますと言うので、幕府批判は絶対書くなよと言うと、わかってますよ吉良と梶川をぼろくそ、
に書けばすご~く売れますよと言うと、

書いたものを彫り方に持っていけと番頭に渡して、今日の夕刻は大騒ぎですよと玉屋が言ったのです、夕刻になり瓦版が出来上がり、さあ皆の衆松の廊下の刃傷騒ぎの真相がわかった、
ことの起こりは欲深い吉良への進物から始まっている、吉良の度々の嫌がらせに、浅野の殿様が怒ったのだそうだ、嫌がらせの全容が書いてあるよ、さあ買った買ったと言うと、
大勢が集まって買い求めたのです、この内容は町奉行所の役人の耳に入り、

直ぐに月番である北町奉行の手にわたり、奉行は急ぎ若年寄りに差し出したのです、若年寄りが老中に差し出すと、稲葉がなんじあこれは何故、松の廊下の事が外に漏れたのだと言う、
と、若年寄りが、見ていたのは大勢います、恐らく大名、旗本、茶坊主から出たのでしょうというと、柳沢が騒がんでも良いではないか、いずれかは広がる事じあ、幕府批判は何処に、
もかいてないでは無いか捨て置けというと、

稲葉が何を申される、これは片手落ちを非難したのに等しいというので、ほう、稲葉殿は上様が決済された事を片手落ちといわれるのかと言うと、滅相も無いと言うので、陰で煽った、
人物がいるとかかれた方が良いのかなと笑うと、それは誰で御座かと言うので、伊達左京太夫が過剰な料理、せんでもいい畳み変え、金屏風等指南も受けていないのに、勝手に用意、
したので、

浅野は仕方なく合わせるしかなくなり、面目がつぶれたと聞いておるが、しかし、悪い物を出したわけではないので責めるわけにもいかぬでのうと言うと、稲葉がそれはけしからんと、
言うので、それでは伊達を罰しますか、そうすると仙台の伊達宗家が出てきますぞと言うと、それは困ると言って、まあ、幕府非難しているわけではないので、咎めだては出来ないの、
と言うので、

若年寄りが分かりました捨ておきますと言うと、部屋を出て行ったのです、この話は3日もすれば江戸中に広がり、旗本、大名も知る事となり、浅野への同情が高まり、吉良への悪口、
雑言が蔓延したのです、これを聞いた吉良は、なぜじあ、わしはそんな事は指南しておらんぞ、伊達が勝手にした事じあと怒りをあらわにしたのです、その日から吉良屋敷の塀には、
悪玉、鬼、強欲などの雑言がかかれるようになったのです、

城中でも吉良、梶川は非難の的となったのです、綱吉の耳にも入り、老中を呼びわしも悪者になっているのかと聞くと、柳沢が滅相も無い、上様への批判など何処にも出ておりません、
と言うと、しかし、乱心ではなく、吉良の嫌がらせに浅野は怒り、刃傷に及んだそうではないか、稲葉そちは乱心だと言うたではないかと言うと、浅野は遺恨の理由は何も言わない、
と大目付の詮議で御座いました、
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