第37話

文字数 2,666文字


源三郎江戸日記37

富三郎が御隠居様はあの先の岩場で釣りをしておいでですというので、そうか見に行こうとお峰をつれて馬に乗り行き、なが釣れましたと聞くと、チヌ5枚にアジ12匹あげたぞと言う、
ので、大漁ですねと言うと、チヌの刺し身にアジの叩きで一杯飲むと美味いぞと言って、さきほどは二人で泳いでおっただろう、お峰中々の泳ぎじあなあ、水練を習ろうたのかと、
聞くので、

ハイ、父上にやらされましたというと、さすが孫太夫殿じあなと笑い、潮目が変った食いつきが悪くなりおったので竿をあげるかと言うので籠を受け取り馬につるして網元の家に、
行くと、御隠居様焼酎が冷やしてありますと湯のみで渡すので、それはかたじけないと言ってゴクゴクとのみ美味いと言ったのです、源三郎が財布から5両をだして、これは殿か、
が下された金寸だ、

漁師なれば米は買わなくてはならんだろう、これで米を買い皆の衆に分けてくれと言うと、この二三日不漁でしたので助かりますと、受け取ったのです、お初が今日海女達が取った、
アワビ、サザエ、岩のりです少しですがお持ち帰りくださいと渡すので、これはありがとう、これで夕餉の支度が出来ますと言うと、籠を馬にくくりつけたのです、それでは又な、
と言うと、

三人は馬に乗り屋敷に戻ったのです、祖母がお戻りなされませと言うと、祖父が大漁じあ、近所にも分けてやれと言うと、籠を見てほんに大漁でしたな、近所の方が喜びますと言っ、
て受け取ったのです、部屋に戻ると、昨日はいささかはめをはずしましたというと、たまには良かろう、遠山も喜んでいたであろう、あやつは真面目な奴ゆえ少しは砕けたほうが、
良いと言うので、

とんでもありませぬ、城下の小料理屋の女将と出来ていますよと言うと、なに、あ奴がか、それはどうした事だ、少しは砕ける男になったのかと笑ったのです、物産方の頭取だそう、
で張り切っておりましたというと、そうか、楽しみな事じあなわしも何か指南できる物を考えようというので、最近江戸では木刀ではなく、竹刀を道場で使う稽古がはやっています、

ここには良い孟宗竹が取れますので竹刀をお作りになたらいいがですかと言うと、そうかそれは良いな武田殿は竹刀作りの名人じあ、武田殿にならい作ってみようと言うので、武田、
先生はまだ道場にと聞くと、いや、息子の小次郎殿にまかせられて隠居の身じあ、時々は稽古をつけられるそうじあと言うので、明日にでもお尋ねしてみますと言うと、それは喜、
ばれるであろうと言うので、

顔を出さなかったのは小次郎殿と立ち会わされるとまずいと思ったのですと言うと、そえかお前の方が腕は上じあからなあ、お前に負けると道場主としての立場がないのか、しかし、
それを恐れているようでは藩の指南役は務まらぬ、お前に勝てなくとも藩随一の使い手であろう、恥じることはないだろうと言うので、そう思うているならいいのですがと言ったの、
です、

湯にでもはいてくるぞと祖父がでて行ったので部屋に戻り一服して、暫くしてお峰が湯に入ってくだされと言うので湯を浴びてさっぱりして部屋に戻ると、お峰が湯のみに酒を出すの、
で飲み干し、湯上りの一杯はたまらんと言うと、お爺様も同じ事を言うておられましたと笑ったのです、明日は武田先生にお会いにしに行く、一緒に来い、多分お峰も門弟と立ち会う、
事になると思うが遠慮はいらんぞと言うと、

わかっておりまする手加減などすれば、打ち据えられますると言ったのです、お滝が夕餉の支度が出来ました、源一朗様もお戻りで、湯浴みも終りましたと言うので部屋に行って座り、
兄上早いお帰りですねと言うと、殿が源三郎がいる内は早く帰れと、城を追い出されるのじあと笑ったのです、祖父がそれでは頂こうというと、それぞれ酌をしたので飲み干して兄上、
がこれはご馳走ですな、

お爺様があげられたのかと聞くと、そうですよ、近所にもおすそわけしたら、大変喜んでいましたというので、チヌですかと箸を付けると、これ源一朗飯からですと祖母が言うので、
そうでしたと言って飯に箸を付けるので、源三郎が習って飯に箸を付けると、お峰がクス、クス笑っています、源三郎がアジの叩きを食べて、これはコリコリして美味いと言うと、
取立てが一番じあなと祖父が言ったのです、

兄が物産会所の準備も進んでいるそうで何よりだなと言うので、遠山が張り切っていますと言うと、お前がハッパをかけたのだろう、あ奴が芸者をあげて飲むはずがないと言うので、
これはお分かりでしたかと苦笑いすると、まあ物産方は百姓、商人と懇意にしなければ上手くいかんだろう、すこし砕ける方が良いが、時とすると源三郎は砕けすぎるからなあと笑、
ったのです、

祖母が次男坊それくらいが丁度いいのですと言うので、あれ、いっからお婆様は源三郎に小言を言われなくなったのですかと言うと、祖父が何事も策が必要なのだと言うと、ほう何か、
策をろうしたのですかと言うと、これでございまするとお峰が指さすと、源一朗が祖母の頭を見てなる程良策に御座いますなあと言うと、祖母は知らん顔していたのです、源三郎が、
藩の財政はどうですかと聞くと、

前代からのたくわえ金も少なくなり逼迫しているのじあ、借財をせねばならんが、金利の高いところから借りればさらに逼迫するので、支配になられるご家老が頭を悩ませれていると、
言うので、良い策がありますと言うので、物産会所での収入はまだ先の事であろうと言うので、相模屋が低利で用立てくれますと言うと、なにあの相模屋がか何か裏があるのではと言、
うので、

実は瀬戸内で相模屋の千石船がムササビに襲撃されたのはご存知ですかと聞くと、おう聞いた2万両からの金を奪われたそうだが、相模屋はびくともしないそうだなと言うので、実は、
あの海域で漂流している相模屋を助けたので御座います、あのまま漂流していれば小船に10人も乗っておりましたので、フカのえさになりお陀仏だったでしょう、拾い上げて兵庫の、
港に連れて行ったのです、

相模屋は感謝しましてそれがしが高鍋藩の藩士と知り、高鍋藩なればいくらでも低利で用立てすると言ったのです、相模屋の後ろ盾は柳沢様ですのでそんな金はいらんと言いましたら、
柳沢様は今後一切高鍋藩には手をださんと言ておられるそうですと言うと、そうか、あの一件は自分の落ち度になるで封印したわけだな、証文には低利子の約定をいれるとの事です、

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み