第44話

文字数 2,801文字


源三郎江戸日記44

必要な時はいつでも言うてくださりませと言うので、随分高い利息だが受け取ろうというと、これでホットしましたと笑ったのです、ところでムササピは江戸の蔵は狙ってはおらんのか、
と聞くと、四国丸亀藩の領内の小島の岩場に座礁している相模屋の船が見つかったそうで、船は半分に折れて積荷は総て近辺にはなかったそうです、直ぐに水深は深くなっているそうで、
金と積荷は海に沈んだのでしょう、

この辺にはフカが沢山回遊しており、乗っていたものはフカのエサになったのではないか、と幕府に届出があったそうですと言うので、そうか2万両は海の底と言う事か、それでは相模屋、
は大損と言う事だなと言うと、なんのこれ位ではこの相模屋はびくともしませんよと笑ったのです、あの時にムササビが十文字左近様の配下と名乗り、騙されてしまったのですが、実際に、
左近様は与力以下二名を大阪に差し向けられたのです、

もつとも到着したのは私が出航した後だったそうです、左近様はムササピの源蔵が井筒屋に加担したのは冤罪ではないかと疑いを持たれて、探索を続けられたそうです、船手頭、船手奉行、
相模屋がつるみ、後ろ盾は柳沢様ではないかと思われたそうです、そして下谷の荒れ寺の地下室で阿片を吸引している事を突き止め、船手頭が阿片を持ち込んだところを捕縛したそうです、

船手頭を目付けに引き渡して、目付けが吟味したところ、芦田源蔵に阿片の抜荷を嗅ぎ付けられた為、遊び人の留吉に命じて、井筒屋の酒に南蛮渡来の毒薬を混入させ殺害して船に火を、
つけて、証拠を消し、芦田源蔵を一味に仕立てるために、家に抜荷の品と金を置いた事を自白したのだそうです、留吉は火盗改めが長屋に踏み込み捕縛して、吟味したところ船手頭の、
いいつけだと自白したそうです、

この男の鼻のしたにホクロがあった事から手前の番頭と間違われたのです、芦田源蔵は船手頭が井筒屋とつるんで抜荷に加担している事を掴み、奉行に言ったが証拠がなけれ捕縛は出来ぬ、
と言われて、単身船に乗り込み調べたのだが、船倉には大勢の物が倒れていたので、慌てて証拠品の抜荷の品をもち甲板にでた所を船手組の船に取り囲まれ、奉行も一味だった事に気づき、
飛びこもうとした時、

船から火が出て鼻の下にホクロのある者が飛び込んだのを見たのだそうです、岸に泳ぎ着き配下であった岡っ引きに繋ぎをとり、調べさせたところ、相模屋の番頭の鼻の下にホクロがある、
事がわかり、船手頭と相模屋がつるんで、わなにかけたとのではないかと源蔵に伝えたと、岡っ引きが左近様に申したてたそうです、しかしそれは間違いで私も、柳沢様も井筒屋の抜荷は、
知っていましたが、

阿片を密売していたとは知らなかったのです、禁制品以外の抜荷については幕府は見逃しており、それは、オランダ、シナとの交易を長崎で幕府が独占しており、交易品は商人に下渡され、
るのです、私どもはそれを商いするのですが、それで儲けた利から冥加金を納めているわけです、つまり二重に冥加金を払う事になります、抜荷をして手に入れても、その商いで儲けたも、
のから冥加金を納めるのですから、

幕府は損はしないわけです、交易を独占しているのは耶蘇教にかんする物が、日本に入らないようにする為との名目ですが、実は交易による利益を独占する為のもので、各大名は反発して、
いるのです、その為抜荷をやっている藩は結構あります、薩摩藩の商人は莫大な利を上げています、それで冥加金を薩摩と幕府に納めているのですと話したのです、船手頭、船手奉行、
は切腹となりましたが、

これが世間にしれれば幕府の御政道は地に落ちる為、病死として処理され家督はそのまま子供に継がせ、留吉は小伝馬町で斬首されたそうです、船手組の同心何人かが加担していたそう、
ですが、全部処分するわけにはいかないので、厳重注意で済ましたそうです、すでに新しい船手頭と奉行が就任しております、柳沢様が芦田源蔵の抜荷は冤罪であったが相模屋から2万8、
千両を盗んだのは間違いないので、

抜荷は撤回し改めて盗みで手配するとおうせらなりましたが、冤罪から出た事であり船も難破して行方も分からないので、訴えは取り下げると言いましたら、それでは総ての手配は取り、
やめてお咎めなしとの通達を出すとの事ですと言うので、そうか、十文字殿が冤罪を晴らしてくれたのか、冥土に源蔵が行っていればさぞかし喜んでいるだろうと言うと、手前も疑いが、
晴れてホットしています、

禁制品なんかに手を出すはずはありません、柳沢様に賂を贈っているのは、私だけではありませんよと言うので、賂の高で御政道がきまれば、正直者が痛めつけられる事になりかねない、
と思っており、抜荷をしのこの言うているのではない、耶蘇教にかんけいない物まで禁止している制度も問題だがと言うと、幕府は何処かで線引きをしたいのですよ、書物等は大名家に、
は沢山ありますよ、

特に水戸様は南蛮の事に熱心だそうで、幕府も下々に漏れなければ見逃しているのですと言ったのです、ところで今日来たのは高鍋藩への借財の件なのだ、今度物会所を作り大阪、江戸、
で特産品を商いする為に、玄海屋と言う廻船問屋にやって貰う事にしたのだが、軌道に乗るために5000両程必要なのだと言うと、源三郎様の口利きならいくらでもお貸しいたしますよ、
約定とおり利息は頂ませんと言うので、

いやそれはダメだ利息は安くしてもらうがちゃんと払うというと、律儀なおかたですな、いつ用立てすればと聞くので、わしが段取りすれは藩内の悋気を買うので約定は勘定方の小役人、
になるがと言うと、源三郎様のご指名ならどなたでも構いませんと言うので、それでは勘定方の木村に手紙をしたためてくれ、内容はさる方の口聞きにて高鍋藩に金寸をご用立てしたい、
ので至急江戸に登られよという内容じあと言うと、

わかりましたと言って書状をしたため源三郎に渡したのです、江戸に登ったらつれてくるので、後は二人で取り決めてくれと言うと、承知いたしましたと返事したのです、番頭が表に、
玄海屋七衛門と言うお方がお見えですがと言うので、ここに通してくれと頼むと、座敷に座り玄海屋七衛門にございます、今回は高鍋藩の物産を大阪、江戸で商う事になりましたと、
挨拶すると、

そうですか、源三郎様は命の恩人です、私に出来る事がありましたらお手伝いしましょうというと、七衛門が有難うございます宜しくお願いしますと頼むと、高鍋から江戸になります、
と日数もかかり、大変な苦労をされる事でしょう、利が出るのは難しいのではと言うので、玄海屋は二隻しか千石船は持っていないが、その船には工夫がしてあり、高鍋から江戸まで、
4日で来る事が出来るのじあと言うと、

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