第46話

文字数 2,775文字


源三郎江戸日記46

後、膳が二つ用意してありますがどなたかお見えでとお勝つが聞くと、若狭屋が今に来るよと言い、遅うなりましたと山田新之助と目明しの三蔵が入って来て席に座り、お招きにより、
参上しましたと新之助が言うと、三蔵があっしのような者まで、お招きいただき宜しいのですかと聞くので、若狭屋が構いませぬ、源三郎殿が無事、お戻りなされた祝いじあと言って、
駒菊、あやめが酌をすると飲み干したのです、

新之助がお勝つから聞いたであろうが芦田源蔵殿は冤罪であったそうだ、お手配は総て取りやめとなったというので、先ほど相模屋から聞いたというと、相模屋と柳沢様も関係なかっ、
たそうだなと言うので、冤罪が晴れても源蔵は船手組同心には戻らんだろうと言うと、なんでも丸亀の領内で船が難破して死んだそうだが、気の毒な事じあのうと言うので、心配する、
な奴は生きておる、

盗人家業はやめて博多で商人として暮らしているというと、そうであったか、それは良かったなと言ったのです、お勝つのお陰だなと言って、三蔵の柳沢様が十文字左近殿の配下を送、
られた事をお前の飛脚便で知って源蔵に教えたのだよ、今回の高鍋藩の窮状もお主の飛脚便の知らせで助かったのだと言うと、三蔵がよく調べてくれたのだと言うので、そこで前回、
越後屋から貰った金寸があるので、

お勝つに5両、駒菊とあやめに2両づつ、三蔵に5両をご苦労賃として渡すと言って、紙に包んだ小判を渡すと、いいんですかと、お勝つが言うので、越後屋から役に立ててくれと貰った、
ものだからいいのだ、三蔵は奉行所からの給金もわずかだろう、かみさんに飾り物でも買うてやれというと、新之助が遠慮なくもろうておけと言うので、ヘイありがたく頂戴いたします、
と受け取ったのです、

お勝つ、駒菊、あやめが私達まで有難う御座いますというので、お上からは何の褒美もなかったろうというと、新之助が奉行所の台所は火の車じあからのうと苦笑いしたのです、新之助、
には高鍋の土産じあと油紙につつんだ物を見せて、開け箸でハムを一切れづつ膳に載せて、お勝つ達にも皿にいれて渡し、食してみろと言うと、みんなが食べていい食感で美味いと、
言うので、

山クジラの肉を工夫したものじあ、残りは新之助にやるので、持ち帰り妻女と子供に食べさせてくれと風呂敷に包んで渡すと、それはありがたいと受け取り、山クジラの肉は中々重い、
のおと言うので、その包みで目方にすると小判10両分にはなるだろう、新之助に小判を渡すわけにはいかんからなあと言うと、さてはと新之助が言うので、一旦受け取ったものは返せ、
ないぞと言うと、

はめられたかと言うので、だたの高鍋土産だよと笑うと、ありがたく頂いておくと言ったのです、若狭屋が源三郎殿は今回、150石で取り立てられたそうです、さあどんどんやってくれ、
と言うと、何と150石だとわしは30石二人扶持だ、それは凄いと杯を上げたのでみんなで重ねたのです、女将が若狭屋に酌をして自慢のお孫さんですねと言うと、ありがとう、わしも、
まだまだ頑張らねばと酒を飲み干したのです、

明日でも源蔵の妻女に会って生きている事を伝えよう、もう一度源蔵とやり直したいのなら、船で博多まで送ってやるよ、玄海屋の船が5日後には大阪を経由して博多に行く事になって、
いると言ったのです、女中が源三郎様に座敷においで頂きたいと申されていますがと言うので、女将がどなたのと聞くと山川吉保様の座敷ですと言うので、確かお旗本とお聞きしていま、
すがと言うので、

早速きたか会わねばなるまいというと、知り合いかと新之助が聞くので、会うのは今回が初めてだ、みんなはゆつくり飲んでいてくれ、直ぐに戻るというと席を立ち、女中について行き、
部屋に入り、刀は左に置き村上源三郎に御座る、柳沢様が何用でございますかと言うと、おぬしが村上源三郎か刀を左に置くとは無粋なと言うので、フスマの向こうに伏兵を忍ばせると、
は無礼千万と言うと、

なる程これは失礼した、座興じあ、皆のもの下がれというと、ハハ~と声が聞こえて隣の部屋を出て行った気配がしたので、刀を右に持ち替え失礼いたしましたと頭を下げると、女将が、
膳を持て来たので、そちらに座られよと言うので座ると、女将が酌をして、ごゆっくりと部屋を出て行ったのです、杯を飲み干し、して何の御用で御座いますかと聞くと、黒田がそちに、
ていもなく捻られ、

千葉道場の目録持ち、さにら火縄銃の名手もことごとく討ち取られたと聞く、そのような業の者に一目会いたかったのじあ、中々良い顔をしている若者じあ、どうだ2000石で公方様に、
使えぬか、たつた150石では勿体無い、幕閣に入り内部から御政道を正せばよいだろう、まずは北町奉行に任じる、無論秋月政種殿には余から話しをするがと言うので、申し訳ありま、
せぬが足を崩して宜しいでしょうかと言うと、

傍にいた用人が何を殿の前で無礼なと言うので、政種様はお許して下さりますがと言うと、吉保が構わん、わしも足を崩すぞとあぐらを組んだのです、このように無粋な男ゆえ宮使い、
には向いておりませぬ、公方様の勘気に触れて直ぐに切腹になりまする、どうぞご勘弁くださりませというと、なる程相模屋が申す通りの知恵者じあのう、断り方も普通ではないなと、
酒を飲み干したのです、

一つ尋ねるが、今般幕府では金銀改鋳をやろうとしている、金の含有量を減らしての改鋳となる、当然価格が下落するが、下落させない方法は無いものかのうと言うので、銀の改鋳は、
取りやめ、小判一枚と2分銀の交換比率を全国統一して江戸での4枚での両替を取り決め、何処に行っても同じにするように触れを出すのです、従わない両替商は家財没収の上遠島に、
すると言えば従うしかないでしょう、

庶民は小判等は使いません、ほとんどが2分銀、2朱銀か文銭です、この交換比率を一定にすれば、小判が鉄くずだろうと価値は落ちないのです、そうすれば幕府は小判改鋳による蓄え、
は数百万両になるでしょう、更に両替商に集まった旧小判は必ず幕府の改鋳した小判に交換して、市場に流通しないようにさせるのですと言うと、なる程全国つつうらまで交換比率を、
一定にするわけじあなあと頷いたのです、

両替商は総て金貸しが本業です、貸付はほとんど小判ですから価値が落ちないのは喜びますし、両替は自分達がやるのですから、統一することはきわめて必要だと思っているはずですと、
言うと、傍にいた勘定奉行にこの策はどうじあなと吉保が聞くと、まさに、良策に御座います、学者も考え付かないでしょう、目からうろこが落ちました、村上殿是非幕閣にお入りな、
されと言ったのです、

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