第86話

文字数 2,749文字


源三郎江戸日記86

いやそれがしは会った事は御座らん、安兵衛とは堀内道場の同門らしいが、安兵衛が堀部家の養子になり仕官した後に入門したそうで、一年で目録を得たそうです、その後3回立ち会、
う機会があったそうで御座るが、いずれも負けたそうで御座る、村上殿は竹刀だから勝てたので、木刀又は真剣なら負けていると言ているそうです、安兵衛は剣の腕も凄いが、感が、
鋭い御仁で、

打ち込む手の殆どを見破られた、さらに間合いも届くはずの竹刀が5寸届かず、村上殿の竹刀は安兵衛には届いて打たれるそうだと言うと、あの安兵衛がかなわないのなら相当の腕で、
御座るなと言うので、拙者は安兵衛とは互角じあが、そうなると負けると言う事で御座るが、一度立ち会いたいものでござるなあと言ったのです、次の日は伏見から川を下り大阪に、
出て船場の玄海屋に顔を出したのです、

番頭が書状を見て承知しました、今荷を積んでいます、後1時したら出航します中に入りお休みくだされと座敷に案内したのです、今日は何処の港泊まりで御座るかと聞くと、どこにも、
泊まりませんと言うので、夜中走るので御座るかと聞くと、ハイ、おおしけで無い限り走れます、2日で江戸に着きますと言うので、二人が驚くので船にお乗りになればわかりますよと、
言って、

女中に酒を持ってこらせ、湯のみに注いで呼びにまいります、ゆっくりなさりませと言うと番頭は出て行ったのです、2日で江戸に着くというていたが、陸路をいけば10日でも着くか、
どうかだが、いったいどんな船なのだと顔を見合わせたのです、1時たつと番頭が用意が出来ましたと言うので立ち上がり船着場から小船に乗り千石船に向かったのです、船に乗ると、
船頭が帆をはれと言うあいずで、

帆が張られイカリが持ち上げられると勢いよく船が進んでいったのです、帆をみるとすこし斜めになっています、船頭の亀吉といいます、不和様と大高様ですね2日で佃まで着きます、
この船は風が前から来ても前に進む事が出来るのです、今わ後ろ右斜めからの風ですので、すこし帆を斜めにして帆に風があたるようにして進むのです、風の向きで帆の向きを調整、
出来るようになっているのですと言うので、

なる程これは凄い、誰の工夫でござるかと聞くので、村上源三郎様の工夫で御座いますというので、何と村上殿で御座るか、どうして夜も走れるので御座るかと聞くと、こちらにと、
言って操舵している船子の所へ連れて行き、右下の布をはがすと見た事も無い機械が置いてあり、北南東西に細かく印がつけてあります、あの針は必ず真北を向くのですそこに北の、
印をあわせれば、

方角がわかります、この国の位置は大体わかっています、今わ大阪から紀伊半島に向かいますから北北東に進めばいいわけです、紀伊半島を回りましたら北北西にすすめば伊勢、尾張、
駿河、伊豆に行ける事になります、そこから浦賀水道は北北東になります、そして江戸湾に入るわけです、天気がよければお天とう様でも大体の位置はわかります、しかし雨や曇り、
ではわかりません、

その時にこれを使うわけですというと、凄い工夫だこれも村上殿の工夫でと聞くので、そうですと船頭が答えたので、なんと知恵の働く人なんだと二人は驚いたのです、風が全然ない、
場合は黒潮と言う道が海にはありまして紀伊半島からこれに乗ります、列島に沿って北へ1時に2里の速さで海の水が流れています、それに乗れば人の歩く倍の早さで進む訳です、帆を、
張り、

風があれば一時に6里は進めます、二日で約150里進む事になります、江戸までは海路で約150里ですので2日で行ける事になりますというと、船とは凄いものですなあと感心していた、
のです、この方位磁針計をつんでいるのは玄海屋と相模屋の千石船だけです、帆の工夫はみればわかりますので、段々他の船にも改造しているみたいですと船頭がはなしたのです、

なる程これを見せる為に大石様はこの船に乗るように言ったわけかと大高が言ったのです、不和がこの船には何人乗れるのだと聞くと荷物がなければ100人は軽く乗れますと言うので、
20隻あれば軍勢2000人をあっと言う間に江戸に運べるのか、それは凄いと言ったのです、玄海屋の人数はと聞くと、ふねに乗っているものが100人で交代で船にのるので200人はいます、

高鍋、博多、大阪、江戸に全部で100人と言うところですと言ったので、玄海屋の主人はと聞くと江戸にいなさる七衛門の旦那ですが、実質は村上源三郎様が頭で七衛門旦那は小頭と、
言う事になり番頭が4人、船頭が10人です、村上様を大将とすれば主席家老が1人、家老が4人、組頭が10人と言う事になり、総勢300人の軍勢ですというと、なる程それだけいれば、
大石様だけでも討ち入りは出来るわけだ、

言われた事は全部本当だったんだ、いざとなれば村上殿に助太刀を頼み討ち入られると言う事か、300人に総て鉄砲を持たせ、大筒が二門もあれば吉良など粉砕できるわけかと言うと、
船頭が軍資金は沢山ありますので、浪人の二千や三千は集められますよと言うと、それを20隻の船に積み江戸にいけば幕府とも戦うことが出来るわけだ、なんとゆう凄い人なんだと、
言ったのです、

そんな人がついていなさるんですよ、吉良などたいした事ありませんと船頭が言って、部屋に案内しますと船倉に降りて畳みの部屋に案内したのです、荷物はこの箱に入れてください、
真ん中に座卓が固定してありまわりがすこし高くなっており、下に物が落ちないようになっています、それでは夕餉までゆつくりしてください、酒はこのとっくりに入っています、
自由にやってくださいと言うと部屋を出て行ったので、

不和が片岡達が引越しの時吉良を狙おうとして村上殿から罠だと知らされて諦めたと言うていたが、その後におとなしくなったのはこの御仁の凄さを知ったからなのか、あの後急に、
おとなしくなったので不思議だと思ったんだが、幕閣とも顔が広く総ての情報を握っているのかと言うと、大高がまさしく我々は匹夫の勇だと言う事だな、大望は用意周到に策を練、
らなければ成就せんと言う事だと酒を飲みほしたのです、

これで大石様の指示通り動けば必ず成功する事がわかった、時期についても吉良が最大に油断する時を待つておられるのだろう、島原での遊びはあんな事で敵を欺こうなんて思っては、
いられないのだ、あんな事で千坂兵部がだまされるわけない、おそらく動かれる時も正々堂々東海道を下られて威圧しながら江戸入りをなされるだろう、それは幕府にこれからやる、
ので邪魔しないでくれと言う表示でもあるわけだ、

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