第87話

文字数 2,955文字


源三郎江戸日記87

千坂兵部も四面楚歌の吉良は、すでに見捨てたと言うことだ、上杉に難が降りかからないように、20人しか送らず、後は浪人と家人で人数会わせをして、討ち入られても応援は出さず、
軽い処罰で済むようにと思っているんだ、しかし、幕府、上杉、民衆が討ち入りを期待しているんだらおかしな話だと言うと、大高が幕府は吉良の首をとらせ、吉良家に武門の恥だと、
して改易、

我々は斬首ではなく切腹の沙汰をして片手落ちの裁きを喧嘩両成敗に訂正するつもりなんだ、浅野と吉良は芝居の演じ者で、幕府と上杉は黒子と言うわけだと言うので、不和がそれなら、
目一杯演じてやろうではないか、後世に名を残す機会などめったにない事だ、曽我兄弟みたいに何百年も、大石内蔵助、大高源吾、不和和衛門他討ち入り参加者の名は永遠に残るとすれ、
ば、まことに愉快なりと二人で杯を重ねたのです、

元禄15年7月になり幕府は浅野大学の家禄没収の上浅野本家へのお預けを通達した、これで浅野家の再興願いはついえ、7月末には京都丸山安養寺に集まったのは19名で大石が浅野大学の、
家禄没収の上浅野本家へのお預になった事を知らせ、吉良邸に討ち入り吉良の首を上げる事を宣言し、貝賀弥左衛門と大高源五が先に連判に加わった者へ意思確認して起請文を集めた結果、

討ち入りに加わる者は55人に減ったのです、大石は新しく連判した者は身辺の整理をして10月までに江戸に集まるように連絡して、自らも10月に入り吉田忠座衛門ら5人と江戸に下るべく、
京都を出発したのです、変名は使わず堂々と江戸に下っていったのです、尾張の手前の宿場に逗留した時に尾張藩の家老が尋ねてきたので座敷に通すと、尾張藩家老安藤玄馬と申す、大石、
内蔵助殿でござるなと言うので、

いかにも内蔵助にござるが、何用で御座るかと聞くと、尾張藩は徳川親藩なれば吉良屋敷に、徒党を組んで押入ると噂のある大石殿一行の領内通行は認めるわけにはまいらないと言うので、
大石が浅野大学様は家禄没収の上浅野本家へのお預になりましたが、ご尽力していただいた方へのお礼言上に行く旅に御座れば、押入るとはただの噂に御座ると言うと、それを信用する訳、
には参らぬ、

そこで出御座る、日野家用人垣見五郎兵衛が江戸に向かっており申す、その名前を使ってお通りくだされ、尾張領内の本陣には手配してあります、陣笠道具箱その他はこちらで用意して、
あります、ご一行は尾張領内を抜けるまでその名で通してくださらんかと言うので、その日野家の一向はと聞くと、京都を出てこちらに向かっておりますが、お手前方には追いつきませ、
ぬ、

陣屋には二回垣見五郎兵衛が宿泊することになりますが、陣屋の主人には言い含めてありますと言うので、なる程、何かあった時に幕府に言いわけできるようにとの配慮で御座るかと聞、
くと、尾張藩の事情を汲み取り、いただけないかと言うので、大石がわかり申した、尾張藩に迷惑をかけるつもりは御座らぬ、尾張領内を抜けるまではその名前で通しましょうと言うと、
かたじけない、

陣屋への宿泊の費用は総て尾張藩で持ちますると言うので、大石がそれはありがたい、浪浪の身なれば路銀も裕福では御座りませぬと言うと、風呂敷に包んだものを出して、ここに100、
両御座る、これは願いを聞いてくだされたお礼に御座ると言うので、その気使いは無用に御座ると言うと、これで江戸の吉原あたりで遊びなされと言うので、貰わぬと何かを企むんでい、
ると思われるやも知れませぬなあ、

しからばありがたく、頂戴いたしますると受け取ると、ここに控えているのが領内を出るまでの案内役にござる、このものが総ての段取りをやりますると言うと、真木健治郎と申します、
それがしがご案内つかまつります、明日出立の時刻にお迎えにあかりますと言うと、二人は帰って行ったのです、街道筋では太夫が吉良家に打ち込む為に江戸へくだるとの噂で持ちきり、
なのでしょうと言うので、

幕府、吉良、上杉にはどうせ分かる事に御座る、幕府に邪魔されない為の策に御座るが、尾張藩に恩を売っておくには好都合に御座るなと大石が笑い、貝賀と大高は居酒屋に入りどの程度、
の騒ぎか調べてまいれと言うと、二人が承知しましたと旅籠を出て行ったのです、我々が尾張藩領の手前で消えれば上杉、吉良は驚くでしょう、このまま垣見五郎兵衛で川崎まで通しま、
しょうというと、

尾張領を出ると本物に露見してしまいますと言うので、陣屋にとまらず旅籠なら気はつかないので、大丈夫で御座ると言うと、なる程、さすれば決行時期もごまかせますなと吉田が言、
ったのです、決行は12月前半の予定なので、10月、11月に警戒をしてくたびれ果てれば、肩透しを食らい12月には警戒もゆるむかも知れませぬと言ったのです、貝賀と大高は大き目の、
居酒屋に入ると、

店はほぼ満員です、酒と肴を頼み杯を傾けると、となりの旅人風の男が、お侍さんはどちらへと聞くので江戸だと聞くと、それでは大石様一行は見かけませんでしたかと聞くので、我々、
は大石殿の顔はしらんのでわからんというと、なんでも5人連れだそうで今日ここの宿場にお入りになり、江戸に吉良を討ちに行途中だそうです、あっしは江戸から上方に商いでいく途中、
なんですが、

ここもそうなんですが、尾張の城下でもみんな噂していますよ、この分だと11月には討ち入るんじあ無いですかねと言うので、江戸ではどうなんだと聞くと、あつしが出るときまでは、
大石様は京都にいたという事ですから、京都を出た事は6日もすれば、江戸に伝わるんじあないですかと言うので1年と半年、もう討ち入りはしないんじあないかとの雰囲気でしたが、
これでむ又火がつきますよと言うので、

まだ町衆も期待しているのかと聞くと、もちろんですよ、浅野大学様の処分がでなすったので、今度こそ討ち入るんではないんですか、しかしこんなにあからさまだと吉良は上杉に応援、
を頼むのでも、ちと、分が悪いですがと酒を飲み干すので、そうだな、上杉と言えば15万石だ相当に腕の立つ者もいるだろうというと、しかし、応援をだしても吉良が討ち取られれば、
逆に上杉はだらしないと取り潰されるんじあないですかね、

上杉の殿様は自分の親だし頭のいたいところでやんしょうと言うので、それで吉良と赤穂の人数はどの位なんだと聞くと、噂では浅野が50人吉良は100人いるそうですが、そのうち女と、
茶坊主、小物が50人位いるそうで、互角ですが、元々の吉良家の家人はやっとうはからっきしダメのやさ男ばかりだそうで、打ち込まれたら直ぐに逃げるんじあないかと言う噂ですぜと、
言うので、

なかなか詳しいではないかと聞くと、へい、江戸で時々瓦版がでるんでやんすと言うので、役人は取り締まらないのかと聞くと、それが知らん顔しているんですよ、役人も赤穂びいきな、
んですよ、打ち込めば忠義の武士としてお咎めがないのではないかと言う者も沢山います、あっしも、上方で物を仕入れたら直ぐに江戸に立ち返ります、討ち入りを見逃しとあれば江戸、
っ子の恥ですからねと言ったのです、

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