第73話

文字数 2,686文字


源三郎江戸日記73

そうじあいい所に来た、実は玉姫に縁談があるのじあと言うので、それはおめでとう御座りますというと、それが若年寄り本多殿の次男、本多利次殿への縁談だがこの男の評判が悪い、
のじあ、なんでも本所あたりで旗本の部屋ずみとつるんで悪さをしているとの噂なのじあ、そんなところへ嫁など出したくないのだが、相手は若年寄りで名門の家系じあ、何か理由、
がないと断るのは難しいのだが、

何か知恵はないかと聞くので、確か玉姫様はなぎなたと小太刀の名手でしたなと聞くと、そうじあ、男勝りにも困ったもんじあなと笑うので、その利次様の剣の腕はどのようなもので、
しょうかと聞くと、つるんで悪さをするやからだ大した事はあるまいと言うので、悪さしているところを懲らしめてやりますが、殿に迷惑がかかったもいけませんと言うと、何の、
悪さをしているのが、

利次殿なら懲らしめても問題ないぞ、それでわしに文句など言えるはずがない、そんな事すれば本多家の恥になるだけだと言うので、それでは懲らしめついでに腕も見てみましょう、
玉姫様は弱い男は厭と言うおてんばだと言って、利次様と勝負して負けたら嫁ぐと言っていると言う事にして試合をし、玉姫様が打ち据えれば驚いて縁談は断ってくると思います、
と言うと、

なる程それは面白いと言うと、小姓に玉にここに来るように言うのじあと言ったのです、程なく玉姫が現れたので、これがいつも噂しておる村上源三郎じあと言うので、源三郎に、
御座いますと言うと、そなたが源一朗の弟か中々の腕だそうだなと言うので、それほどでもありませぬと言うと、政種が先ほどの話しをすると、源三郎はわたしがそのホ本多利次に、
負けると思うているのかと聞くので、

利次様の腕は知りませぬゆえ、万が一と言う事になると思い試すほうが良いと申しあげたのでごいますと言う、それなら私と立ちおうてみるが良いと言うので、困った顔をすると、
源三郎かまわん立ち会ってみよと言うので、しかし、怪我をされると言うと、玉姫が小姓に木刀と木刀の小太刀を持ってまいれといったのです、源三郎心配するな怪我しないよう、
にしてやろうと笑ったのです、

持ってきたので姫がタスキをかけて、タスキを投げるので受け取りタスキをすると庭に下りてきて、小太刀を正眼に構えどこからでもかかってくるのじあと言うので源三郎は下段、
に構えて間合いを詰めると姫が踏み込み源三郎の右肩に振り下ろしたので右肩を捻り交わして、下から木刀で振り上げると小太刀にガシンと言う音がして当たり、小太刀は空高く、
舞上がったのです、

玉姫めがけて落ちてきたので踏み込んで打ち払い木刀を納めてひざまつぎ失礼つかまったと頭を下げると、政種が相変わらず見事な腕じあと言うので、なぜ右肩に当たらなかったの、
だと言うので、残念ながら5寸足りなかったのですよ、私は姫の手の長さと持った小太刀の長さに踏み込む小幅を計算し、それより5寸はなれた場所で隙を見せたのです、姫はそれ、
でぎりぎり当たると思われて踏み込み振り下ろしたのです、

下段に構えたのは振り下ろした小太刀を飛ばすためで、わたしは木刀を峰に持ち替えていたのです、峰は幅も広く力の加わる場所が多くなり、相手の木刀の振りが鋭いほど反発力、
が加わります、俗に言う刀で兜を割る方法とおなじです、普通では兜は刀では切れませんが一点に力を集中すれば割る事が出来るのです、それと同じ方法をとっただけですしかし、
あれが当たっていれば、

骨は砕けていますよと言うと、すまぬつい夢中になってしまったと言ったのです、なる程父上の言われた通りの男ですね、何か負けても悔しくありませぬと言うので、姫も一目で、
惚れたのかと聞くと、ハイ、源三郎は妻女はいるのかと聞くのでおります、姫と同じ小太刀の名手にございますと言うと、それは残念じあいなければ嫁にしてもらうのにと言うの、
で、

たつた150石の無役の藩士などつりあいが取れませぬというと、源三郎程のものなら1000石取りなど簡単になれるであろう、万石の大名も夢ではないと言うので、それは買いかぶり、
と言う物ですと言うと、ともかく利次との試合は承知したと言うので、もし風聞が嘘であり、立ち会って顔を見たとき好きな感じで良いと思うなら剣が弱くても打ち据えてはなり、
ませぬ、

剣など弱くてもいいのです、手心を加えなされと言うと、あい、わかった、しかしあまり弱いとどんなに好きな感じでも私は厭じあと言ったのです、姫様なら剣の弱い者の方が上手、
く行くやも知れませぬと言うと、どうしてじあと言うので、姫の我がままを受け取る男がよろしいのではと言うと、はつきり物を言う男だなあと笑ったのです、御座所を下がり、
本所に行ってみる事にしたのです、

居酒屋に入り酒と肴を頼んで、女中にこの辺で旗本の部屋ずみが悪さをしていると聞いたがと言うと、ああ、義士組みの連中ですね、ここにも来て飲み代を踏み倒したんですよと、
言うので、役人はどうしているのだと聞くと、相手が旗本の偉い人の次男坊だとかで、手は出せないんですよ、お茶屋と料理屋は困っているそうです、花代も払わないそうで屋敷、
に取りに来いと言うので行くと、

門番に追い返されるそうで、奉行所に町名主を通して訴えたら、町名主がお奉行から叱られる始末だそうですと言うので、いつも来るのかと聞くと、毎晩どこかで悪さをしている、
そうですと言ったのです、傍で飲んでいた町人がお役人ですかと聞くので、違うがある人に懲らしめてくれと頼まれたのだと言うと、そうですかと言うので、2分銀二枚を出して、
これで何処にいるか探ってくれと言うと、

二人がへい直ぐに居所を見つけてきますと店を出て行ったのです、女中がお武家様かかりあいにならない方がいいですよ、お城でもとても偉い方だそうですというので、誰だと聞く、
と何でも本多様と言う若年寄りの次男だと言う事ですと言ったのです、まいったな本当に悪がきなのか、仕方ない柳沢様の家臣にしておこう、後で言えばいいかと思ったのです、

先ほどの町人が帰って来て、やつらはこの先の料理屋松屋にいますぜと言うので、よし行くかと言って松屋のノレンをくぐりると女将が今日は悪いのがいますがと言うので構わん、
となりの部屋にしてくれと言うと、いいんですかと言うので、ついでに芸子を3人ばかし呼んでくれと言うと、ハイと返事して部屋に案内したのです、膳が運ばれて仲居が酌をする、
ので飲み干し、

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